創作企画「冥冥の澱」
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
隣にいてほしい。穣さんに。
「僕の隣にいて。ずっと、ずっと」
神様に、僕の「ごめんなさい」は届かないよ。でも、腕を伸ばせば、あなたに触れられる。
僕は、穣さんに抱き着いた。
「僕、穣さんのこと、大好きだよ……大好きなの、許してくれるの……?」
「もちろん。六助くんが望むなら」
穣さんは、優しく僕を抱き締め返してくれる。あったかい。
教会の窓から差し込む夕日が、ふたりを照らした。
「あのね、僕、したいことがあるの」
「なあに?」
ちょっと待ってね。僕は、そう言って穣さんから少し体を離した。
ポケットから、綺麗な白いハンカチを取り出す。それを広げて、2本の指先に被せる。そして、そこに口付けた。そのハンカチを、穣さんの唇に、そっと押し当てる。
「愛してる…………」
僕は、はにかみながら、告げた。
「六助くん……」
穣さんは、ちょっと照れて、僕をもう一度、ぎゅっと抱き締める。
「……君が愛しいよ」
ねぇ、それって僕と同じ“愛してる”なの? 同じだったら嬉しいなぁ。
好きだよ。大好きだよ。愛してるよ。
僕、人間になるから。ちゃんとした大人になるから。だから、それまで待っててね。
◆◆◆
僕の日々は、少しずつ変わった。傷は、少しずつ癒えていく。
あなたは、ずっと傍にいたね。僕の頭を撫でてくれたり、手を繋いでくれたり、ぎゅっと抱き締めてくれたり、添い寝してくれたり。
こんなにたくさん貰っていいのかなぁ? 僕は、穣さんに、何を与えられるのかなぁ?
「穣さん、僕ね……あなたに何をあげたらいいのか、分からないの……」
教会の長椅子に並んで座り、僕は訊いた。
「六助くんから、僕はいっぱい貰ってるよ。君の笑顔とか、照れた顔とか、可愛い寝顔とか」
「そんなものでいいの?」
「それがいいんだよ」
僕の手を、握り締めてから、穣さんは答える。
「……僕は、カワイイの?」
「可愛いよ」
「……ありがとう。僕はもう、みんなにカワイイって言って貰わなくてもいいんだぁ。穣さんが、そう思っていてくれるなら、それでいいの」
もう僕は、“みんなのもの”じゃないの。あなたと、僕、“ふたりのもの”だよ。たったふたりを、幸せにするために生きるよ。
僕は、ただの人間になっちゃったから、自分の幸せも勘定に入れてしまうの。
きっと、ふたりで幸せになれるよね? お日様の下で、笑っていられるよね? ずっと、ふたりで。
愛してるから、隣にいるよ。
どうか、僕を見つめていてね。その優しい目で、見ていてね。
さよなら。道徳と倫理と博愛を踏みにじった悪魔よ。快楽と人間への好意だけで生きていた悪魔よ。たくさんの人の愛を啜っていた悪魔よ。さよなら。
ひとりを選んだのが、罪だった。その罪は、あなたがゆるしてくれた。
「穣さん、大好き…………!」
僕は、穣さんの手を両手で取り、手の甲へキスをする。
敬愛する、僕の救い主。僕の全部を捧げるよ。
「僕の隣にいて。ずっと、ずっと」
神様に、僕の「ごめんなさい」は届かないよ。でも、腕を伸ばせば、あなたに触れられる。
僕は、穣さんに抱き着いた。
「僕、穣さんのこと、大好きだよ……大好きなの、許してくれるの……?」
「もちろん。六助くんが望むなら」
穣さんは、優しく僕を抱き締め返してくれる。あったかい。
教会の窓から差し込む夕日が、ふたりを照らした。
「あのね、僕、したいことがあるの」
「なあに?」
ちょっと待ってね。僕は、そう言って穣さんから少し体を離した。
ポケットから、綺麗な白いハンカチを取り出す。それを広げて、2本の指先に被せる。そして、そこに口付けた。そのハンカチを、穣さんの唇に、そっと押し当てる。
「愛してる…………」
僕は、はにかみながら、告げた。
「六助くん……」
穣さんは、ちょっと照れて、僕をもう一度、ぎゅっと抱き締める。
「……君が愛しいよ」
ねぇ、それって僕と同じ“愛してる”なの? 同じだったら嬉しいなぁ。
好きだよ。大好きだよ。愛してるよ。
僕、人間になるから。ちゃんとした大人になるから。だから、それまで待っててね。
◆◆◆
僕の日々は、少しずつ変わった。傷は、少しずつ癒えていく。
あなたは、ずっと傍にいたね。僕の頭を撫でてくれたり、手を繋いでくれたり、ぎゅっと抱き締めてくれたり、添い寝してくれたり。
こんなにたくさん貰っていいのかなぁ? 僕は、穣さんに、何を与えられるのかなぁ?
「穣さん、僕ね……あなたに何をあげたらいいのか、分からないの……」
教会の長椅子に並んで座り、僕は訊いた。
「六助くんから、僕はいっぱい貰ってるよ。君の笑顔とか、照れた顔とか、可愛い寝顔とか」
「そんなものでいいの?」
「それがいいんだよ」
僕の手を、握り締めてから、穣さんは答える。
「……僕は、カワイイの?」
「可愛いよ」
「……ありがとう。僕はもう、みんなにカワイイって言って貰わなくてもいいんだぁ。穣さんが、そう思っていてくれるなら、それでいいの」
もう僕は、“みんなのもの”じゃないの。あなたと、僕、“ふたりのもの”だよ。たったふたりを、幸せにするために生きるよ。
僕は、ただの人間になっちゃったから、自分の幸せも勘定に入れてしまうの。
きっと、ふたりで幸せになれるよね? お日様の下で、笑っていられるよね? ずっと、ふたりで。
愛してるから、隣にいるよ。
どうか、僕を見つめていてね。その優しい目で、見ていてね。
さよなら。道徳と倫理と博愛を踏みにじった悪魔よ。快楽と人間への好意だけで生きていた悪魔よ。たくさんの人の愛を啜っていた悪魔よ。さよなら。
ひとりを選んだのが、罪だった。その罪は、あなたがゆるしてくれた。
「穣さん、大好き…………!」
僕は、穣さんの手を両手で取り、手の甲へキスをする。
敬愛する、僕の救い主。僕の全部を捧げるよ。