昨夜、背後から一突きして仕留めた獲物を解体し、枝肉にする。
　時計を見ると、そろそろ昼食の時間である。
　すっかり食肉になった、それ。それを、今度は調理する。
　一口大に切り分け、調味料を入れたボウルに漬け込む。
　片栗粉をまぶして、熱した油で揚げる。
　良い匂いだ。
　皿に盛り付けて、完成。
「命をもらうのだから、感謝して食べよう」と子供の頃に教わった。
　小さな頃から思っていたのだが、感謝したらなんだというのだろう？
　自分だったら、感謝されようが、食べた者のことを恨むし、呪う。
　幼い自分は、食べるために命を奪うことを嫌悪した。けれど今は、全身の細胞が、食らえと叫んでいる。

「ごめんなさい、いただきます」

　手を合わせてから、唐揚げを齧った。旨い。
隣の家が害虫駆除とやらで、なんだか騒がしくて困ったが、ご馳走の前では、騒音も消え失せた。