創作企画「冥冥の澱」
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対澱み討伐機関の建物内の廊下で、不意に声をかけられた。
「君って、あの狐ヶ崎の人でしょ?」
「はい。宵です」
「僕、矢木六助でーす! ろっくんって呼んでね!」
「ろっくんさん」
「さんは、いらないよぉ」
六助は、くすくす笑う。
「僕、宵くんと仲良くなりたいな」
「私と?」
「うん! だって、宵くんって凄く面白いから。色んなことしてて、凄い! えーと、おうわさはかねがね?」
「はぁ、まあ、趣味探しですが……」
「僕の家、そんなに遠くないからさ。遊びに来てよ。教会の裏手にあるんだけど」
「教会……って」
ああ、“矢木”教会か。と、宵は気付いた。
「いいですよ。この後、予定はありませんので」
「やったー! ありがとー!」
「え」
抱き着かれて、頬にキスをされ、しばし言葉を失う。
「えっ。帰国子女か何かですか?」
「違うよ?」
「はぁ、そうですか」
なんだろう。頭の中が、警戒色で染まっていく。
「それじゃあ、行こ!」
六助に手を引かれ、宵は、矢木教会へ向けて歩き出した。
頭の中の黄色信号は、ずっと光り続ける。
◆◆◆
矢木家の、六助の部屋は、白を基調とした家具で揃えられ、綺麗に片付いていた。
「いいお部屋ですね」
「でしょー? 僕も好き!」
ソファーに座ってね、と言われて、座ると。次の瞬間、宵の視界には、六助と、白い天井が見えた。
六助に、押し倒されている。
「ろっくん?」
「君は、“どっち”がいいの?」
「はい?」
「僕を抱くか、僕に抱かれるか」
「何故、そんなことを?」
頭の中の警戒色は、真っ赤に染まった。
「言ったでしょ? 宵くんと仲良くなりたいって」
「あの、私には恋人がいるんですが……」
「えー? 関係ある?」
「あります」
「じゃあ、恋人にバレなければいいんだ? 僕、誰にも言わないよ?」
「そういう問題ではありません。失礼します」
ぐい、と六助を押し退けて、立ち上がろうとする。
「わー! 待って待って!」
背中から、抱き着かれた。
「なんでダメなの? 僕、カワイイのに」
「世界で一番可愛いのは、私の恋人なんで」
「じゃあ、二番目でいいから、セックスしようよー!」
「しません。離してください」
「え~ん」
六助は涙を浮かべ、宵の背中に頭を押し付ける。
「やれやれ。仕方ないですね」
「する?!」
「もっと楽しいことしましょうよ」
宵は、足元にある鞄の中から、サメマゲドンというカードゲームを取り出した。バカげたサメ映画に出て来るキメラ的なサメを手札で作り、強い方が勝つ、アナログゲーム。
「サメマゲドン、しましょうか」
「さめまげどん?」
「ふふ。ふたりで出来る楽しいことですよ」
「やるやる~!」
その後、ごく普通にゲームを何回戦かして、六助は、宵にボロ負けした。
「また、私の勝ちですね」
「わ~ん! 宵くん、強過ぎ!」
「さて、そろそろ帰りますね」
「また遊んでくれる?」
「次は、他の人も呼んで、海底探検しましょうか」
「それもゲーム?」
「アナログゲームです」
「するする~!」
六助は、本当に楽しかったらしく、ニコニコしている。同列なのだ。セックスするのも、ゲームをするのも。
「では、お邪魔しました」
「またね、宵くん~!」
「はい、また今度」
宵は、会釈して、帰途についた。
そして、すぐにスマホを取り出し、電話をかける。
『宵くん、どうしたの?』
「矢木六助さんと、ふたりきりにならないでください」
『ん?』
「ああいうのも、コミュ力があるって言うんですかね? とにかく、矢木六助さんとは、絶対にふたりきりにならないでくださいね」
『う、うん……』
「ふたりきりになってしまったら、自分のホームに、相手を引きずり込んでください。そうですね、陽一さんなら、大食い勝負をしかけるとか……そうすれば、勝てます……」
『中ボスの話してる?』
「詳しいことは、後で説明します」
あなたがいなければ、私は誘いに乗っていたかもしれない。
