創作企画「冥冥の澱」
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近くに来たから、迎えに行ったろ思た。
そしたら。なんか湧いた。
「お前、網代司だろ」
「誰や、自分?」
知らん男が、俺を呼び止める。
「お前の旦那、抱いたことあるぞ」
「あ?」
「知らねぇのか? アイツ、色んな奴と寝てるよ」
下卑た笑いを浮かべよる、知らん顔。
「あぁ?」
「よく結婚なんて出来たな、あんな淫猥な男とよ」
はぁ、なるほどな。つまり、俺に喧嘩売っとるんやな?
「セックスしたくらいで、なんじゃわれ。いてこますぞ?」
「やれるもんなら、やってみろよ」
「鍵野の呪いは陰湿やでぇ。死なせてくれ言うても、やめへんからな」
バッグから、符を取り出し、それごと指先を向ける。
「そんなことして、赦されると思ってんのかよ?」
「それは、俺の台詞や。俺が人生賭けた相手を貶したんやぞ、おどれ。覚悟しぃや」
符を口にくわえて、両手を合わせた。
「な……お前まさか、本気で……?」
相手を、睨む。呪いを込めて。足先から少しずつ腐らせたろか? 穴という穴から、血ぃ出させたろか? 骨、全部粉々にしたろか?
パンッと一発、両手を打ち鳴らした。
「ひッ……!?」
アホが、尻尾巻いて逃げよる。俺は、ただの白い紙を、バッグに戻す。
「ふん。ドブカスやな」
ほんま、しょーもない奴やった。もっかい来たら、呪ったるからな。俺の愛する人を馬鹿にされて、黙っとるような女やないねん。
さっさと、靖及さんのとこ行こ。
俺にとって大切なのは、今や。過去があって、今がある。未来を輝かすのは、俺や。
◆◆◆
「お疲れさんやで」
「司……!?」
こっそり近付いて、後ろから、ぎゅっと抱き着いてみた。
「はぁ~」
「どうした? 溜め息なんてついて」
「んー? なんや、小蝿に纏わり付かれててん。さっき、叩き潰したわ」
「そうか」
「もう仕事終わりやろ? 一緒に帰るで」
「ああ」
絶対に、アンタを幸せにしたる。俺は、絶対に、アンタと幸せに暮らす。
まあ、もうかなり幸せなんやけどな。
人生、勝ちやろ。優勝やろ。
「今日、何食べたい? 司ちゃんが何でも作ったるわ」
「司の好きなものがいいな」
「いっつもそれやん!」
片手で、バシバシ背中を叩いた。
それからは、まあ、手を、恋人繋ぎっちゅうやつ? しながら、歩く。
「今日の賭けは?」
「ひゃははっ! 優勝やで!」
「そうか、よかったな」
「おう! 任しとき!」
賭けに勝ったし、喧嘩に勝ったし、人生は優勝!
向かうとこ敵なし! 俺たちの天下やで!
そしたら。なんか湧いた。
「お前、網代司だろ」
「誰や、自分?」
知らん男が、俺を呼び止める。
「お前の旦那、抱いたことあるぞ」
「あ?」
「知らねぇのか? アイツ、色んな奴と寝てるよ」
下卑た笑いを浮かべよる、知らん顔。
「あぁ?」
「よく結婚なんて出来たな、あんな淫猥な男とよ」
はぁ、なるほどな。つまり、俺に喧嘩売っとるんやな?
「セックスしたくらいで、なんじゃわれ。いてこますぞ?」
「やれるもんなら、やってみろよ」
「鍵野の呪いは陰湿やでぇ。死なせてくれ言うても、やめへんからな」
バッグから、符を取り出し、それごと指先を向ける。
「そんなことして、赦されると思ってんのかよ?」
「それは、俺の台詞や。俺が人生賭けた相手を貶したんやぞ、おどれ。覚悟しぃや」
符を口にくわえて、両手を合わせた。
「な……お前まさか、本気で……?」
相手を、睨む。呪いを込めて。足先から少しずつ腐らせたろか? 穴という穴から、血ぃ出させたろか? 骨、全部粉々にしたろか?
パンッと一発、両手を打ち鳴らした。
「ひッ……!?」
アホが、尻尾巻いて逃げよる。俺は、ただの白い紙を、バッグに戻す。
「ふん。ドブカスやな」
ほんま、しょーもない奴やった。もっかい来たら、呪ったるからな。俺の愛する人を馬鹿にされて、黙っとるような女やないねん。
さっさと、靖及さんのとこ行こ。
俺にとって大切なのは、今や。過去があって、今がある。未来を輝かすのは、俺や。
◆◆◆
「お疲れさんやで」
「司……!?」
こっそり近付いて、後ろから、ぎゅっと抱き着いてみた。
「はぁ~」
「どうした? 溜め息なんてついて」
「んー? なんや、小蝿に纏わり付かれててん。さっき、叩き潰したわ」
「そうか」
「もう仕事終わりやろ? 一緒に帰るで」
「ああ」
絶対に、アンタを幸せにしたる。俺は、絶対に、アンタと幸せに暮らす。
まあ、もうかなり幸せなんやけどな。
人生、勝ちやろ。優勝やろ。
「今日、何食べたい? 司ちゃんが何でも作ったるわ」
「司の好きなものがいいな」
「いっつもそれやん!」
片手で、バシバシ背中を叩いた。
それからは、まあ、手を、恋人繋ぎっちゅうやつ? しながら、歩く。
「今日の賭けは?」
「ひゃははっ! 優勝やで!」
「そうか、よかったな」
「おう! 任しとき!」
賭けに勝ったし、喧嘩に勝ったし、人生は優勝!
向かうとこ敵なし! 俺たちの天下やで!