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「内緒だよ?」
我らが帰宅部の部長は、そう言いながら人差し指を唇に当てる。
そして、私に近付き、耳元でこう囁いた。
「人を殺して山に埋めたんだ」
部長から、シャボンのような香りと共に、鉄錆みたいな香りを感じ取ってしまう。シャボンはきっと、部長の服から。血の匂いは、私の想像から。私は、部長のことを初めて恐ろしく思った。
「……………」
傍らに咲く青紫の紫陽花が、一斉に真っ赤になったかのような衝撃に、私は言葉もない。
やがて、ぽつりぽつりと雨が降り始めた。
「雨だ。部室に戻ろうか」
「…………うん」
秘密の共有者になった私たちは、どちらからともなく、歩き始める。
梅雨の長雨は、なんだか私を陰鬱な気持ちにさせた。いや、部長の秘密がそうさせているのだろうか? 私には分からない。
人殺し。あの人が、人殺し?
部長は私の悩みを聞いてくれて、そして、見事に解決へと導いてくれて。とても善い人だと思っていた。それに、なんとなく、現実に帰った後も私を支えてくれるのだと信じていた。
「馬鹿みたい…………」
私は自宅へと戻った後、玄関で濡れた傘を片手に呟く。
部長は私のなんだというのか。恋人でもなければ、もしかしたら友人でもないかもしれないじゃないか。
救い主。そんな言葉が脳裏に浮かぶ。一方通行な思い込み。でも、私にとっては真実である。
私は靴を脱ぎ、偽りの家族へと「ただいま」を言う。自室へ入ると、脱力して、ずるずるとドアを背に座り込んだ。
自身の膝を眺めながら、考えるのは、もちろん、部長のこと。あの人は、本当のことを言っている気がした。
ふと、窓の外を見れば、私の憂鬱などお構いなしに、空には虹がかかっている。それは、嘘みたいに綺麗で、実際にこれは嘘っぱちである訳で。やっぱり、こんなところには居たくないと考えた。
我らが帰宅部の部長は、そう言いながら人差し指を唇に当てる。
そして、私に近付き、耳元でこう囁いた。
「人を殺して山に埋めたんだ」
部長から、シャボンのような香りと共に、鉄錆みたいな香りを感じ取ってしまう。シャボンはきっと、部長の服から。血の匂いは、私の想像から。私は、部長のことを初めて恐ろしく思った。
「……………」
傍らに咲く青紫の紫陽花が、一斉に真っ赤になったかのような衝撃に、私は言葉もない。
やがて、ぽつりぽつりと雨が降り始めた。
「雨だ。部室に戻ろうか」
「…………うん」
秘密の共有者になった私たちは、どちらからともなく、歩き始める。
梅雨の長雨は、なんだか私を陰鬱な気持ちにさせた。いや、部長の秘密がそうさせているのだろうか? 私には分からない。
人殺し。あの人が、人殺し?
部長は私の悩みを聞いてくれて、そして、見事に解決へと導いてくれて。とても善い人だと思っていた。それに、なんとなく、現実に帰った後も私を支えてくれるのだと信じていた。
「馬鹿みたい…………」
私は自宅へと戻った後、玄関で濡れた傘を片手に呟く。
部長は私のなんだというのか。恋人でもなければ、もしかしたら友人でもないかもしれないじゃないか。
救い主。そんな言葉が脳裏に浮かぶ。一方通行な思い込み。でも、私にとっては真実である。
私は靴を脱ぎ、偽りの家族へと「ただいま」を言う。自室へ入ると、脱力して、ずるずるとドアを背に座り込んだ。
自身の膝を眺めながら、考えるのは、もちろん、部長のこと。あの人は、本当のことを言っている気がした。
ふと、窓の外を見れば、私の憂鬱などお構いなしに、空には虹がかかっている。それは、嘘みたいに綺麗で、実際にこれは嘘っぱちである訳で。やっぱり、こんなところには居たくないと考えた。