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主人であるナマエが、浄に惹かれていることが、執事の藍上レオンは嫌だった。
しかし、ナマエに強く意見することは出来ない。ただ、浄に対して警戒心を持っていることをアピールするに留めた。
「レオンは、ずいぶん浄さんに当たりが強いね?」
浄が仮面カフェから帰った後、ナマエは尋ねる。
「浄様は、危険な方です!」
「そうかなぁ?」
「そうです!」
「僕は、好きだけどな」
頬を染めて言う主人は、明らかに彼に恋をしていた。
「好き、と申しますと?」
「初恋ってやつだと思う」
いざ、主人の口から聞くと、かなりの衝撃が走る。
「考え直してくださいませ! あの方は、女性を誑かしてばかりいるのですよ?!」
とうとう、そんなことを口走ってしまったレオン。
「僕は、別に誑かしてるとは思ってないけど。それに、浄さんは男の僕にも優しいよ?」
「そ、それは…………」
それは、ご主人様のことが好きだからです! 下心です! とは言えなかった。
「レオン。僕は、もう子供じゃないんだから。自分の恋は、自分でなんとかするよ」
「…………はい」
後日。ナマエと浄が、手を繋いでレオンに相対する。
「レオン、僕たち付き合うことになったから」
「よろしく」
心なしか、浄に嘲笑われている気がした。
「わ、わたくしの方が、ご主人様を愛しておりますのに!」
「えっ?」
「申し訳ありません! わたくしとしたことが…………!」
「ふぅん。執事は、ナマエのことが好きなんだねぇ。じゃあ、三人で付き合おうか?」
「へ?」
「はい?」
思わず、ナマエとレオンは間の抜けた声を出す。
「そういうのも、“あり”なんじゃない? ナマエも、執事のことは好きだろう?」
「それは、まあ…………」
「ナマエ様?」
「うーん。そっか。そうですね。レオン、僕たち、三人で付き合おうね!」
「ご主人様!?」
レオンは、唖然とした。
「レオン」
ナマエが、空いている方の手を差し出している。
その手を取ってしまったせいで、彼らの不穏な三人交際は始まった。
デートの時は、ナマエを真ん中にして、手を繋ぐ三人。
食事の時も、ナマエが真ん中。
そんな感じ。
ある日。ナマエは、レオンにキスをした。
「ナマエ様…………」
「真っ赤で可愛いね」
そう囁いて、ナマエはキスを続け、段々深くしていく。
「んう……はぁ…………」
「僕、キス上手くなったと思うんだよね」
どろどろに溶かされたレオンは、それが浄のせいということに気付くまで時間がかかった。
◆◆◆
「僕、浄さんのことが好きです」
エージェントの告白は、浄にとっては、意外なことだった。
ふたりきりの仮面カフェのVIPルームで、浄は驚いた顔をしている。
「君が俺を?」
「はい。よければ、付き合ってください」
「……参ったな」
「あ、女性との関係を切る必要はありませんし、束縛するつもりもありませんから」
「それは、ずいぶんと俺に都合がいいね」
「そういうところも含めて、浄さんが好きなんです」
俺の過去の罪も?
そんな問いをしたくなる。
「ダメ、ですか? 僕は男だから…………」
「いや、そうじゃない。君のことは、好きなんだと思う」
「それなら……」
「俺には、一生背負い続けなくてはならない十字架がある。それでも、ナマエは、俺を選ぶのかい?」
「はい。僕に、半分背負わせてください」
「はは。君は、天然の善人だな。まんまと悪い男に引っかかって……」
「浄さんは、悪い男じゃないですよ」
ナマエの目は、真っ直ぐに浄を見つめている。目を逸らしたくなるほどの純粋さで。
「浄さん」
彼の両手が、浄の手を掴む。
「僕に人生を賭けてください。絶対に、あなたを悲しませたりしませんから」
「……分かった。それじゃあ、約束してもらおうかな」
「はい」
ふたりは、握手をした。
その後。ナマエの執事のレオンに付き合うことを報告したら、なんやかんやで三人で交際することになった。
浄は、ほっとする。7歳下の若者を独占するのは、なんだか悪いことのような気がしていたから。
執事が、この先、9歳下の主人にどろどろに甘やかされることになるのは、本当に愉快だった。
「ふたりのこと、愛してるよ」と、ナマエは笑顔で言う。
「俺は、君のことを愛してるよ」
「わたくしだって、ご主人様を愛しております!」
奇妙な三角関係。だけど、そういう形になるべくしてなったかのような関係。
三人でデートをしても、幸い、浄を好きなレディたちにバレることはなかった。三人の真実に気付く者が、いずれ現れるのかもしれないが、それまでは仮初めの平和を享受するつもりである。
たまに、ナマエと浄がふたりきりになった時には、存分に甘やかされた。
どうやら、エージェントは、甘やかしたがりらしい。
「浄さん、膝枕、どうぞ」
「ありがとう、ナマエ」
遠慮なく膝を借りれば、幼い子供を相手にするみたいに頭を撫でられた。
案外、悪い気はしない。
「いつも、お疲れ様です。ゆっくり休んでくださいね」
「ああ……うん…………」
そのまま、浄は、穏やかな眠りについた。
