創作企画「冥冥の澱」2
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パパもママも穣さんも、矢木六助の様子がおかしいって思ったみたい。
両親に連れられて、病院の精神科に行った。
僕は、お医者さんに、矢木六助のことを話す。
診断名は、「離人症」。現実感がなくなり、夢の中にいるような感じになる症状。身体からも精神からも、自分が切り離されたようになってるんだって。
かわいそう。でも、涙は流れない。
ママは泣いてた。パパは、ママと矢木六助を抱き締めて、「絶対に乗り越えられるさ」って言う。
帰宅してから、パパが、穣さんに電話をかけて、離人症のことを伝えた。
穣さんは、家に飛んで来て、矢木六助の死体を抱き締める。
僕は、それを見て、汚いから触らない方がいいんじゃないかなぁ? と思った。あなたまで汚れてしまったら、どうするの?
世界が、0と1で出来ているなら、今の僕は、0だよ。なんの意味もないよ。
前はね、矢木六助は、あなたのことが大好きだったの。抱き締められたら嬉しかったの。でも、今は。僕は、他人事としか感じない。
矢木六助の罰は、ずっと続いていた。夢の中とか、現実でも。それを、あなたは助けてくれていたけど、本当に救われていたけど、とうとう壊れちゃった。液体時計の下の部分に閉じ込められていたから、雫が全部落ち切って、矢木六助は、沈んでしまった。
弱くて、ごめんなさい。あなたは、何も悪くないのに、あんな奴に付き合わせて、ごめんなさい。
スクリーンを眺める。矢木六助は、あなたを抱き締め返すことも出来ずにいた。
色褪せたアルバムをめくるように。かつての記憶を再生する。
“大好きだよ!”
“ぎゅってして!”
“ありがとう”
“愛してる”
遠い日々。遠い想い。自分のことのはずなのに、凄く遠くて。僕は、客席で独りきり。
あなたの、あったかい腕も感じられずにいる。
それなのに、「さよなら」って「別れて」って、言えなくて。ごめんなさい。
「ごめんなさい……」
それだけ、矢木六助は声にした。
「六助くんは、何も謝ることなんてないよ」
あなたは優しいから、いつもゆるしてくれて。矢木六助は、それに甘えていた。
ひしゃげた心でも、あなたへの感謝はあって、でも。矢木六助は、どうしていいか分からない。
僕にも、どうしようもない。
「僕のこと…………」
忘れて。
「……助けて」
勝手に喋らないでよ。
「言ったよね。ずっと隣にいるって」
「うん」
勝手に泣かないでよ。
やだよ。置いてきぼりなんて、やだ。
だけど、これでいいのかなぁ?
ふたりのこと、他人に見えるけど。
僕は、どうすれば消えられるんだろう?
両親に連れられて、病院の精神科に行った。
僕は、お医者さんに、矢木六助のことを話す。
診断名は、「離人症」。現実感がなくなり、夢の中にいるような感じになる症状。身体からも精神からも、自分が切り離されたようになってるんだって。
かわいそう。でも、涙は流れない。
ママは泣いてた。パパは、ママと矢木六助を抱き締めて、「絶対に乗り越えられるさ」って言う。
帰宅してから、パパが、穣さんに電話をかけて、離人症のことを伝えた。
穣さんは、家に飛んで来て、矢木六助の死体を抱き締める。
僕は、それを見て、汚いから触らない方がいいんじゃないかなぁ? と思った。あなたまで汚れてしまったら、どうするの?
世界が、0と1で出来ているなら、今の僕は、0だよ。なんの意味もないよ。
前はね、矢木六助は、あなたのことが大好きだったの。抱き締められたら嬉しかったの。でも、今は。僕は、他人事としか感じない。
矢木六助の罰は、ずっと続いていた。夢の中とか、現実でも。それを、あなたは助けてくれていたけど、本当に救われていたけど、とうとう壊れちゃった。液体時計の下の部分に閉じ込められていたから、雫が全部落ち切って、矢木六助は、沈んでしまった。
弱くて、ごめんなさい。あなたは、何も悪くないのに、あんな奴に付き合わせて、ごめんなさい。
スクリーンを眺める。矢木六助は、あなたを抱き締め返すことも出来ずにいた。
色褪せたアルバムをめくるように。かつての記憶を再生する。
“大好きだよ!”
“ぎゅってして!”
“ありがとう”
“愛してる”
遠い日々。遠い想い。自分のことのはずなのに、凄く遠くて。僕は、客席で独りきり。
あなたの、あったかい腕も感じられずにいる。
それなのに、「さよなら」って「別れて」って、言えなくて。ごめんなさい。
「ごめんなさい……」
それだけ、矢木六助は声にした。
「六助くんは、何も謝ることなんてないよ」
あなたは優しいから、いつもゆるしてくれて。矢木六助は、それに甘えていた。
ひしゃげた心でも、あなたへの感謝はあって、でも。矢木六助は、どうしていいか分からない。
僕にも、どうしようもない。
「僕のこと…………」
忘れて。
「……助けて」
勝手に喋らないでよ。
「言ったよね。ずっと隣にいるって」
「うん」
勝手に泣かないでよ。
やだよ。置いてきぼりなんて、やだ。
だけど、これでいいのかなぁ?
ふたりのこと、他人に見えるけど。
僕は、どうすれば消えられるんだろう?