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気持ち悪いほどの独占欲が、三輪秀次の心を支配している。
「あなたの秘密を暴露されたくなければ、オレのものになってください」
「…………分かった」
彼は、死んだ姉に似ているのだ。別に見た目は似ていないが、雰囲気というか、纏う空気が、そっくりだった。
だから、彼に近付いたのである。そうしたら、“見えた”のだ。彼が、恋をしているのが。
その相手への片想いは、絶望的だと彼は自嘲した。そんな彼の想いを、愛情を利用して、秘密をバラすと脅して。三輪は、彼を自分のものにした。
17歳の少年に脅され、所有される、成人済みの男。自らを、滑稽に思った。
三輪の、“亡くなった姉”を投影されていることは、少ししてから、気付く。
三輪が、男の家に来た際、そのまま泊まる流れになったことがある。その晩、ふたりは一緒に眠った。別に、艶事はない。ただ、ふたり並んで、眠るだけ。
眠りに落ちる少年を、何とはなしに見守っていると。
「姉さん…………」
涙を一粒こぼし、少年は呟いた。
かわいそうに。男は、優しく彼の頭を撫でた。自分のような男に、殺された姉の影を見ている少年に、同情する。
ふたりの奇妙な関係が始まってから、一ヶ月が経った。
「ねぇ、秀次くん。僕たち、もう会わない方がいいと思う」
男は、静かに切り出す。
「あの人に、あなたのことを言いますよ?」
「好きにすればいい。とにかく、僕は君から離れるよ」
男とは違い、三輪秀次は狼狽えた。
「オレの前から消えるんですか?!」
姉のように、いなくなるのか?
その瞳が、痛いほど、訴えてくる。怒っているのか、悲しんでいるのか。よく分からない表情をしている。
かわいそうで、愚かしくて、可愛い子。僕みたいな大人と、ずるずると不健全な関係を続けるべきではないよ。
男は、そう考え、自分の秘密を差し出した。自分の気持ちなんて、犠牲にしてもよかった。
「いかないで…………」
三輪秀次は、幼い子供みたいに、懇願するみたいに言う。
「秀次」
男の唇は「さよなら」の形を描き、去って行った。男が振り返ることは、なかった。
「あなたの秘密を暴露されたくなければ、オレのものになってください」
「…………分かった」
彼は、死んだ姉に似ているのだ。別に見た目は似ていないが、雰囲気というか、纏う空気が、そっくりだった。
だから、彼に近付いたのである。そうしたら、“見えた”のだ。彼が、恋をしているのが。
その相手への片想いは、絶望的だと彼は自嘲した。そんな彼の想いを、愛情を利用して、秘密をバラすと脅して。三輪は、彼を自分のものにした。
17歳の少年に脅され、所有される、成人済みの男。自らを、滑稽に思った。
三輪の、“亡くなった姉”を投影されていることは、少ししてから、気付く。
三輪が、男の家に来た際、そのまま泊まる流れになったことがある。その晩、ふたりは一緒に眠った。別に、艶事はない。ただ、ふたり並んで、眠るだけ。
眠りに落ちる少年を、何とはなしに見守っていると。
「姉さん…………」
涙を一粒こぼし、少年は呟いた。
かわいそうに。男は、優しく彼の頭を撫でた。自分のような男に、殺された姉の影を見ている少年に、同情する。
ふたりの奇妙な関係が始まってから、一ヶ月が経った。
「ねぇ、秀次くん。僕たち、もう会わない方がいいと思う」
男は、静かに切り出す。
「あの人に、あなたのことを言いますよ?」
「好きにすればいい。とにかく、僕は君から離れるよ」
男とは違い、三輪秀次は狼狽えた。
「オレの前から消えるんですか?!」
姉のように、いなくなるのか?
その瞳が、痛いほど、訴えてくる。怒っているのか、悲しんでいるのか。よく分からない表情をしている。
かわいそうで、愚かしくて、可愛い子。僕みたいな大人と、ずるずると不健全な関係を続けるべきではないよ。
男は、そう考え、自分の秘密を差し出した。自分の気持ちなんて、犠牲にしてもよかった。
「いかないで…………」
三輪秀次は、幼い子供みたいに、懇願するみたいに言う。
「秀次」
男の唇は「さよなら」の形を描き、去って行った。男が振り返ることは、なかった。