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君にキスする夢を見た。現実では、そんなこと出来やしないのに。いや、“だから”か。実際には出来ないことを、夢の中でしたのか。
霧がかる頭を振り、ぼんやりした意識を覚醒させる。
「はァ…………」と、深く溜め息をついた。
皆守甲太郎には、運命の人がいる。それは、≪転校生≫の彼。ふたりの関係は、俺が思うようなものではないかもしれないけど。つまり、恋愛関係ではないかもしれないけど。でも、“特別”だ。俺も、そういうものが欲しかった。でも、仕方ない。自分では、どうしようもないから。
俺は、運命の糸を編めない。だから、諦めている。
その癖、あんな夢を見て。人間とは、愚かなものだ。
授業を退屈そうにしながらも、受けるようになった君。俺が、くどくど言っても、全く意に介さなかったのに。≪転校生≫の言うことは聞くんだな。
ムカつくなぁ。アイツらの仲、引き裂きたいなぁ。
なんなんだよ。人の硬い殻をものともしない≪転校生≫も。≪転校生≫を心の中の特別席に座らせてしまった皆守も。
運命の糸が、何本も何本も、人と繋がっている奴というのは、いる。それが、あの≪転校生≫だ。
天香學園を、少しずつ変えていくアイツ。それは、泉に落とした石のように、波紋を広げていく。
この閉じた世界にやって来た異物。同じ石でも、俺は路傍の石に過ぎない。
羨ましいよ。本当に。
俺は、何者でもない。君にとっての何者かになりたかったよ。
「皆守」
「なんだ?」
「俺、君のこと嫌いかも」
「は?」
怪訝そうな顔。だって、好かれないなら、何も思われないなら、嫌われた方がいい。
「簡単に救われると思うなよ」
「なんの話だ?」
「恋の話」
「はァ?」
本当は、つまらない意地の話。俺の、一方的な運命の話。君を呪うことすらままならない男の話。
俺の運命の人。せめて、この恋を殺してくれないか? そして、恋の亡骸を、その手で葬ってくれないか?
薄っぺらい縁しか結べない俺への手向けは、どうか、君が。
霧がかる頭を振り、ぼんやりした意識を覚醒させる。
「はァ…………」と、深く溜め息をついた。
皆守甲太郎には、運命の人がいる。それは、≪転校生≫の彼。ふたりの関係は、俺が思うようなものではないかもしれないけど。つまり、恋愛関係ではないかもしれないけど。でも、“特別”だ。俺も、そういうものが欲しかった。でも、仕方ない。自分では、どうしようもないから。
俺は、運命の糸を編めない。だから、諦めている。
その癖、あんな夢を見て。人間とは、愚かなものだ。
授業を退屈そうにしながらも、受けるようになった君。俺が、くどくど言っても、全く意に介さなかったのに。≪転校生≫の言うことは聞くんだな。
ムカつくなぁ。アイツらの仲、引き裂きたいなぁ。
なんなんだよ。人の硬い殻をものともしない≪転校生≫も。≪転校生≫を心の中の特別席に座らせてしまった皆守も。
運命の糸が、何本も何本も、人と繋がっている奴というのは、いる。それが、あの≪転校生≫だ。
天香學園を、少しずつ変えていくアイツ。それは、泉に落とした石のように、波紋を広げていく。
この閉じた世界にやって来た異物。同じ石でも、俺は路傍の石に過ぎない。
羨ましいよ。本当に。
俺は、何者でもない。君にとっての何者かになりたかったよ。
「皆守」
「なんだ?」
「俺、君のこと嫌いかも」
「は?」
怪訝そうな顔。だって、好かれないなら、何も思われないなら、嫌われた方がいい。
「簡単に救われると思うなよ」
「なんの話だ?」
「恋の話」
「はァ?」
本当は、つまらない意地の話。俺の、一方的な運命の話。君を呪うことすらままならない男の話。
俺の運命の人。せめて、この恋を殺してくれないか? そして、恋の亡骸を、その手で葬ってくれないか?
薄っぺらい縁しか結べない俺への手向けは、どうか、君が。