創作企画「冥冥の澱」
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現地調査班、砂江砂絵は、異形らしきものが発生しているとおぼしき現場へ向かっている。
場所は、狐ヶ崎家。
もうひとり、同僚が運転する車で、そこへ向かう。
そして、そこには。悲鳴があった。家の中から、複数人の叫び声が聴こえる。
狐ヶ崎家の門扉は開け放たれ、その前には、数人の女中が集まり、震えていた。
「対澱み討伐機関現地調査班の砂江です。状況は?」
「狐、狐の化物が……」
「私たちでは、どうにも出来なくて」
「……宵様が、宵様じゃなくなっていました」
「中へ入らせていただきます。佐野さん、行きましょう」
「はい」
門をくぐる。そして、玄関先に来たところで。
「助け、助けて!」
「ひっ」
女が飛び出して来た。
「あ、あの、女中さんですか?」
「はい。中に、中に、化物がいます!」
「狐の?」
「人と狐の化物です! 照雄様と明様が襲われています!」
「あなたは、門の外へ避難してください。我々は、中へ向かいます」
「は、はい……」
女中は走って逃げる。
「失礼します」
中へ入ると、そこかしこで物が散乱し、壊れていた。ガラス片もある。ふたりは、靴を脱がずに進む。
破れた襖。砕けた花瓶。爪痕らしきものがある壁。
歩いていると、窓から中庭が見えた。
狐ヶ崎明が、異形と戦っている。
「佐野さん、あれ、見えますか?」
「はい。あれは、なんです?」
「あなたにも見えるのですね。あれは、幽霊のようなものです。実体化した、幽霊……」
「幽霊?」
「あ。屋根の上に、誰かいます」
「いますね」
「人……宵さん……? 影が、なんか……」
「接近しますか?」
「はい。中庭へ出ます」
ふたりは、慎重に中庭へ行く。そして、はっきりと異形を目視した。
「やっぱり、あれは、残留思念です。多くの人の怨念のような……」
「そこまで分かるんですか?」
「見え、見えるのです。異形の背後に、たくさんの恨みに満ちた人の顔が」
「僕には見えませんね」
「あと、屋根の上の人物、あれは、狐ヶ崎宵さんです。ですが、おそらく中身は違う。背後に、大きな尾のない狐の影が見えます」
「僕には見えません」
「佐野さん、機関に連絡を」
「はい」
「ワタシは、女中さんたちを避難させます」
一体、あの大きな狐は何? 澱みじゃない。霊でもない。恐ろしい、何か。
◆◆◆
時間は、少し戻る。
場所は、フランス。ホテルで寛いでいた狐ヶ崎花の元にも、異形は現れていた。
「あなた、誰……?」
「アアアアアハハハハハハハ!」
狐ヶ崎の異形は笑う。
「日下部流抜刀術、壱の型、芽吹き!」
花は、左腕から太刀を取り出し、構えた。
「…………」
相手の出方を窺う。
「裁定せよ! 裁定せよ! 罪には罰を! 命を払え!」
「何を…………」
「汝れは、白!」
異形は、蜃気楼のように消えた。
数秒待ち、花は左腕に太刀を納める。そして、スマートフォンを手に取り、自宅へかける。しかし、不通。花には分からないことだが、家の電話は、破壊されていた。
照雄も明も宵も、電話に出ない。
家で、何かが起きている。
状況を知るために、花は機関に連絡した。
そして、知る。狐ヶ崎家に嵐が来ていることを。
場所は、狐ヶ崎家。
もうひとり、同僚が運転する車で、そこへ向かう。
そして、そこには。悲鳴があった。家の中から、複数人の叫び声が聴こえる。
狐ヶ崎家の門扉は開け放たれ、その前には、数人の女中が集まり、震えていた。
「対澱み討伐機関現地調査班の砂江です。状況は?」
「狐、狐の化物が……」
「私たちでは、どうにも出来なくて」
「……宵様が、宵様じゃなくなっていました」
「中へ入らせていただきます。佐野さん、行きましょう」
「はい」
門をくぐる。そして、玄関先に来たところで。
「助け、助けて!」
「ひっ」
女が飛び出して来た。
「あ、あの、女中さんですか?」
「はい。中に、中に、化物がいます!」
「狐の?」
「人と狐の化物です! 照雄様と明様が襲われています!」
「あなたは、門の外へ避難してください。我々は、中へ向かいます」
「は、はい……」
女中は走って逃げる。
「失礼します」
中へ入ると、そこかしこで物が散乱し、壊れていた。ガラス片もある。ふたりは、靴を脱がずに進む。
破れた襖。砕けた花瓶。爪痕らしきものがある壁。
歩いていると、窓から中庭が見えた。
狐ヶ崎明が、異形と戦っている。
「佐野さん、あれ、見えますか?」
「はい。あれは、なんです?」
「あなたにも見えるのですね。あれは、幽霊のようなものです。実体化した、幽霊……」
「幽霊?」
「あ。屋根の上に、誰かいます」
「いますね」
「人……宵さん……? 影が、なんか……」
「接近しますか?」
「はい。中庭へ出ます」
ふたりは、慎重に中庭へ行く。そして、はっきりと異形を目視した。
「やっぱり、あれは、残留思念です。多くの人の怨念のような……」
「そこまで分かるんですか?」
「見え、見えるのです。異形の背後に、たくさんの恨みに満ちた人の顔が」
「僕には見えませんね」
「あと、屋根の上の人物、あれは、狐ヶ崎宵さんです。ですが、おそらく中身は違う。背後に、大きな尾のない狐の影が見えます」
「僕には見えません」
「佐野さん、機関に連絡を」
「はい」
「ワタシは、女中さんたちを避難させます」
一体、あの大きな狐は何? 澱みじゃない。霊でもない。恐ろしい、何か。
◆◆◆
時間は、少し戻る。
場所は、フランス。ホテルで寛いでいた狐ヶ崎花の元にも、異形は現れていた。
「あなた、誰……?」
「アアアアアハハハハハハハ!」
狐ヶ崎の異形は笑う。
「日下部流抜刀術、壱の型、芽吹き!」
花は、左腕から太刀を取り出し、構えた。
「…………」
相手の出方を窺う。
「裁定せよ! 裁定せよ! 罪には罰を! 命を払え!」
「何を…………」
「汝れは、白!」
異形は、蜃気楼のように消えた。
数秒待ち、花は左腕に太刀を納める。そして、スマートフォンを手に取り、自宅へかける。しかし、不通。花には分からないことだが、家の電話は、破壊されていた。
照雄も明も宵も、電話に出ない。
家で、何かが起きている。
状況を知るために、花は機関に連絡した。
そして、知る。狐ヶ崎家に嵐が来ていることを。