創作企画「冥冥の澱」
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
網代夫妻は、穏やかな時を過ごしていた。ふたりで、夕食を摂り、団欒していた。
不意に、異形が現れるまでは。
ふたりの家の中で、「アアアアアハハハハハハハ!」と狂笑が響く。
「なんや?! コイツ?!」
「司……!」
「靖及さん、機関に連絡してや」
「分かった……」
「どう見ても、俺の相手やろ、自分」
鍵野や狐ヶ崎と同じ装束。人と狐が混ざった異形。
司は、戦闘態勢に入る。
「掛けまくも畏き稲成空狐よ! 狐ケ崎の野原の柳の下に禊ぎ祓え給いし時に生り坐せる神狐等! 諸々の禍事・罪・穢有らんをば祓え給い清め給えと白すこと聞こし召せと恐み恐み白す!」
「アアアアアハハハハハハハ!」
呪符を巻いた右手で、何度か異形を殴ったが、全く効いていない。簡単に拳を捕らえられ、司は異形に接近される。
「クソ! 放さんかい!」
「裁定せよ! 汝れらの罪に裁きを!」
「罪? 裁き?」
「狐ヶ崎は、澱んでいる! それが罪! 罪には罰を! 罰とは、命を払うこと!」
「殺しに来たんか? 俺を…………」
「汝れは、白!」
「あ?」
そう言うと、異形は、霧散した。
「……靖及さん。今の、宵ちゃんの声に似とった気ぃすんねん。見た目も、なんとなく似とらんかったか?」
「ああ……」
「鍵野に、親に連絡するわ」
スマートフォンを取り、実家に連絡する。
「クソ! 繋がらへん!」
次に、従兄である鍵野渚に電話をかけた。
『司! 無事か?!』
「渚んとこにも、出たんやな?!」
『ああ、なんや気持ち悪いのが、家ん中に出よったわ』
「なんか、言われたんか?」
『罪とか罰とか……あと、俺は、“白”やって言ってから、消えててん……』
「鍵野本家に連絡は?!」
『つかん。なんや、混雑しとるみたいやわ』
「渚、今どこや?」
『車で、実家に向かっとるとこや。俺の両親のとこにも、出とるんちゃうか? アイツ』
「その後でええんやけど、鍵野本家の様子も見てくれへんか?」
『分かった。また、連絡する』
「頼むで、渚」
『司、気ぃ付けてや』
「ああ、渚も。ほな、また」
嵐の中心は、狐ヶ崎本家か?
嫌な感じがする。
「靖及さん。俺は、狐ヶ崎に行くで」
「だが、司」
「早よせんと、間に合わんようになる。そんな気がすんねん」
「俺は……」
「靖及さんは、ここで起きたことを、機関に伝えてや。大阪の鍵野のことも」
「……分かった。司、無事に帰って来てくれ」
後ろから、抱き締められる司。
「当たり前やん」
抱き締める腕を、両手で掴み、司は言った。
その後、網代司は、狐ヶ崎本家へと向かう。
満月が雲で隠れて、夜闇を濃くしていた。
不意に、異形が現れるまでは。
ふたりの家の中で、「アアアアアハハハハハハハ!」と狂笑が響く。
「なんや?! コイツ?!」
「司……!」
「靖及さん、機関に連絡してや」
「分かった……」
「どう見ても、俺の相手やろ、自分」
鍵野や狐ヶ崎と同じ装束。人と狐が混ざった異形。
司は、戦闘態勢に入る。
「掛けまくも畏き稲成空狐よ! 狐ケ崎の野原の柳の下に禊ぎ祓え給いし時に生り坐せる神狐等! 諸々の禍事・罪・穢有らんをば祓え給い清め給えと白すこと聞こし召せと恐み恐み白す!」
「アアアアアハハハハハハハ!」
呪符を巻いた右手で、何度か異形を殴ったが、全く効いていない。簡単に拳を捕らえられ、司は異形に接近される。
「クソ! 放さんかい!」
「裁定せよ! 汝れらの罪に裁きを!」
「罪? 裁き?」
「狐ヶ崎は、澱んでいる! それが罪! 罪には罰を! 罰とは、命を払うこと!」
「殺しに来たんか? 俺を…………」
「汝れは、白!」
「あ?」
そう言うと、異形は、霧散した。
「……靖及さん。今の、宵ちゃんの声に似とった気ぃすんねん。見た目も、なんとなく似とらんかったか?」
「ああ……」
「鍵野に、親に連絡するわ」
スマートフォンを取り、実家に連絡する。
「クソ! 繋がらへん!」
次に、従兄である鍵野渚に電話をかけた。
『司! 無事か?!』
「渚んとこにも、出たんやな?!」
『ああ、なんや気持ち悪いのが、家ん中に出よったわ』
「なんか、言われたんか?」
『罪とか罰とか……あと、俺は、“白”やって言ってから、消えててん……』
「鍵野本家に連絡は?!」
『つかん。なんや、混雑しとるみたいやわ』
「渚、今どこや?」
『車で、実家に向かっとるとこや。俺の両親のとこにも、出とるんちゃうか? アイツ』
「その後でええんやけど、鍵野本家の様子も見てくれへんか?」
『分かった。また、連絡する』
「頼むで、渚」
『司、気ぃ付けてや』
「ああ、渚も。ほな、また」
嵐の中心は、狐ヶ崎本家か?
嫌な感じがする。
「靖及さん。俺は、狐ヶ崎に行くで」
「だが、司」
「早よせんと、間に合わんようになる。そんな気がすんねん」
「俺は……」
「靖及さんは、ここで起きたことを、機関に伝えてや。大阪の鍵野のことも」
「……分かった。司、無事に帰って来てくれ」
後ろから、抱き締められる司。
「当たり前やん」
抱き締める腕を、両手で掴み、司は言った。
その後、網代司は、狐ヶ崎本家へと向かう。
満月が雲で隠れて、夜闇を濃くしていた。