創作企画「冥冥の澱」
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白い花弁のように舞う雪は、暖かさを知ると、溶けて消えてしまう。
そうだとしても、私は、あなたの手に触れたいです。季楽さん。私の好きな人。
私の冷たくかじかむ手を、取っていただけますか?
いつの日か、そんな時が訪れますように。
今は、ただ、胸の内に宿った炎を抱き締める。毎日、毎日、あなたのことを想う。
いつか、吹雪が止み、夜明けが来ることを願いながら、私は生きる。生きてみせる。
「姉さん」
「なに? 雪光」
「姉さん、最近、変だよ」
「そんなことない」
「姉さん…………」
双子の弟が、私を抱き締めた。
「姉さんは、ずっと僕のものだよね? 例え、結婚したとしても。僕のものでしょ?」
「離して、雪光」
「嫌だ。姉さんは、僕のなんだから。僕が産まれた時から、姉さんはそのためにいるんだから」
やめて。私は、誰のものでもない。私は、私だけのものなの。
「雪光、私、好きな人がいるの」
「姉さん。どうして、そんなこと言うの? 姉さんの一番は、僕でしょ? 僕は、姉さんのことを愛してるよ。ずっと昔から、姉さんのことだけ想ってるよ」
「私は、あなたのこと、好きじゃない。弟としか思ってない」
「くっ…………!」
雪光に、畳の上に押し倒された。力では、あなたに勝てるはずがない。
「姉さん、分かってないね。ねぇ、僕は、いつでも姉さんを好きに出来るんだよ? 姉さんは、女で、僕は男なんだから」
「好きにしたらいいわ。私も好きにする。全力で抗う」
あなたに何をされようが、私の心は決まっている。
「私は、私の愛を諦めない。その気持ちは、何者にも汚されない」
「……ふざけるなよ」
雪光は、顔を歪めて、私を睨み付けた。お気に入りの玩具が、突然意思を持ち、歯向かってきたとでもいうように。
「ふざけてなんかないわ。私は、お人形じゃないの」
「違う。違う違う違う! 姉さんは、僕しか愛しちゃいけないんだ! 産まれる前から、ずっと一緒にいるんだから! 姉さんは、僕のことだけ考えていなきゃダメなんだ! 姉さんは、永遠に僕のものなんだよ!」
「好きなだけ喚きなさい。私は、雪光のものじゃない。昔も、今も、この先も」
「姉さん、おかしいよ。そんなこと言うなんて。姉さん、どうしちゃったの?」
「今までが、おかしかったのよ。私は、私を取り返すの。自由に生きるの」
「自由? ははは! そんなもの、狐ヶ崎の女として産まれた姉さんにあるはずないじゃないか! それが、姉さんのためなんだよ? 僕に愛されていれば、姉さんは幸せなはずでしょ?」
「何度でも言うわ。狐ヶ崎雪夜は、あなたを愛してない。私は、愛する人を見付けたの」
美しい人よ。優しい人よ。私のことを見てくれた人よ。
「どこの男なんだよ? そいつはさぁ。僕より、優れてるっていうの? 僕より、姉さんを愛してるっていうの?」
「馬鹿馬鹿しい。あの人が、私を愛してるかどうかさえ、分からないわ。それでも好きなの。それが、私の愛なのよ」
「姉さん……狂っちゃった……僕の姉さん…………」
雪光の、私を押さえ付けていた腕から力が抜ける。私は、上体を起こした。
「そのお利口な頭に、よく刻み付けておきなさい。狐ヶ崎雪夜は、自分のものではないと」
私の悲鳴は、誰にも届かないと思っていたけれど。宵くんが、気付いてくれたの。だから、私は、生き抜くの。
きっと夜明けは、すぐそこまできている。
そうだとしても、私は、あなたの手に触れたいです。季楽さん。私の好きな人。
私の冷たくかじかむ手を、取っていただけますか?
いつの日か、そんな時が訪れますように。
今は、ただ、胸の内に宿った炎を抱き締める。毎日、毎日、あなたのことを想う。
いつか、吹雪が止み、夜明けが来ることを願いながら、私は生きる。生きてみせる。
「姉さん」
「なに? 雪光」
「姉さん、最近、変だよ」
「そんなことない」
「姉さん…………」
双子の弟が、私を抱き締めた。
「姉さんは、ずっと僕のものだよね? 例え、結婚したとしても。僕のものでしょ?」
「離して、雪光」
「嫌だ。姉さんは、僕のなんだから。僕が産まれた時から、姉さんはそのためにいるんだから」
やめて。私は、誰のものでもない。私は、私だけのものなの。
「雪光、私、好きな人がいるの」
「姉さん。どうして、そんなこと言うの? 姉さんの一番は、僕でしょ? 僕は、姉さんのことを愛してるよ。ずっと昔から、姉さんのことだけ想ってるよ」
「私は、あなたのこと、好きじゃない。弟としか思ってない」
「くっ…………!」
雪光に、畳の上に押し倒された。力では、あなたに勝てるはずがない。
「姉さん、分かってないね。ねぇ、僕は、いつでも姉さんを好きに出来るんだよ? 姉さんは、女で、僕は男なんだから」
「好きにしたらいいわ。私も好きにする。全力で抗う」
あなたに何をされようが、私の心は決まっている。
「私は、私の愛を諦めない。その気持ちは、何者にも汚されない」
「……ふざけるなよ」
雪光は、顔を歪めて、私を睨み付けた。お気に入りの玩具が、突然意思を持ち、歯向かってきたとでもいうように。
「ふざけてなんかないわ。私は、お人形じゃないの」
「違う。違う違う違う! 姉さんは、僕しか愛しちゃいけないんだ! 産まれる前から、ずっと一緒にいるんだから! 姉さんは、僕のことだけ考えていなきゃダメなんだ! 姉さんは、永遠に僕のものなんだよ!」
「好きなだけ喚きなさい。私は、雪光のものじゃない。昔も、今も、この先も」
「姉さん、おかしいよ。そんなこと言うなんて。姉さん、どうしちゃったの?」
「今までが、おかしかったのよ。私は、私を取り返すの。自由に生きるの」
「自由? ははは! そんなもの、狐ヶ崎の女として産まれた姉さんにあるはずないじゃないか! それが、姉さんのためなんだよ? 僕に愛されていれば、姉さんは幸せなはずでしょ?」
「何度でも言うわ。狐ヶ崎雪夜は、あなたを愛してない。私は、愛する人を見付けたの」
美しい人よ。優しい人よ。私のことを見てくれた人よ。
「どこの男なんだよ? そいつはさぁ。僕より、優れてるっていうの? 僕より、姉さんを愛してるっていうの?」
「馬鹿馬鹿しい。あの人が、私を愛してるかどうかさえ、分からないわ。それでも好きなの。それが、私の愛なのよ」
「姉さん……狂っちゃった……僕の姉さん…………」
雪光の、私を押さえ付けていた腕から力が抜ける。私は、上体を起こした。
「そのお利口な頭に、よく刻み付けておきなさい。狐ヶ崎雪夜は、自分のものではないと」
私の悲鳴は、誰にも届かないと思っていたけれど。宵くんが、気付いてくれたの。だから、私は、生き抜くの。
きっと夜明けは、すぐそこまできている。