創作企画「冥冥の澱」
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恋人と、のんびり過ごすって、こういうこと?
僕は幸せだけど、君はこれでいいのかな?
僕が言えたことではないけれど、なんでも話してほしい。どんな我が儘でも、言ってほしい。
「黎命くん……無理、してない……?」
「なんのことですかぁ?」
リビングのソファーに座り、ぴったりくっ付いて隣にいる君は、へらへら笑っている。
そんな黎命くんの手を取って、指を絡めた。
「してないなら、いい、です」
「ああ。ひとつ、無理してますねぇ」
手を握り返して、君は言う。
「なに?」
「いや、腹が空いたなぁって」
気付けば、夕飯時だ。君といると、いつも時が進むのが早い。
「なにが食べたい?」
「北斗さんの得意なものですかねぇ」
「分かった、待ってて」
「すいませんねぇ」
「料理するの、嫌いじゃないから」
少し、名残惜しいけれど、繋いだ手をほどく。
料理くらい、いくらでも作るよ。愛する君のためだから。
まず、炊飯器でご飯を炊く。早炊きで、30分くらい。白米が炊けるまでに、おかずを用意しよう。
生姜を薄切りにし、豚バラブロック肉を一口大に切る。耐熱ボウルに、肉と長ネギと水を一緒に入れ、電子レンジで加熱。その後、料理酒・醤油・蜂蜜・擦りおろした生姜を入れた耐熱ボウルに移して、15分漬け込む。
その間、トマトとアボカドを切り、わさび醤油をかける。
漬け込み終わったら、レンジで4分加熱。肉を裏返して、また4分加熱。
米が炊けた。
トレイに料理を乗せて運び、ソファーの前のローテーブルに置く。
「黎命くん、お待たせ。えーと、煮てないけど、豚の角煮と、トマトとアボカドのわさび醤油かけと、白米だよ」
「いやぁ、見事な手際だなぁ。いただきます」
「はい」
箸で、豚の角煮をひとつ取り、口に運ぶ黎命くん。
「北斗さんの料理は、いつも美味しいねぇ」
「ありがとう……」
「北斗さん、自分の分持って来てくださいよ。俺ばっかり食べてるの、寂しいんで」
「あ、うん」
僕は、急いでキッチンに戻り、自分の分をトレイに乗せて運んだ。
「いただきます」
いつもは、なんてことない味だけれど、君が隣にいると特別になる。
君に、全部伝わればいいのに。
◆◆◆
黎命くんが帰った後、僕は、手紙を書いた。
『前略 真咲黎命くんへ
いつも、僕といてくれて、ありがとうございます。僕は、君のことを愛しているので、なんでも言ってみてほしいです。例え、それを君が我が儘だと思っていたとしても。僕は、それを出来る限り叶えたいです。僕は、姉のように雄弁でもないし、人のために何かする、ということをあまりしたことがありません。けれど、君のためなら、不思議と出来る気がするのです。だから、僕を頼ってください。生涯、君と伴に在ると誓った僕のことを覚えていてください。話すのが苦手だから、文章で失礼します。』
一度、深く呼吸してから、結びの文を綴る。次に会った時に、黎命くんに渡そう。
白い封筒に、便箋と、ありったけの想いを入れて、封をした。
僕は幸せだけど、君はこれでいいのかな?
僕が言えたことではないけれど、なんでも話してほしい。どんな我が儘でも、言ってほしい。
「黎命くん……無理、してない……?」
「なんのことですかぁ?」
リビングのソファーに座り、ぴったりくっ付いて隣にいる君は、へらへら笑っている。
そんな黎命くんの手を取って、指を絡めた。
「してないなら、いい、です」
「ああ。ひとつ、無理してますねぇ」
手を握り返して、君は言う。
「なに?」
「いや、腹が空いたなぁって」
気付けば、夕飯時だ。君といると、いつも時が進むのが早い。
「なにが食べたい?」
「北斗さんの得意なものですかねぇ」
「分かった、待ってて」
「すいませんねぇ」
「料理するの、嫌いじゃないから」
少し、名残惜しいけれど、繋いだ手をほどく。
料理くらい、いくらでも作るよ。愛する君のためだから。
まず、炊飯器でご飯を炊く。早炊きで、30分くらい。白米が炊けるまでに、おかずを用意しよう。
生姜を薄切りにし、豚バラブロック肉を一口大に切る。耐熱ボウルに、肉と長ネギと水を一緒に入れ、電子レンジで加熱。その後、料理酒・醤油・蜂蜜・擦りおろした生姜を入れた耐熱ボウルに移して、15分漬け込む。
その間、トマトとアボカドを切り、わさび醤油をかける。
漬け込み終わったら、レンジで4分加熱。肉を裏返して、また4分加熱。
米が炊けた。
トレイに料理を乗せて運び、ソファーの前のローテーブルに置く。
「黎命くん、お待たせ。えーと、煮てないけど、豚の角煮と、トマトとアボカドのわさび醤油かけと、白米だよ」
「いやぁ、見事な手際だなぁ。いただきます」
「はい」
箸で、豚の角煮をひとつ取り、口に運ぶ黎命くん。
「北斗さんの料理は、いつも美味しいねぇ」
「ありがとう……」
「北斗さん、自分の分持って来てくださいよ。俺ばっかり食べてるの、寂しいんで」
「あ、うん」
僕は、急いでキッチンに戻り、自分の分をトレイに乗せて運んだ。
「いただきます」
いつもは、なんてことない味だけれど、君が隣にいると特別になる。
君に、全部伝わればいいのに。
◆◆◆
黎命くんが帰った後、僕は、手紙を書いた。
『前略 真咲黎命くんへ
いつも、僕といてくれて、ありがとうございます。僕は、君のことを愛しているので、なんでも言ってみてほしいです。例え、それを君が我が儘だと思っていたとしても。僕は、それを出来る限り叶えたいです。僕は、姉のように雄弁でもないし、人のために何かする、ということをあまりしたことがありません。けれど、君のためなら、不思議と出来る気がするのです。だから、僕を頼ってください。生涯、君と伴に在ると誓った僕のことを覚えていてください。話すのが苦手だから、文章で失礼します。』
一度、深く呼吸してから、結びの文を綴る。次に会った時に、黎命くんに渡そう。
白い封筒に、便箋と、ありったけの想いを入れて、封をした。