創作企画「冥冥の澱」
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機関の喫煙室の前を通ったら、同じ大学の鮭崎密瑠さんがいた。長身でカッコよくて、少しドジな女性。
私は、煙草を吸ったことがない。ので、面白そうだから、喫煙室へ入った。
「コンにちはぁ」
「よう、狐ヶ崎。あれ? 君、吸わないだろ?」
「煙草に興味がありまして」
「ふーん。一本吸う?」
密瑠さんは、煙草を箱からとん、と出して訊く。
「いいんですか?」
「うん」
「いただきます」
「ん」
煙草を取り、口にくわえた。密瑠さんが、ライターで火を着けてくれる。
「どうすればいいんですか? これ」
「とりあえず、ふかせば?」
「肺に入れずに味わえばいいんですよね?」
「そうそう」
煙を吸い、口内で味わう。
「なるほど。面白いですね」
「様んなってんじゃん。煙草持つ手、狐になってるけど」
密瑠さんは、笑った。
「密瑠さん、今度一緒にシーシャやりに行きません?」
「お、おう。僕とでいいのか?」
「はい」
「狐ヶ崎って、ほんと何でもやるよなー。いいぜ、乗るよ」
「ありがとうございます」
若干呆れたようにしながらも、密瑠さんは遊びに行く約束をしてくれる。
楽しみだなぁ。
◆◆◆
私が、密瑠さんと出会ったのは、大学へ行く途中にあるドブ川だった。
捨てられた釣り糸に引っかかってしまったカラスを助けてあげた、優しいあなた。カラスからのお返しは、びしょ濡れの羽による羽ばたきで。あなたは、ドブ水を全身に浴びた。
「大丈夫ですか?」
私は、橋から川べりに移動し、そう尋ねる。
「あー、まあ。仕方ないよな……」
「これ、よかったら、どうぞ」
「そんな綺麗なハンカチ使えねぇよ」
そう言って彼女は、服の袖で顔を拭う。
「もう、今日は講義フケるわ」
「おんなじ大学ですよね? 代返しときましょうか?」
「ああ、頼むわ」
「了解です。私、2年の狐ヶ崎宵といいます。お名前は?」
「鮭崎密瑠。同じく2年」
「よろしくお願いします」
「よろしくな」
その日、私は、密瑠さんの代わりに、出来るだけ多くの講義で返事をした。
メッセージアプリで、そのことを報告する。
『サンキュー』
『助かる』
それから、たまに大学で見かけると、他愛ないことを話すようになった。後に、おんなじ機関に所属していることも分かった。
日々、楽しく過ごしている。
◆◆◆
「前のふたり、どっちが男でどっちが女でしょーうか?」
「はあ? ムズくね?」
「だよなー」
聴こえてる、聴こえてる。人を勝手にクイズにしないでください。
私は、煙草を吸ったことがない。ので、面白そうだから、喫煙室へ入った。
「コンにちはぁ」
「よう、狐ヶ崎。あれ? 君、吸わないだろ?」
「煙草に興味がありまして」
「ふーん。一本吸う?」
密瑠さんは、煙草を箱からとん、と出して訊く。
「いいんですか?」
「うん」
「いただきます」
「ん」
煙草を取り、口にくわえた。密瑠さんが、ライターで火を着けてくれる。
「どうすればいいんですか? これ」
「とりあえず、ふかせば?」
「肺に入れずに味わえばいいんですよね?」
「そうそう」
煙を吸い、口内で味わう。
「なるほど。面白いですね」
「様んなってんじゃん。煙草持つ手、狐になってるけど」
密瑠さんは、笑った。
「密瑠さん、今度一緒にシーシャやりに行きません?」
「お、おう。僕とでいいのか?」
「はい」
「狐ヶ崎って、ほんと何でもやるよなー。いいぜ、乗るよ」
「ありがとうございます」
若干呆れたようにしながらも、密瑠さんは遊びに行く約束をしてくれる。
楽しみだなぁ。
◆◆◆
私が、密瑠さんと出会ったのは、大学へ行く途中にあるドブ川だった。
捨てられた釣り糸に引っかかってしまったカラスを助けてあげた、優しいあなた。カラスからのお返しは、びしょ濡れの羽による羽ばたきで。あなたは、ドブ水を全身に浴びた。
「大丈夫ですか?」
私は、橋から川べりに移動し、そう尋ねる。
「あー、まあ。仕方ないよな……」
「これ、よかったら、どうぞ」
「そんな綺麗なハンカチ使えねぇよ」
そう言って彼女は、服の袖で顔を拭う。
「もう、今日は講義フケるわ」
「おんなじ大学ですよね? 代返しときましょうか?」
「ああ、頼むわ」
「了解です。私、2年の狐ヶ崎宵といいます。お名前は?」
「鮭崎密瑠。同じく2年」
「よろしくお願いします」
「よろしくな」
その日、私は、密瑠さんの代わりに、出来るだけ多くの講義で返事をした。
メッセージアプリで、そのことを報告する。
『サンキュー』
『助かる』
それから、たまに大学で見かけると、他愛ないことを話すようになった。後に、おんなじ機関に所属していることも分かった。
日々、楽しく過ごしている。
◆◆◆
「前のふたり、どっちが男でどっちが女でしょーうか?」
「はあ? ムズくね?」
「だよなー」
聴こえてる、聴こえてる。人を勝手にクイズにしないでください。