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偶然、見てしまった。
そりゃあ、そういうこともあるだろうと思ってたけどさ。実際見ると、心底憎らしいと思ったよ。
ウィズダムの外で、女とデートをしている浄を見て、あたしは、そのふたりの間に割り込みたくなった。
割って入って、「あたしだけを見てよ!」と言いたい。
しないけどね。だって、浄は“レディ”が好きなんだもの。
あたし以外を選ぶくらいなら、誰も特別にしないで。
そう思った。思ったし、浄が特別な人を作るのが想像出来ない。
それなのに。
ある日、あたしは目撃する。
「……どうして?」
あたしはきっと、目の前の光景を信じられないような顔で見つめてる。
あたしが見たことない表情で、浄が笑いかけてる存在を。仲良く恋人繋ぎをしている手を。
ゆるせない。ゆるさない。そんなの。
その日は、踵を返して帰宅した。
そして、トイレで嘔吐する。
「おぇっ……げぇ…………」
呼吸が乱れていた。心臓が冷えている。
「はぁ……はぁ…………」
消えろ。消えろ消えろ消えろ!
お前なんか、浄にふさわしくない!
だって、ウィズダムで浄に金を積んだこともないだろ?!
浄の隣に立つために、どんなズルをしたの?!
お前は、“レディ”じゃないから、特別なの……?
「は、はは…………」
笑える。浄の本命が、男だなんて。
それから、あたしは着替えもせず、何も食べず、ベッドに倒れ込むように眠った。
翌朝。洗面所の鏡に映るあたしは、幽鬼みたいに見える。
ボロボロのメイクを落とし、洗顔して、ぐしゃぐしゃの髪をとかした。
食欲はない。仕事もしたくない。
あたしは、病欠すると職場のネイルサロンに連絡した。
ソファーに横になっていると、あんまりいいとは言えないタイミングで、浄からメッセージが届く。
『ナマエさんの好きなラム肉が入ったよ。ぜひ、今夜ウィズダムに来てほしいな』
営業、ご苦労様。
あたしは、どうすればいいの?
素知らぬ顔で、会いに行けばいいの?
いつも通り浄をイメージしたネイルをして、バカみたいに料理と酒で笑って。それで、浄に迷惑かけないようにいいお客様でいればいいワケ?
ぐるぐると考えてるうちに、日が暮れていく。
夜。あたしは、身だしなみを整えて、いつもより少し大きめのバッグを手に、ウィズダムへ向かった。
バッグの中には、一本の包丁が入ってる。
今夜のあたしのネイルは、単色の黒だ。
そりゃあ、そういうこともあるだろうと思ってたけどさ。実際見ると、心底憎らしいと思ったよ。
ウィズダムの外で、女とデートをしている浄を見て、あたしは、そのふたりの間に割り込みたくなった。
割って入って、「あたしだけを見てよ!」と言いたい。
しないけどね。だって、浄は“レディ”が好きなんだもの。
あたし以外を選ぶくらいなら、誰も特別にしないで。
そう思った。思ったし、浄が特別な人を作るのが想像出来ない。
それなのに。
ある日、あたしは目撃する。
「……どうして?」
あたしはきっと、目の前の光景を信じられないような顔で見つめてる。
あたしが見たことない表情で、浄が笑いかけてる存在を。仲良く恋人繋ぎをしている手を。
ゆるせない。ゆるさない。そんなの。
その日は、踵を返して帰宅した。
そして、トイレで嘔吐する。
「おぇっ……げぇ…………」
呼吸が乱れていた。心臓が冷えている。
「はぁ……はぁ…………」
消えろ。消えろ消えろ消えろ!
お前なんか、浄にふさわしくない!
だって、ウィズダムで浄に金を積んだこともないだろ?!
浄の隣に立つために、どんなズルをしたの?!
お前は、“レディ”じゃないから、特別なの……?
「は、はは…………」
笑える。浄の本命が、男だなんて。
それから、あたしは着替えもせず、何も食べず、ベッドに倒れ込むように眠った。
翌朝。洗面所の鏡に映るあたしは、幽鬼みたいに見える。
ボロボロのメイクを落とし、洗顔して、ぐしゃぐしゃの髪をとかした。
食欲はない。仕事もしたくない。
あたしは、病欠すると職場のネイルサロンに連絡した。
ソファーに横になっていると、あんまりいいとは言えないタイミングで、浄からメッセージが届く。
『ナマエさんの好きなラム肉が入ったよ。ぜひ、今夜ウィズダムに来てほしいな』
営業、ご苦労様。
あたしは、どうすればいいの?
素知らぬ顔で、会いに行けばいいの?
いつも通り浄をイメージしたネイルをして、バカみたいに料理と酒で笑って。それで、浄に迷惑かけないようにいいお客様でいればいいワケ?
ぐるぐると考えてるうちに、日が暮れていく。
夜。あたしは、身だしなみを整えて、いつもより少し大きめのバッグを手に、ウィズダムへ向かった。
バッグの中には、一本の包丁が入ってる。
今夜のあたしのネイルは、単色の黒だ。