創作企画「冥冥の澱」
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
文車妖妃。失火の際に、書物をまとめて移動させるための車の妖。また、恋文に積もった執念が変化したもの。
【狐ヶ崎明様へ
お慕いしております。どうか、私を愛してくださいませんか? どうか、私だけを見ていてくださいませんか? お願いです。
文彩蔵より】
文彩蔵は、毎日、毎日、恋文を書いている。そして、その手紙がある程度増えたら、それを燃やす。キッチンのコンロで火を付けて、雑に燃やす。恋心も一緒に燃えてしまえ、と思いながら。
あなたには、許嫁がいるから。あなたには、都合のいい女がたくさんいるから。あなたに私は、不釣り合い。
でも、実は私、あなたの都合のいい女のひとりなんです。
“狐ヶ崎明さん”
“誰だ? お前は”
“彩と申します”
“あや……?”
“どうか、私と一夜限りの戯れを、お願いします”
あなたは、女性化した私を抱いた。それは、一夜限りでは終わらなかった。そのことは、とても幸せだった。
「もう、それじゃ足りないよ…………」
ずっと、ドロドロとした感情を抱えている。嫉妬に狂っている。
あなたが、憎らしい。
彩のスマートフォンが鳴る。
「はい」
女性化してから、電話に出た。
『彩、遊んでやる。今から来い』
「はい、ありがとうございます」
私は、喜んでいる。悲しんでもいる。
そして、狐ヶ崎のお家へ向かう。馬鹿みたい。
「こんばんは、田中さん」
「彩さん…………」
狐ヶ崎家のお手伝いさん。田中さんは、眉をひそめた。
「明様のお部屋へですね?」
「はい」
「彩さん、もっとご自分を大切にされては?」
最近、この家のお手伝いさんたちは、変わってきている。私を気遣う人が増えた。
「いいんです。私、幸せですから」
「そうですか…………」
田中さんは引き下がり、私を明さんの部屋へ送る。
「では、失礼します」
「ありがとうございます」
襖を開けると、あなたがいた。
心底、憎らしいあなたがいる。
「こんばんは、明さん」
「遅い」
「申し訳ありません」
「さっさと脱げ」
「はい」
私は、自ら服を脱ぐ。そして、裸身を晒して、あなたを見つめる。
明さんは、不機嫌そうなまま立ち上がり、私にキスをした。舌を絡めて、深くキスをする。
足りない。
その後、布団に押し倒されて、抱かれた。
足りない。
「彩。お前は、いつまでも従順でいろ」
「はい」
足りない。足りない。足りない。
「ねぇ、明さん。私のこと、愛していますか?」
「ああ、もちろん」
「嬉しい」
足りない! 足りない! 足りない!
だって、あなたのそれは、愛じゃない!
あなたは、人を愛せない男だから。気付いてる?
【狐ヶ崎明様へ
お慕いしております。どうか、私を愛してくださいませんか? どうか、私だけを見ていてくださいませんか? お願いです。
文彩蔵より】
文彩蔵は、毎日、毎日、恋文を書いている。そして、その手紙がある程度増えたら、それを燃やす。キッチンのコンロで火を付けて、雑に燃やす。恋心も一緒に燃えてしまえ、と思いながら。
あなたには、許嫁がいるから。あなたには、都合のいい女がたくさんいるから。あなたに私は、不釣り合い。
でも、実は私、あなたの都合のいい女のひとりなんです。
“狐ヶ崎明さん”
“誰だ? お前は”
“彩と申します”
“あや……?”
“どうか、私と一夜限りの戯れを、お願いします”
あなたは、女性化した私を抱いた。それは、一夜限りでは終わらなかった。そのことは、とても幸せだった。
「もう、それじゃ足りないよ…………」
ずっと、ドロドロとした感情を抱えている。嫉妬に狂っている。
あなたが、憎らしい。
彩のスマートフォンが鳴る。
「はい」
女性化してから、電話に出た。
『彩、遊んでやる。今から来い』
「はい、ありがとうございます」
私は、喜んでいる。悲しんでもいる。
そして、狐ヶ崎のお家へ向かう。馬鹿みたい。
「こんばんは、田中さん」
「彩さん…………」
狐ヶ崎家のお手伝いさん。田中さんは、眉をひそめた。
「明様のお部屋へですね?」
「はい」
「彩さん、もっとご自分を大切にされては?」
最近、この家のお手伝いさんたちは、変わってきている。私を気遣う人が増えた。
「いいんです。私、幸せですから」
「そうですか…………」
田中さんは引き下がり、私を明さんの部屋へ送る。
「では、失礼します」
「ありがとうございます」
襖を開けると、あなたがいた。
心底、憎らしいあなたがいる。
「こんばんは、明さん」
「遅い」
「申し訳ありません」
「さっさと脱げ」
「はい」
私は、自ら服を脱ぐ。そして、裸身を晒して、あなたを見つめる。
明さんは、不機嫌そうなまま立ち上がり、私にキスをした。舌を絡めて、深くキスをする。
足りない。
その後、布団に押し倒されて、抱かれた。
足りない。
「彩。お前は、いつまでも従順でいろ」
「はい」
足りない。足りない。足りない。
「ねぇ、明さん。私のこと、愛していますか?」
「ああ、もちろん」
「嬉しい」
足りない! 足りない! 足りない!
だって、あなたのそれは、愛じゃない!
あなたは、人を愛せない男だから。気付いてる?