創作企画「冥冥の澱」
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
窓から、巨大な目がワタシを見ていた。そして、頭の中に、恐ろしく冷たい声が響く。
“お前は無価値だ”
“両親が別れたのは、お前のせいだ”
“弟は、まともなのに、お前は狂っている”
“社会不適合者”
“生まれながらの厄介者”
“お荷物”
“死ね”
“早く死ね”
“存在を消せ”
“無為な生命”
知ってるよ。でも、知ってることを言われると、傷付くの。
「すいません、死にます…………」
処方された睡眠薬を全て、酒と共に飲み干した。
「おやすみなさい」
もう、目覚めることはないのだろう。ワタシは、ソファーに横になる。
その後、意識のないワタシを見付けて、アナタは救急車を呼んでくれた。ワタシは、病院で胃洗浄され、生き延びた。
「どうして、あんなことしたんですか?」
「窓の外の大きな怪物が、ずっと死ねって言うのです」
精神病棟に入れられたワタシは、精神科医に、そう告げる。見事に病名をもらい、自殺未遂の罪で、懲役3ヶ月になった。
しばらく、食事が出来ないでいた。何も食べたくない。そうしたら、苦言を呈された。
「食べられないと、点滴ですよ」
「死なせてください」
「出来ません」
危険物は、何もかも持たせてもらえない。ペン一本すら、持てない。だったら、もう、餓死しかないじゃないか。
「砂江さん」
「はい…………」
「とある機関から、あなたにお話があるそうです。この後、お会いになるとのことです」
「はい?」
拒否権はないらしい。
ワタシは、別室へ連れて行かれ、そこには黒いスーツの男女がいた。
「砂江砂絵さんですね? かけてください」
女性が、ワタシに、優しく声をかける。言われた通りに、パイプ椅子に座った。
「あなたは、窓の外に怪物がいるとおっしゃっていましたよね?」
「はい」
「それは、いつからいましたか?」
「ワタシが、小さい頃からいました。昔は、別に大きい怪物じゃなくて、黒い靄みたいな感じでしたけど」
「あなた、見えている人ですね」
「へ?」
それは、澱みというもの。人の負の感情の産物。異形。それは、人を害するもの。この世にある、滅するべきもの。
それが、ワタシの住んでいるマンションに巣食っていたそうだ。あのマンションは、田舎に建つ一番の高所だから、自殺スポットになっていた。そのことが、負の感情を呼び起こす要因となっていたらしい。
「ワタシ、頭がおかしいのではなかったのですか?」
「はい。あなたは正常です。よろしければ、退院後に、我々の対澱み討伐機関に所属していただきたく存じます」
ワタシ、狂ってなかった。狂っていたのは、世界の方。
この、おかしい世界には、アナタがいる。アナタのことを、ワタシは守れる?
「ワタシ、ワタシは、大切な人を守りたいです」
その日の夕食は、全て食べた。胃が悲鳴を上げていたが、完食した。
次も、その次も、ワタシは食べた。
並食を、普通に食べられるようになった頃、アナタがお見舞いに来て。ワタシは泣きながら、謝った。
「ごめんなさい。ワタシ、間違ってた。もう死のうとなんてしないから、だから、どうか、傍にいさせて……」
「砂絵さん、ずっと一緒にいてください。結婚しましょう」
「……はい」
退院後は、それはもう、目まぐるしかった。就職手続きやら、結婚の準備やら、引っ越しやら。
ふたりの家は、一軒家にした。これからずっと、この場所と、アナタを守るよ。ワタシの命は、きっと、そのためにある。
どうか、何があっても、ずっと一緒にいてね。
アナタのことは原則、内緒にします。だって、ワタシだけの大切だから。
“お前は無価値だ”
“両親が別れたのは、お前のせいだ”
“弟は、まともなのに、お前は狂っている”
“社会不適合者”
“生まれながらの厄介者”
“お荷物”
“死ね”
“早く死ね”
“存在を消せ”
“無為な生命”
知ってるよ。でも、知ってることを言われると、傷付くの。
「すいません、死にます…………」
処方された睡眠薬を全て、酒と共に飲み干した。
「おやすみなさい」
もう、目覚めることはないのだろう。ワタシは、ソファーに横になる。
その後、意識のないワタシを見付けて、アナタは救急車を呼んでくれた。ワタシは、病院で胃洗浄され、生き延びた。
「どうして、あんなことしたんですか?」
「窓の外の大きな怪物が、ずっと死ねって言うのです」
精神病棟に入れられたワタシは、精神科医に、そう告げる。見事に病名をもらい、自殺未遂の罪で、懲役3ヶ月になった。
しばらく、食事が出来ないでいた。何も食べたくない。そうしたら、苦言を呈された。
「食べられないと、点滴ですよ」
「死なせてください」
「出来ません」
危険物は、何もかも持たせてもらえない。ペン一本すら、持てない。だったら、もう、餓死しかないじゃないか。
「砂江さん」
「はい…………」
「とある機関から、あなたにお話があるそうです。この後、お会いになるとのことです」
「はい?」
拒否権はないらしい。
ワタシは、別室へ連れて行かれ、そこには黒いスーツの男女がいた。
「砂江砂絵さんですね? かけてください」
女性が、ワタシに、優しく声をかける。言われた通りに、パイプ椅子に座った。
「あなたは、窓の外に怪物がいるとおっしゃっていましたよね?」
「はい」
「それは、いつからいましたか?」
「ワタシが、小さい頃からいました。昔は、別に大きい怪物じゃなくて、黒い靄みたいな感じでしたけど」
「あなた、見えている人ですね」
「へ?」
それは、澱みというもの。人の負の感情の産物。異形。それは、人を害するもの。この世にある、滅するべきもの。
それが、ワタシの住んでいるマンションに巣食っていたそうだ。あのマンションは、田舎に建つ一番の高所だから、自殺スポットになっていた。そのことが、負の感情を呼び起こす要因となっていたらしい。
「ワタシ、頭がおかしいのではなかったのですか?」
「はい。あなたは正常です。よろしければ、退院後に、我々の対澱み討伐機関に所属していただきたく存じます」
ワタシ、狂ってなかった。狂っていたのは、世界の方。
この、おかしい世界には、アナタがいる。アナタのことを、ワタシは守れる?
「ワタシ、ワタシは、大切な人を守りたいです」
その日の夕食は、全て食べた。胃が悲鳴を上げていたが、完食した。
次も、その次も、ワタシは食べた。
並食を、普通に食べられるようになった頃、アナタがお見舞いに来て。ワタシは泣きながら、謝った。
「ごめんなさい。ワタシ、間違ってた。もう死のうとなんてしないから、だから、どうか、傍にいさせて……」
「砂絵さん、ずっと一緒にいてください。結婚しましょう」
「……はい」
退院後は、それはもう、目まぐるしかった。就職手続きやら、結婚の準備やら、引っ越しやら。
ふたりの家は、一軒家にした。これからずっと、この場所と、アナタを守るよ。ワタシの命は、きっと、そのためにある。
どうか、何があっても、ずっと一緒にいてね。
アナタのことは原則、内緒にします。だって、ワタシだけの大切だから。