本日は、晴天。秋月律子は、職場へと、さかさかと歩いて行く。
　職場である芸能事務所、765プロダクションへと到着し、自分のデスクへと座る。
　さて、まずは、メールチェックと書類の確認と。早速仕事に取りかかろうとした、その時。

「おはよう。久し振り、律子」
「……プ、プロデューサー！？」

　突然やって来たのは、律子のアイドル時代のプロデューサーだった。
　思わず椅子から立ち上がり、驚愕の声を上げてしまう律子。

「びっくりしただろう。彼、765プロに戻って来ることになったんだよ」
「社長！」

　高木社長は、律子に笑顔を向けながら言う。サプライズがしたかったのだろうが、そういうことは事前に言っておいてほしかった。
　律子は、社長を少し呆れたような表情で見る。

「今度は同僚としてよろしくお願いするよ、律子」
「は、はい。よろしくお願いします」

　ああ、懐かしくも恥ずかしく、恥ずかしくも輝かしい思い出が脳裏に蘇った。
　アイドル時代。それは、プロデューサー側になった今でも、大切な時間だったと思っている。
　事務員をしながらも、アイドルをしていた時期。大切なファンの人たちからは、今でも手紙が届くことがある。ありがたいことだ。
　そして、他にも大切な人がいる。ファンの人たちとは、少し違った意味で。
　それは、何を隠そう、今目の前にいる、この人である。律子は、自身のプロデューサーのことが、以前から好きだった。しかし、その想いは胸に秘めたままにしようと決めたのである。
　だが、今なら想いを告げられるかもしれない。同僚になった、今ならば。
　そう考えてから、数週間が経ってしまった。

「あ、あの、一緒にカフェでも行きませんか？」
「ああ、うん」

　昼休憩を共に過ごすことにするふたり。
　事務所のアイドルたちのことを話しながら、昼食を摂る。
　食事が終わったタイミングで、律子は告白をすることにした。

「私、あなたのことが好きです」

　緊張の一瞬。そして、彼の返事は。

「君は今でも、俺の中で、夜空に燦然と輝く星のようだよ。愛してる」