創作企画「冥冥の澱」2
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バタバタしとったら、もう2月やないか。
「どないしよ……」
俺は、世界を正さなアカンねん。
司の懐妊祝いにかこつけて、東京行くんや。そんで、一青梓さんに会うて。
「どないしよ…………」
いや、機関の出入口で待っとるの怖ないか? 不審者やんか。
でも、やるしかあらへん。
「気張りや、鍵野渚!」
◆◆◆
網代家にて。
「うわ。ほんまに来たんや。梓さんに会うついでに、ありがとさんやで」
「ついでやないわ! どっちも大切やわ!」
「ひゃははっ!」
「司、体調は大丈夫なんか?」
「えらい眠い時があるだけや」
「そうか。ほんなら、ええわ」
今日は、泊めてもらう訳やけど。やっぱ、今日やるべきやんな?
「梓さん、たぶん定時やろ」
「心を読むなや!」
「ま、頑張りや~」
司は、欠伸をしてソファーに寝転び、少ししたら、寝息が聴こえてきた。
俺は、テキトーにスマホアプリとか動画サイトとかで時間を潰す。そんで。
「よし、行くで」
「んー? 渚、出かけるんか?」
「そや。ちゃんと鍵かけるんやで、司」
「分かった、分かった。渚兄ちゃんは、心配性やなぁ」
寝惚けとらんか?
「そんじゃ、またな」
「頑張り~」
足早に、機関へ向かう。
んで、着いたら、待つだけや。
「え、と。はじめまして? 司の従兄の鍵野渚です。今日は、一青さんに用があって……?」
ぶつぶつと練習をする。
アカン。しっかりせな。
「よかったら、俺の…………」
「君」
「ひゃいっ!?」
「ここに何か用が? それとも誰かを待っているのかな?」
驚いて振り向いたら、あの人がいる。
「呼んで来ようか?」
「あ、あ……あなたに会いに…………」
「俺に?」
「俺、は、鍵野渚。司の従兄です。あ、はじめまして……」
「はじめまして。一青梓……だと、知っているのか?」
「はい! すんまへん! 司に聞いて、お名前……そんで、一青さんに用があって……」
「梓でいい。渚……良い名前だな」
「俺も、この名前好きやねん。海が好きで」
名前、褒められた。綺麗な笑み。心臓が、うるさい。静かにせぇ。
「海か…………」
梓さんは、どこかの海を思い出しとるみたいや。どこなんやろ?
「あの、よかったら、俺の……作ったアクセサリーのモデルになってくれへん、ですか……?」
「アクセサリーのモデル?」
「あ、俺、アクセサリー作家やねん。これ、カタログです……」
「なるほど。もらっておこう。でも、何故俺に?」
何故? だって、梓さんは。
「梓さんが! 美しいからや! 見目だけの話やなくて、佇まいとか所作とか、全部!」
「……そうか。ありがとう。モデルの件は、考えておく。連絡先を聞いても?」
「は、はい!」
メッセージアプリを起動し、連絡先を交換した。
「それでは、失礼する」
「はい。ありがとうございました」
一礼する。
梓さんが見えなくなってから、その場にへたり込んだ。
「……あー」
全然アカンやん。こんなはずやなかってん。ボロボロや。
口元を押さえて、自身の顔が熱いことが分かる。
俺は、全然殊勝やない。梓さんのこと、めっさ好きや。
ただ、神様みたいに思えたらよかったんやけどなぁ。
「どないしよ……」
俺は、世界を正さなアカンねん。
司の懐妊祝いにかこつけて、東京行くんや。そんで、一青梓さんに会うて。
「どないしよ…………」
いや、機関の出入口で待っとるの怖ないか? 不審者やんか。
でも、やるしかあらへん。
「気張りや、鍵野渚!」
◆◆◆
網代家にて。
「うわ。ほんまに来たんや。梓さんに会うついでに、ありがとさんやで」
「ついでやないわ! どっちも大切やわ!」
「ひゃははっ!」
「司、体調は大丈夫なんか?」
「えらい眠い時があるだけや」
「そうか。ほんなら、ええわ」
今日は、泊めてもらう訳やけど。やっぱ、今日やるべきやんな?
「梓さん、たぶん定時やろ」
「心を読むなや!」
「ま、頑張りや~」
司は、欠伸をしてソファーに寝転び、少ししたら、寝息が聴こえてきた。
俺は、テキトーにスマホアプリとか動画サイトとかで時間を潰す。そんで。
「よし、行くで」
「んー? 渚、出かけるんか?」
「そや。ちゃんと鍵かけるんやで、司」
「分かった、分かった。渚兄ちゃんは、心配性やなぁ」
寝惚けとらんか?
「そんじゃ、またな」
「頑張り~」
足早に、機関へ向かう。
んで、着いたら、待つだけや。
「え、と。はじめまして? 司の従兄の鍵野渚です。今日は、一青さんに用があって……?」
ぶつぶつと練習をする。
アカン。しっかりせな。
「よかったら、俺の…………」
「君」
「ひゃいっ!?」
「ここに何か用が? それとも誰かを待っているのかな?」
驚いて振り向いたら、あの人がいる。
「呼んで来ようか?」
「あ、あ……あなたに会いに…………」
「俺に?」
「俺、は、鍵野渚。司の従兄です。あ、はじめまして……」
「はじめまして。一青梓……だと、知っているのか?」
「はい! すんまへん! 司に聞いて、お名前……そんで、一青さんに用があって……」
「梓でいい。渚……良い名前だな」
「俺も、この名前好きやねん。海が好きで」
名前、褒められた。綺麗な笑み。心臓が、うるさい。静かにせぇ。
「海か…………」
梓さんは、どこかの海を思い出しとるみたいや。どこなんやろ?
「あの、よかったら、俺の……作ったアクセサリーのモデルになってくれへん、ですか……?」
「アクセサリーのモデル?」
「あ、俺、アクセサリー作家やねん。これ、カタログです……」
「なるほど。もらっておこう。でも、何故俺に?」
何故? だって、梓さんは。
「梓さんが! 美しいからや! 見目だけの話やなくて、佇まいとか所作とか、全部!」
「……そうか。ありがとう。モデルの件は、考えておく。連絡先を聞いても?」
「は、はい!」
メッセージアプリを起動し、連絡先を交換した。
「それでは、失礼する」
「はい。ありがとうございました」
一礼する。
梓さんが見えなくなってから、その場にへたり込んだ。
「……あー」
全然アカンやん。こんなはずやなかってん。ボロボロや。
口元を押さえて、自身の顔が熱いことが分かる。
俺は、全然殊勝やない。梓さんのこと、めっさ好きや。
ただ、神様みたいに思えたらよかったんやけどなぁ。