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エルザ・デ・シーカに対する優越感がないと言えば、嘘になる。
俺は、ラウーロの恋人だ。
エルザは、明らかにラウーロを愛している。ラウーロは、それを知ってか知らずか、エルザを道具扱いしている。
その事実が、俺に薄暗い興奮を与えていた。
少女の盲愛と、男の執着。それらを天秤にかけたら、一体どちらに傾くのだろう?
例え、彼女の盲愛の方が重いとしても、ラウーロは俺のものだ。誰にも渡さない。渡すものか。
そう思っていた。
だが俺は、エルザにラウーロを奪われてしまったのである。
俺には分かる。あれは、エルザによる無理心中だと。
自宅へと帰るなり、俺は愛しい恋人と飲もうと思っていた特別なワインを開けて、水みたいに飲んでいく。
顔が火照り始めた頃、俺は少しの酩酊を感じながらも、頭で考える。
エルザ・デ・シーカは、ただの少女ではないということくらい、分かっていたはずなのに。義体の条件付けに、胡座をかいてしまっていたのだろうか? 条件付けをした結果が、あの盲愛だというのに。
人ひとりを殺した少女の紛い物の恋。あれと似たものは、俺の中にもあるものだ。だから、どうせなら、彼を殺すのは俺であるべきだったのだ。
「あの女…………!」
俺は、空になったワインの瓶を、力任せに壁へと投げる。瓶は鈍い音を立てて、床へと落ちた。
行き場のない破壊衝動が俺を支配する。そして、ワイングラスをも壁へと投げつけた。ワイングラスは、俺の心を反映したかのように、粉々に砕け散る。
「クソ……! クソが……!」
汚い言葉を吐きながら、テーブルを両手で殴った。それを繰り返すうちに、両手が痛み始めたが、構わずに続けた。
出来ることなら信仰心を捨てて、今すぐに、お前を追いかけていきたい。それが天国でも、地獄でも構わないから。
この世に留まっていてくれ。俺の傍にいてくれ。姿を見せてくれ。
途方もない願いが、胸中を埋め尽くす。
俺に、お前を殺させてくれ!
声にならない叫びを上げて、俺は涙を流した。
俺は、ラウーロの恋人だ。
エルザは、明らかにラウーロを愛している。ラウーロは、それを知ってか知らずか、エルザを道具扱いしている。
その事実が、俺に薄暗い興奮を与えていた。
少女の盲愛と、男の執着。それらを天秤にかけたら、一体どちらに傾くのだろう?
例え、彼女の盲愛の方が重いとしても、ラウーロは俺のものだ。誰にも渡さない。渡すものか。
そう思っていた。
だが俺は、エルザにラウーロを奪われてしまったのである。
俺には分かる。あれは、エルザによる無理心中だと。
自宅へと帰るなり、俺は愛しい恋人と飲もうと思っていた特別なワインを開けて、水みたいに飲んでいく。
顔が火照り始めた頃、俺は少しの酩酊を感じながらも、頭で考える。
エルザ・デ・シーカは、ただの少女ではないということくらい、分かっていたはずなのに。義体の条件付けに、胡座をかいてしまっていたのだろうか? 条件付けをした結果が、あの盲愛だというのに。
人ひとりを殺した少女の紛い物の恋。あれと似たものは、俺の中にもあるものだ。だから、どうせなら、彼を殺すのは俺であるべきだったのだ。
「あの女…………!」
俺は、空になったワインの瓶を、力任せに壁へと投げる。瓶は鈍い音を立てて、床へと落ちた。
行き場のない破壊衝動が俺を支配する。そして、ワイングラスをも壁へと投げつけた。ワイングラスは、俺の心を反映したかのように、粉々に砕け散る。
「クソ……! クソが……!」
汚い言葉を吐きながら、テーブルを両手で殴った。それを繰り返すうちに、両手が痛み始めたが、構わずに続けた。
出来ることなら信仰心を捨てて、今すぐに、お前を追いかけていきたい。それが天国でも、地獄でも構わないから。
この世に留まっていてくれ。俺の傍にいてくれ。姿を見せてくれ。
途方もない願いが、胸中を埋め尽くす。
俺に、お前を殺させてくれ!
声にならない叫びを上げて、俺は涙を流した。