創作企画「冥冥の澱」
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狐ヶ崎家の元旦の恒例行事を終えてから、私は陽一さんの家へ向かう。
もう夜だけど。仕方ない。
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「あけましておめでとう。今年もよろしくね、宵くん」
挨拶をしてから、ふたりでお雑煮を食べた。
「宵くん、家の用事って何してたの?」
「氏神の神狐に舞を奉納し、狐ヶ崎家総出で祈願するんですよ。私の母は欠席しましたけど」
「お母さん、今どこに?」
「今は、フランスのワイン蔵ですかね」
「ワインとチーズかなー」
「でしょうね」
お餅美味しい。いつもは、惰性で食べていたのに。あなたといるから?
私が家でしていた食事とは、なんだったのだろう? 給餌されて、それを消費していただけのような気がする。
お雑煮を食べ終え、のんびり過ごす。
それから、就寝の準備。
「陽一さん」
「なに?」
あなたの手を取り、指を絡めた。
「抱いてもいいですか?」
「い、いよ。うん」
愛してるんです。
「どうか、私を愛してください」
手を引いて、陽一さんにキスをした。
◆◆◆
里帰り。久々の大阪。
「ほんまによかったんか? 鍵野の用事に付き合ってもろて」
「ああ。式には出向いてもらったからな」
「んー。あんま見せたないんやけどなぁ」
「何故だ?」
「司ちゃんにも、恥じらいっちゅうもんがあるんや」
「お前に恥じるところはない」
「もう、そやないねん」
ばしばしと背中を叩いた。
俺は、去年、結婚した身やから、めっさ祝われんねん。
つまり、派手な着物着せられて、“縁起者”として鍵野本家を練り歩かされるんや。
「まあ、ええわ。どうせやるなら、ド派手に景気よく、やな」
「何をするんだ?」
「着いてからのお楽しみやで」
「そうか」
まだ包帯しとるから、見映えはようないかもしれんけど。
でも、アンタは、世界一綺麗やって言ってくれるやろ? 充分やな。
「司ぁ!」
駅に着くと、従兄の渚が出迎えてくれた。
「渚、あけおめやで」
「おめでとさん。靖及さんも、おめでとさんやで」
「あけましておめでとう」
「ほな、家まで送ったるわ」
「ありがとな、渚」
実家行ったら、くれそうな人には、金せびったろ。
◆◆◆
「起きてぇ! 朝! 初日の出!」
「は、はい! 起きます!」
年末は、徹夜でアニメ鑑賞マラソンをしよう。としていた。けれど、ふたり揃って寝落ち。
奇跡的にワタシは、目を覚ましたけど、パートナーは、すやすや寝ていた。可愛い寝顔をスマホのカメラで撮ってから、起こした。
「ほら、見て!」
「わぁ、綺麗ですね!」
「あ、あけましておめでとう……!」
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますね」
「うん、よろしくね」
アナタがいるなら、今年もハッピーなのです。
「お雑煮作りましょうか?」
「うん!」
ワタシは、料理が全く出来ないので、いつも頼りにしている。
この幸せよ、いつまでも続いて。
◆◆◆
今年の元旦礼拝。僕は、神様に祈っていた。
主よ。どうか、穣さんの隣にいさせてください。
教会の扉が開く音。
「六助くん?」
「穣さん……!」
「あけましておめでとう、六助くん」
「あけましておめでとう。寒いでしょ? 早く入って」
「お邪魔します。美世さんと五郎さんは?」
「教会まで来れない人の家を回ってるよ」
「そっか。じゃあ、戻るまで待ってようかな」
「うん!」
一緒に、教会の長椅子に座った。
「僕ね、穣さんの隣にいたいって祈ってた。そうしたら、穣さんが来たんだよ」
「僕も、六助くんに会いたかったよ」
「えへへ……」
そっと指を伸ばして、あなたの手に触れる。あなたは、それに気付くと、僕の手を握ってくれた。
「あのね、大好きだよ」
片手を口元に当てて、そう囁く。
僕のこと、よろしくね?
