創作企画「冥冥の澱」
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恋した罰。ひとりを選んだ罪。
「う……あ…………」
「お前のせいで、俺は……悪魔の癖に、恋しただと? クソガキが……」
「く、くるし…………」
「消えろ。消えちまえ……!」
きりきりきりきり。腕が、僕の首を絞める。
やめてよ。ママとパパが、悲しむよ。
それに、きっと、あなたも。
「死ねよ、悪魔」
さよなら、穣さん。僕の好きな人。
僕は、地獄行きだから、もう会えないね。
◆◆◆
————学園にて、殺人事件が発生しました。男性教師が、男子生徒を絞殺したもよう。男は、しきりに「悪魔を殺しただけ」と呟いています。精神鑑定に————
「六助先輩? 明るくていい人でしたよ。みんなに、優しくて……」
「矢木のことは、よく知りません。失礼します」
「六助くんは、彼は……すいません、私、帰ります……」
「なんなのよ、アナタたち! カメラ止めなさいよ!」
「ボクらは、何も語らないよ。帰って。ひとり息子を喪ったんだ。そっとしておいてくれ」
「矢木六助はね、悪魔だったよ。あの先生、誘惑されて、ずぶずぶだったんじゃない?」
————精神鑑定の結果、犯人には、責任能力がないと判断します。よって、殺人は無罪————
◆◆◆
祈っている。毎日、祈りを捧げている。息子、矢木六助の安寧を願う。
六助の両親は、熱心に祈った。
主よ。どうか、息子が安らかな眠りにつけますように。
教会の外壁には、“悪魔の子”“淫売”“汚物”“死んで当然”“詐欺”“裁かれろ”などの、言葉が落書きされている。
そんなことは、いい。六助は、いい子だった。少なくとも、両親にとっては。
ある日、匿名で一通の手紙が矢木教会に届いた。
『矢木ご夫妻へ
私は、六助くんに救われていました。彼以外、誰も私に優しくなんてしてくれなかったのです。彼は、私を抱き締めてくれました。好きだと言ってくれました。私は、本当に幸せでした。彼は、私の救い主です。その彼が殺されたことは、本当に悲しいです。彼は、私の太陽でした。心から、お悔やみを申し上げます。名乗り出ない無礼を、おゆるしください。六助くんを産んでくださったおふたりに、感謝を』
その手紙は、ふたりの大切なものになった。
息子が亡くなってから、徐々に見えてきた真相。息子のしてきたこと。それは、淫らな行為を不特定多数としていたこと。その全員を、本当に好きだったこと。恋をして、それをやめたこと。そのことを恨まれ、殺された。
あの子は、きっと、“与える者”だった。それは、とても誇らしいこと。
だから、ふたりは、前を向いて生きていられる。
「う……あ…………」
「お前のせいで、俺は……悪魔の癖に、恋しただと? クソガキが……」
「く、くるし…………」
「消えろ。消えちまえ……!」
きりきりきりきり。腕が、僕の首を絞める。
やめてよ。ママとパパが、悲しむよ。
それに、きっと、あなたも。
「死ねよ、悪魔」
さよなら、穣さん。僕の好きな人。
僕は、地獄行きだから、もう会えないね。
◆◆◆
————学園にて、殺人事件が発生しました。男性教師が、男子生徒を絞殺したもよう。男は、しきりに「悪魔を殺しただけ」と呟いています。精神鑑定に————
「六助先輩? 明るくていい人でしたよ。みんなに、優しくて……」
「矢木のことは、よく知りません。失礼します」
「六助くんは、彼は……すいません、私、帰ります……」
「なんなのよ、アナタたち! カメラ止めなさいよ!」
「ボクらは、何も語らないよ。帰って。ひとり息子を喪ったんだ。そっとしておいてくれ」
「矢木六助はね、悪魔だったよ。あの先生、誘惑されて、ずぶずぶだったんじゃない?」
————精神鑑定の結果、犯人には、責任能力がないと判断します。よって、殺人は無罪————
◆◆◆
祈っている。毎日、祈りを捧げている。息子、矢木六助の安寧を願う。
六助の両親は、熱心に祈った。
主よ。どうか、息子が安らかな眠りにつけますように。
教会の外壁には、“悪魔の子”“淫売”“汚物”“死んで当然”“詐欺”“裁かれろ”などの、言葉が落書きされている。
そんなことは、いい。六助は、いい子だった。少なくとも、両親にとっては。
ある日、匿名で一通の手紙が矢木教会に届いた。
『矢木ご夫妻へ
私は、六助くんに救われていました。彼以外、誰も私に優しくなんてしてくれなかったのです。彼は、私を抱き締めてくれました。好きだと言ってくれました。私は、本当に幸せでした。彼は、私の救い主です。その彼が殺されたことは、本当に悲しいです。彼は、私の太陽でした。心から、お悔やみを申し上げます。名乗り出ない無礼を、おゆるしください。六助くんを産んでくださったおふたりに、感謝を』
その手紙は、ふたりの大切なものになった。
息子が亡くなってから、徐々に見えてきた真相。息子のしてきたこと。それは、淫らな行為を不特定多数としていたこと。その全員を、本当に好きだったこと。恋をして、それをやめたこと。そのことを恨まれ、殺された。
あの子は、きっと、“与える者”だった。それは、とても誇らしいこと。
だから、ふたりは、前を向いて生きていられる。