恋人の膝枕で見た夢は、起きたら霧散してしまったが、幸せな気持ちは残る。
ナマエは、浄にとって、灯台のような存在になった。
しかし、ナマエに強く意見することは出来ない。ただ、浄に対して警戒心を持っていることをアピールするに留めた。
「レオンは、ずいぶん浄さんに当たりが強いね?」
浄が仮面カフェから帰った後、ナマエは尋ねる。
「浄様は、危険な方です!」
「そうかなぁ?」
「そうです!」
「僕は、好きだけどな」
頬を染めて言う主人は、明らかに彼に恋をしていた。
「好き、と申しますと?」
「初恋ってやつだと思う」
いざ、主人の口から聞くと、かなりの衝撃が走る。
「考え直してくださいませ! あの方は、女性を誑かしてばかりいるのですよ?!」
とうとう、そんなことを口走ってしまったレオン。
「僕は、別に誑かしてるとは思ってないけど。それに、浄さんは男の僕にも優しいよ?」
「そ、それは…………」
それは、ご主人様のことが好きだからです! 下心です! とは言えなかった。
「レオン。僕は、もう子供じゃないんだから。自分の恋は、自分でなんとかするよ」
「…………はい」
後日。ナマエと浄が、手を繋いでレオンに相対する。
「レオン、僕たち付き合うことになったから」
「よろしく」
心なしか、浄に嘲笑われている気がした。
「わ、わたくしの方が、ご主人様を愛しておりますのに!」
「えっ?」
「申し訳ありません! わたくしとしたことが…………!」
「ふぅん。執事は、ナマエのことが好きなんだねぇ。じゃあ、三人で付き合おうか?」
「へ?」
「はい?」
思わず、ナマエとレオンは間の抜けた声を出す。
「そういうのも、“あり”なんじゃない? ナマエも、執事のことは好きだろう?」
「それは、まあ…………」
「ナマエ様?」
「うーん。そっか。そうですね。レオン、僕たち、三人で付き合おうね!」
「ご主人様!?」
レオンは、唖然とした。
「レオン」
ナマエが、空いている方の手を差し出している。
その手を取ってしまったせいで、彼らの不穏な三人交際は始まった。
デートの時は、ナマエを真ん中にして、手を繋ぐ三人。
食事の時も、ナマエが真ん中。
そんな感じ。
ある日。ナマエは、レオンにキスをした。
「ナマエ様…………」
「真っ赤で可愛いね」
そう囁いて、ナマエはキスを続け、段々深くしていく。
「んう……はぁ…………」
「僕、キス上手くなったと思うんだよね」
どろどろに溶かされたレオンは、それが浄のせいということに気付くまで時間がかかった。
◆◆◆
「僕、浄さんのことが好きです」
エージェントの告白は、浄にとっては、意外なことだった。
ふたりきりの仮面カフェのVIPルームで、浄は驚いた顔をしている。
「君が俺を?」
「はい。よければ、付き合ってください」
「……参ったな」
「あ、女性との関係を切る必要はありませんし、束縛するつもりもありませんから」
「それは、ずいぶんと俺に都合がいいね」
「そういうところも含めて、浄さんが好きなんです」
俺の過去の罪も?
そんな問いをしたくなる。
「ダメ、ですか? 僕は男だから…………」
「いや、そうじゃない。君のことは、好きなんだと思う」
「それなら……」
「俺には、一生背負い続けなくてはならない十字架がある。それでも、ナマエは、俺を選ぶのかい?」
「はい。僕に、半分背負わせてください」
「はは。君は、天然の善人だな。まんまと悪い男に引っかかって……」
「浄さんは、悪い男じゃないですよ」
ナマエの目は、真っ直ぐに浄を見つめている。目を逸らしたくなるほどの純粋さで。
「浄さん」
彼の両手が、浄の手を掴む。
「僕に人生を賭けてください。絶対に、あなたを悲しませたりしませんから」
「……分かった。それじゃあ、約束してもらおうかな」
「はい」
ふたりは、握手をした。
その後。ナマエの執事のレオンに付き合うことを報告したら、なんやかんやで三人で交際することになった。
浄は、ほっとする。7歳下の若者を独占するのは、なんだか悪いことのような気がしていたから。
執事が、この先、9歳下の主人にどろどろに甘やかされることになるのは、本当に愉快だった。
「ふたりのこと、愛してるよ」と、ナマエは笑顔で言う。
「俺は、君のことを愛してるよ」
「わたくしだって、ご主人様を愛しております!」
奇妙な三角関係。だけど、そういう形になるべくしてなったかのような関係。
三人でデートをしても、幸い、浄を好きなレディたちにバレることはなかった。三人の真実に気付く者が、いずれ現れるのかもしれないが、それまでは仮初めの平和を享受するつもりである。
たまに、ナマエと浄がふたりきりになった時には、存分に甘やかされた。
どうやら、エージェントは、甘やかしたがりらしい。
「浄さん、膝枕、どうぞ」
「ありがとう、ナマエ」
遠慮なく膝を借りれば、幼い子供を相手にするみたいに頭を撫でられた。
案外、悪い気はしない。
「いつも、お疲れ様です。ゆっくり休んでくださいね」
「ああ……うん…………」
そのまま、浄は、穏やかな眠りについた。
恋人の膝枕で見た夢は、起きたら霧散してしまったが、幸せな気持ちは残る。
ナマエは、浄にとって、灯台のような存在になった。