もう夜だけど。仕方ない。
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「あけましておめでとう。今年もよろしくね、宵くん」
挨拶をしてから、ふたりでお雑煮を食べた。
「宵くん、家の用事って何してたの?」
「氏神の神狐に舞を奉納し、狐ヶ崎家総出で祈願するんですよ。私の母は欠席しましたけど」
「お母さん、今どこに?」
「今は、フランスのワイン蔵ですかね」
「ワインとチーズかなー」
「でしょうね」
お餅美味しい。いつもは、惰性で食べていたのに。あなたといるから?
私が家でしていた食事とは、なんだったのだろう? 給餌されて、それを消費していただけのような気がする。
お雑煮を食べ終え、のんびり過ごす。
それから、就寝の準備。
「陽一さん」
「なに?」
あなたの手を取り、指を絡めた。
「抱いてもいいですか?」
「い、いよ。うん」
愛してるんです。
「どうか、私を愛してください」
手を引いて、陽一さんにキスをした。
◆◆◆
里帰り。久々の大阪。
「ほんまによかったんか? 鍵野の用事に付き合ってもろて」
「ああ。式には出向いてもらったからな」
「んー。あんま見せたないんやけどなぁ」
「何故だ?」
「司ちゃんにも、恥じらいっちゅうもんがあるんや」
「お前に恥じるところはない」
「もう、そやないねん」
ばしばしと背中を叩いた。
俺は、去年、結婚した身やから、めっさ祝われんねん。
つまり、派手な着物着せられて、“縁起者”として鍵野本家を練り歩かされるんや。
「まあ、ええわ。どうせやるなら、ド派手に景気よく、やな」
「何をするんだ?」
「着いてからのお楽しみやで」
「そうか」
まだ包帯しとるから、見映えはようないかもしれんけど。
でも、アンタは、世界一綺麗やって言ってくれるやろ? 充分やな。
「司ぁ!」
駅に着くと、従兄の渚が出迎えてくれた。
「渚、あけおめやで」
「おめでとさん。靖及さんも、おめでとさんやで」
「あけましておめでとう」
「ほな、家まで送ったるわ」
「ありがとな、渚」
実家行ったら、くれそうな人には、金せびったろ。
◆◆◆
「起きてぇ! 朝! 初日の出!」
「は、はい! 起きます!」
年末は、徹夜でアニメ鑑賞マラソンをしよう。としていた。けれど、ふたり揃って寝落ち。
奇跡的にワタシは、目を覚ましたけど、パートナーは、すやすや寝ていた。可愛い寝顔をスマホのカメラで撮ってから、起こした。
「ほら、見て!」
「わぁ、綺麗ですね!」
「あ、あけましておめでとう……!」
「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしますね」
「うん、よろしくね」
アナタがいるなら、今年もハッピーなのです。
「お雑煮作りましょうか?」
「うん!」
ワタシは、料理が全く出来ないので、いつも頼りにしている。
この幸せよ、いつまでも続いて。
◆◆◆
今年の元旦礼拝。僕は、神様に祈っていた。
主よ。どうか、穣さんの隣にいさせてください。
教会の扉が開く音。
「六助くん?」
「穣さん……!」
「あけましておめでとう、六助くん」
「あけましておめでとう。寒いでしょ? 早く入って」
「お邪魔します。美世さんと五郎さんは?」
「教会まで来れない人の家を回ってるよ」
「そっか。じゃあ、戻るまで待ってようかな」
「うん!」
一緒に、教会の長椅子に座った。
「僕ね、穣さんの隣にいたいって祈ってた。そうしたら、穣さんが来たんだよ」
「僕も、六助くんに会いたかったよ」
「えへへ……」
そっと指を伸ばして、あなたの手に触れる。あなたは、それに気付くと、僕の手を握ってくれた。
「あのね、大好きだよ」
片手を口元に当てて、そう囁く。
僕のこと、よろしくね?