創作企画「冥冥の澱」
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どうしよう。黎命くんが、僕を選んでくれた。
どうしよう。本当に? 僕なんかでいいの?
嘘なら早く、そう言ってほしい。
夢なら早く、醒めてほしい。
だって、君と僕は、ただの“共犯者”だったじゃないか。
僕の、一方的な運命の人。真咲黎命くん。僕の、色彩。
君が色んな人に分け与えて、最後に残ったものでいいから、僕にください。
そう、思っていた。
でも、君は、全部を僕にくれるの?
本当にいいの? 僕は臆病で、いつも自信がなくて、君に愛を囁くことすらままならないのに。
その癖、出来ることなら、世界から君を奪い去りたいと考えていた。ずっと、ずっと、そんなことばかり考えていた。聞き分けのいい振りをしていたんだ。僕の真実は、“嘘つき”なんだよ。
都合のいい男を、演じていた。そうしないと、君の人生に置いてもらえなかったから。
僕を選んでくれた君よ。こんな嘘つきを選んでしまった君よ。その間違いに、気付かないでいて。永遠に。
君と見る月は、いつも綺麗でした。
恋をしてそれでもひとりだったけど君が突然隣に立った
◆◆◆
「北斗さぁん、なぁに読んでんです?」
「黎命くん……起きたんだね……」
僕の部屋のベッドの上に、君がいる。
「ただの日記帳だよ」
「日記? 筆まめなんですねぇ。職業柄?」
「日記が先で、職業が後、です」
「へぇ。それには、俺のことも書いてあるんですかねぇ?」
黎命くんは、首を傾げた。
「それは…………」
ある時期から、ほとんど君のことしか書いていないよ。
「もちろん」
「悪口ですかねぇ? なぁんて、北斗さんはそんなことしねぇですよねぇ」
「悪口、というか……愛憎入り混じってはいる、かな……」
「愛憎……すみませんねぇ、アンタのこと、ずっと弄んでて……」
「そんなことないよ。僕は、ずっと幸せだったし、それはこれからもそうだよ」
「へへ。奇特なお人だなぁ」
ほんのり頬を赤く染めて、君は笑う。
愛おしい君。
「ねぇ、黎命くん」
僕は、黎命くんの側へ行き、身を屈めて抱き締めた。
「僕に、君の全てをくれますか?」
「俺ぁ、ぜぇんぶ、北斗さんのものですよぉ」
君の腕が、僕を抱き締め返す。そして、ベッドにもつれ込ませた。
「北斗さん、今から愛し合いましょう?」
「……うん」
昨夜も、体を重ねたのに。起きてからすぐ、愛をねだる君が可愛くて。僕は、いくつもキスを落とした。額。瞼の上。頬。首筋。
「くすぐってぇ」
黎命くんは、クスクス笑う。
「ごめん、つい……」
「いや、いいんですよぉ。こういうの、最近好きなんで。誰かさんのせいでねぇ」
僕が、君に影響を与えることがあるなんて、思ってなかった。
「……可愛いね」
「三十路の男に何言ってんですかぁ?」
「君は、可愛いよ」
「もう、意地の悪りぃ……ん……」
黎命くんに、口付ける。
「は……ぁ……ほくとさん……」
「愛してるから、側にいさせてください」
「はい…………」
膨らみ続ける愛情に、僕はもう、針を刺さなくていい。全部、君に食べてもらえるから。
どうしよう。本当に? 僕なんかでいいの?
嘘なら早く、そう言ってほしい。
夢なら早く、醒めてほしい。
だって、君と僕は、ただの“共犯者”だったじゃないか。
僕の、一方的な運命の人。真咲黎命くん。僕の、色彩。
君が色んな人に分け与えて、最後に残ったものでいいから、僕にください。
そう、思っていた。
でも、君は、全部を僕にくれるの?
本当にいいの? 僕は臆病で、いつも自信がなくて、君に愛を囁くことすらままならないのに。
その癖、出来ることなら、世界から君を奪い去りたいと考えていた。ずっと、ずっと、そんなことばかり考えていた。聞き分けのいい振りをしていたんだ。僕の真実は、“嘘つき”なんだよ。
都合のいい男を、演じていた。そうしないと、君の人生に置いてもらえなかったから。
僕を選んでくれた君よ。こんな嘘つきを選んでしまった君よ。その間違いに、気付かないでいて。永遠に。
君と見る月は、いつも綺麗でした。
恋をしてそれでもひとりだったけど君が突然隣に立った
◆◆◆
「北斗さぁん、なぁに読んでんです?」
「黎命くん……起きたんだね……」
僕の部屋のベッドの上に、君がいる。
「ただの日記帳だよ」
「日記? 筆まめなんですねぇ。職業柄?」
「日記が先で、職業が後、です」
「へぇ。それには、俺のことも書いてあるんですかねぇ?」
黎命くんは、首を傾げた。
「それは…………」
ある時期から、ほとんど君のことしか書いていないよ。
「もちろん」
「悪口ですかねぇ? なぁんて、北斗さんはそんなことしねぇですよねぇ」
「悪口、というか……愛憎入り混じってはいる、かな……」
「愛憎……すみませんねぇ、アンタのこと、ずっと弄んでて……」
「そんなことないよ。僕は、ずっと幸せだったし、それはこれからもそうだよ」
「へへ。奇特なお人だなぁ」
ほんのり頬を赤く染めて、君は笑う。
愛おしい君。
「ねぇ、黎命くん」
僕は、黎命くんの側へ行き、身を屈めて抱き締めた。
「僕に、君の全てをくれますか?」
「俺ぁ、ぜぇんぶ、北斗さんのものですよぉ」
君の腕が、僕を抱き締め返す。そして、ベッドにもつれ込ませた。
「北斗さん、今から愛し合いましょう?」
「……うん」
昨夜も、体を重ねたのに。起きてからすぐ、愛をねだる君が可愛くて。僕は、いくつもキスを落とした。額。瞼の上。頬。首筋。
「くすぐってぇ」
黎命くんは、クスクス笑う。
「ごめん、つい……」
「いや、いいんですよぉ。こういうの、最近好きなんで。誰かさんのせいでねぇ」
僕が、君に影響を与えることがあるなんて、思ってなかった。
「……可愛いね」
「三十路の男に何言ってんですかぁ?」
「君は、可愛いよ」
「もう、意地の悪りぃ……ん……」
黎命くんに、口付ける。
「は……ぁ……ほくとさん……」
「愛してるから、側にいさせてください」
「はい…………」
膨らみ続ける愛情に、僕はもう、針を刺さなくていい。全部、君に食べてもらえるから。