創作企画「冥冥の澱」
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可愛ええ従妹の結婚式。それに出席するために、俺は初めて東京に来た。
「司、結婚おめでとさん」
「ありがとやで、渚」
「お前なぁ、たまには“さん”付けぇや」
「サン・渚」
「リングネームみたいになっとるやないか!」
花嫁に、ツッコミを入れる。
「渚は、いつ結婚するんや?」
「お前、相手おらんの知っとるやろが!」
「アクセ作るのに夢中になると、連絡途絶えるからやで。知らんけど」
「創作者なんて、みんなそんなもんやろ」
「俺の旦那は、そないなことないで」
「なに惚気とんねん! ええ加減にせぇ!」
純白のウェディングパンツスーツを着た司は、「ひゃははっ!」と笑った。
司、世界でいっちゃん幸せになり。鍵野渚は、いつでもお前たち夫婦の味方やで。
◆◆◆
多くの出席者の中に、目を引かれる鮮烈な青があった。
青い礼服の、俺くらいの身長の美人さん。綺麗な青みがかった髪。瞳は、黄金色。
大阪に帰ってからも、頭から離れへん。
気付けば、俺は“あの青色”のアクセサリーばかり作っとった。モチーフは、海。俺の好きな、海。
俺の名前は渚やから、海をモチーフにすんのは、よくあることや。
せやけど、こんな。延々と、“あの色”のもんを作るっちゅうのは、変や。
俺、もしかして、なんも知らん人に恋しとる? ヤバいで、ほんま。
「どないしよ…………」
どないもこないもあらへん。俺の人生に、あの人は無関係やねん。あの人の人生にとっても、俺なんて端役以下やん。
早よ、忘れよ。そこらで、姉ちゃん引っかけて、忘れよ。
そう考えとるのに、でけへん。もうこれ、アカンのとちゃうか?
司に訊いてみよか? いや、ストーカーやんな? 怖いやろ、そんなん。
どないしたらええんや。
なんや、今日、暑ない? ってお前が勝手に顔赤くしとるだけやがな。
「ははは…………ほんまか…………?」
ほんまや。俺は、あの人が好きなんや。
イルカを象ったリング。貝殻のペンダント。青色のシーグラスのピアス。
そんで、今手にしとるのが、人魚姫モチーフのイヤリング。
自宅兼工房で、俺はひとり、呆然とした。
なんやなんや。ほんまに。なんや。鍵野渚らしくないやん。
なんもせんでも、姉ちゃんらは寄ってきて、俺に幻滅して、去ってく。それはもう、なんべんもあったことやから、慣れとる。
せやけど、今度は、あんまりやろ。なーんも相手のこと知らん。ほんまに知らん。正味、性別も分からん。
なあ、鍵野のお狐様よ。俺に、どないせぇっちゅうんや?
「司、結婚おめでとさん」
「ありがとやで、渚」
「お前なぁ、たまには“さん”付けぇや」
「サン・渚」
「リングネームみたいになっとるやないか!」
花嫁に、ツッコミを入れる。
「渚は、いつ結婚するんや?」
「お前、相手おらんの知っとるやろが!」
「アクセ作るのに夢中になると、連絡途絶えるからやで。知らんけど」
「創作者なんて、みんなそんなもんやろ」
「俺の旦那は、そないなことないで」
「なに惚気とんねん! ええ加減にせぇ!」
純白のウェディングパンツスーツを着た司は、「ひゃははっ!」と笑った。
司、世界でいっちゃん幸せになり。鍵野渚は、いつでもお前たち夫婦の味方やで。
◆◆◆
多くの出席者の中に、目を引かれる鮮烈な青があった。
青い礼服の、俺くらいの身長の美人さん。綺麗な青みがかった髪。瞳は、黄金色。
大阪に帰ってからも、頭から離れへん。
気付けば、俺は“あの青色”のアクセサリーばかり作っとった。モチーフは、海。俺の好きな、海。
俺の名前は渚やから、海をモチーフにすんのは、よくあることや。
せやけど、こんな。延々と、“あの色”のもんを作るっちゅうのは、変や。
俺、もしかして、なんも知らん人に恋しとる? ヤバいで、ほんま。
「どないしよ…………」
どないもこないもあらへん。俺の人生に、あの人は無関係やねん。あの人の人生にとっても、俺なんて端役以下やん。
早よ、忘れよ。そこらで、姉ちゃん引っかけて、忘れよ。
そう考えとるのに、でけへん。もうこれ、アカンのとちゃうか?
司に訊いてみよか? いや、ストーカーやんな? 怖いやろ、そんなん。
どないしたらええんや。
なんや、今日、暑ない? ってお前が勝手に顔赤くしとるだけやがな。
「ははは…………ほんまか…………?」
ほんまや。俺は、あの人が好きなんや。
イルカを象ったリング。貝殻のペンダント。青色のシーグラスのピアス。
そんで、今手にしとるのが、人魚姫モチーフのイヤリング。
自宅兼工房で、俺はひとり、呆然とした。
なんやなんや。ほんまに。なんや。鍵野渚らしくないやん。
なんもせんでも、姉ちゃんらは寄ってきて、俺に幻滅して、去ってく。それはもう、なんべんもあったことやから、慣れとる。
せやけど、今度は、あんまりやろ。なーんも相手のこと知らん。ほんまに知らん。正味、性別も分からん。
なあ、鍵野のお狐様よ。俺に、どないせぇっちゅうんや?