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ひとりの男が、セーターを編んでいる。2本の棒針を操り、来るクリスマスに向けて、せっせと深緑色のシンプルなセーターを編んでいる。
恋しい者を想って。彼に、諏訪洸太郎に似合うだろうなと考えながら。
一針、一針。良く言えば、想いを込めて。悪く言えば、恐ろしいほどの情念を織り込み。
一針、一針。編んでいく。
恋する彼に、祝福をもたらせるように。
恋する彼に、呪いをかけるかのように。
「出来た…………」
編み上げたセーターを広げ、男は、その出来映えに満足そうにする。
諏訪は、どんな顔をして受け取ってくれるだろうか? 喜ぶ? 困る? 分からない。無下にはされないだろうが。
「さて」
次は、ラッピングだ。緑色の包装紙でセーターを包み、赤いリボンを巻く。
これで、クリスマスプレゼントは完成だ。
続いて、クリスマスケーキを作ろうと思う。
ふわふわのスポンジ生地に、甘い生クリームを塗り、たっぷりと苺を乗せていく。
明日、12月25日の準備は、着々と進んでいる。クリスマスツリーも綺麗に飾り付けたし、あとは心の準備だけが必要だ。
男は、明日、クリスマスの夜に諏訪に告白をしようと考えている。「好き」だと伝えたいのだ。自分の恋を成就させたいのだ。
ケーキとプレゼントを持参し、諏訪の家へ行き、想いを、告げる。なに、フラれても死にはしないし。簡単なことだ。
彼は、自己暗示をかけるかのように、繰り返し繰り返し同じことを考える。
そうして、迎えたクリスマスの朝。
一睡も出来なかった男は、顔を洗い、気合いを入れた。
クリスマスの夜に会う約束は取り付けてある。抜かりはないはずだ。
男は、そわそわしながら、夜を待つ。愛読している哲学書の内容も頭に入って来ない。
そして、夜。彼は、頑張って作ったケーキをワンホールひとりで食らい、丁寧に編んだセーターを、庭のドラム缶に入れて燃やした。
やっぱり、この気持ちは黙っておこう。
その夜は、ただの飲み会をした。
この現状維持の選択肢を選ぶのは、今日で何度目になるだろう? もう、何百年も停滞しているかのような錯覚に陥る。
きっとこの次は、バレンタインのチョコレートを用意して、自分で食べることになるのだろう。
恋しい者を想って。彼に、諏訪洸太郎に似合うだろうなと考えながら。
一針、一針。良く言えば、想いを込めて。悪く言えば、恐ろしいほどの情念を織り込み。
一針、一針。編んでいく。
恋する彼に、祝福をもたらせるように。
恋する彼に、呪いをかけるかのように。
「出来た…………」
編み上げたセーターを広げ、男は、その出来映えに満足そうにする。
諏訪は、どんな顔をして受け取ってくれるだろうか? 喜ぶ? 困る? 分からない。無下にはされないだろうが。
「さて」
次は、ラッピングだ。緑色の包装紙でセーターを包み、赤いリボンを巻く。
これで、クリスマスプレゼントは完成だ。
続いて、クリスマスケーキを作ろうと思う。
ふわふわのスポンジ生地に、甘い生クリームを塗り、たっぷりと苺を乗せていく。
明日、12月25日の準備は、着々と進んでいる。クリスマスツリーも綺麗に飾り付けたし、あとは心の準備だけが必要だ。
男は、明日、クリスマスの夜に諏訪に告白をしようと考えている。「好き」だと伝えたいのだ。自分の恋を成就させたいのだ。
ケーキとプレゼントを持参し、諏訪の家へ行き、想いを、告げる。なに、フラれても死にはしないし。簡単なことだ。
彼は、自己暗示をかけるかのように、繰り返し繰り返し同じことを考える。
そうして、迎えたクリスマスの朝。
一睡も出来なかった男は、顔を洗い、気合いを入れた。
クリスマスの夜に会う約束は取り付けてある。抜かりはないはずだ。
男は、そわそわしながら、夜を待つ。愛読している哲学書の内容も頭に入って来ない。
そして、夜。彼は、頑張って作ったケーキをワンホールひとりで食らい、丁寧に編んだセーターを、庭のドラム缶に入れて燃やした。
やっぱり、この気持ちは黙っておこう。
その夜は、ただの飲み会をした。
この現状維持の選択肢を選ぶのは、今日で何度目になるだろう? もう、何百年も停滞しているかのような錯覚に陥る。
きっとこの次は、バレンタインのチョコレートを用意して、自分で食べることになるのだろう。