宵は、薄暗い空を見上げ、運命とは、こういうことなのだろうか? と考えた。
「君って、あの狐ヶ崎の人でしょ?」
「はい。宵です」
「僕、矢木六助でーす! ろっくんって呼んでね!」
「ろっくんさん」
「さんは、いらないよぉ」
六助は、くすくす笑う。
「僕、宵くんと仲良くなりたいな」
「私と?」
「うん! だって、宵くんって凄く面白いから。色んなことしてて、凄い! えーと、おうわさはかねがね?」
「はぁ、まあ、趣味探しですが……」
「僕の家、そんなに遠くないからさ。遊びに来てよ。教会の裏手にあるんだけど」
「教会……って」
ああ、“矢木”教会か。と、宵は気付いた。
「いいですよ。この後、予定はありませんので」
「やったー! ありがとー!」
「え」
抱き着かれて、頬にキスをされ、しばし言葉を失う。
「えっ。帰国子女か何かですか?」
「違うよ?」
「はぁ、そうですか」
なんだろう。頭の中が、警戒色で染まっていく。
「それじゃあ、行こ!」
六助に手を引かれ、宵は、矢木教会へ向けて歩き出した。
頭の中の黄色信号は、ずっと光り続ける。
◆◆◆
矢木家の、六助の部屋は、白を基調とした家具で揃えられ、綺麗に片付いていた。
「いいお部屋ですね」
「でしょー? 僕も好き!」
ソファーに座ってね、と言われて、座ると。次の瞬間、宵の視界には、六助と、白い天井が見えた。
六助に、押し倒されている。
「ろっくん?」
「君は、“どっち”がいいの?」
「はい?」
「僕を抱くか、僕に抱かれるか」
「何故、そんなことを?」
頭の中の警戒色は、真っ赤に染まった。
「言ったでしょ? 宵くんと仲良くなりたいって」
「あの、私には恋人がいるんですが……」
「えー? 関係ある?」
「あります」
「じゃあ、恋人にバレなければいいんだ? 僕、誰にも言わないよ?」
「そういう問題ではありません。失礼します」
ぐい、と六助を押し退けて、立ち上がろうとする。
「わー! 待って待って!」
背中から、抱き着かれた。
「なんでダメなの? 僕、カワイイのに」
「世界で一番可愛いのは、私の恋人なんで」
「じゃあ、二番目でいいから、セックスしようよー!」
「しません。離してください」
「え~ん」
六助は涙を浮かべ、宵の背中に頭を押し付ける。
「やれやれ。仕方ないですね」
「する?!」
「もっと楽しいことしましょうよ」
宵は、足元にある鞄の中から、サメマゲドンというカードゲームを取り出した。バカげたサメ映画に出て来るキメラ的なサメを手札で作り、強い方が勝つ、アナログゲーム。
「サメマゲドン、しましょうか」
「さめまげどん?」
「ふふ。ふたりで出来る楽しいことですよ」
「やるやる~!」
その後、ごく普通にゲームを何回戦かして、六助は、宵にボロ負けした。
「また、私の勝ちですね」
「わ~ん! 宵くん、強過ぎ!」
「さて、そろそろ帰りますね」
「また遊んでくれる?」
「次は、他の人も呼んで、海底探検しましょうか」
「それもゲーム?」
「アナログゲームです」
「するする~!」
六助は、本当に楽しかったらしく、ニコニコしている。同列なのだ。セックスするのも、ゲームをするのも。
「では、お邪魔しました」
「またね、宵くん~!」
「はい、また今度」
宵は、会釈して、帰途についた。
そして、すぐにスマホを取り出し、電話をかける。
『宵くん、どうしたの?』
「矢木六助さんと、ふたりきりにならないでください」
『ん?』
「ああいうのも、コミュ力があるって言うんですかね? とにかく、矢木六助さんとは、絶対にふたりきりにならないでくださいね」
『う、うん……』
「ふたりきりになってしまったら、自分のホームに、相手を引きずり込んでください。そうですね、陽一さんなら、大食い勝負をしかけるとか……そうすれば、勝てます……」
『中ボスの話してる?』
「詳しいことは、後で説明します」
あなたがいなければ、私は誘いに乗っていたかもしれない。
宵は、薄暗い空を見上げ、運命とは、こういうことなのだろうか? と考えた。