アイマス
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
彼は、「なりたい自分になれる」と唱える魔法使いだった。
その彼の恋愛感情が自分に向けられていると気付いた時は、心臓に氷柱を刺されたような心地で。
「また若者の未来を食い潰すのか?」と、冷たい己の視線を背後から感じた。
「社長?」
「あ、ああ。任せたぞ、プロデューサー」
「はい!」
自分の気も知らないで、元気に返事をする男。生気に満ちあふれていて、スポットライトのように眩しい若者。
そんな人間が、自分のような暗い過去を引き摺る男に恋をしている。悪い冗談のようだ。
いや、待て。気のせいかもしれない。だとしたら、相当恥ずかしいが、彼が“そう”ではない方が余程いい。
後日。休憩時間に、遠回しにプロデューサーのプライベートについて尋ねてみることにした。
「ちゃんと休めているか?」
「はい。大丈夫ですよ」
「そうか。なにか、リフレッシュ出来る趣味でも?」
「趣味……そうですねぇ、仕事が好きですから、趣味という趣味は…………」
しばし、考え込むプロデューサー。
「あ、料理するのは好きですね。頻繁にはしてませんが」
「ふむ」
そういえば、所属アイドルへの差し入れに、手作りのマフィンを持ってくることがあると聞いている。
「すいません、面白くなくて」
頬を指先で掻きながら、苦笑いをされた。
「いや、別に面白さを求めている訳ではない」
「そうですか? それなら、よかったです」
朗らかな笑顔を浮かべ、プロデューサーは安心したように言う。
「天井社長こそ、休めてますか? 無理はしないでくださいね」
「過労で倒れたお前に言われたくないな」
「ははっ。その節は、申し訳ありませんでした」
彼も、はづきも、働き過ぎるきらいがあった。過労死のニュースを見る度に、肝が冷える。
「その、人付き合いを犠牲にしてはいないか?」
なんとか、恋人はいるのかどうかを聞き出したい。
「してませんよ。独り身ですし、身軽なものです」
独り身だった。
「同窓会に出たり、実家に帰ったりも出来てますから、安心してください」
「それは、よかった」
よくない。先日の疑惑が拭えないままだ。
「天井社長」
「なんだ?」
「俺は、あなたのことが好きですよ」
真っ直ぐに見つめられている。
「は…………?」
「最初は、ただ憧れてるだけだった。でも、いつからか恋慕う気持ちも芽生えてきて。だから、よかったら、恋人にしてください」
一礼する男。ゆっくりと顔を上げて、再び、天井努を真っ直ぐに見た。
「は、はは…………」
「社長?」
「そんな表情は、初めて見た」
そんな顔をされたら、無下に出来ない。
「とんでもない男だな、お前は」
「褒めてます?」
「ああ。そうだな、お前に付き合うのも悪くはないかもな」
そう答えた途端に、彼に抱き締められていた。
「ありがとうございます。俺、努さんを幸せにしますから」
暗い過去ごと愛してくれそうな男は、スポットライトの魔法がなくても眩しい。
マジックアワーでもないのに。美しい光に目が慣れるまで、しばらくかかりそうだった。
その彼の恋愛感情が自分に向けられていると気付いた時は、心臓に氷柱を刺されたような心地で。
「また若者の未来を食い潰すのか?」と、冷たい己の視線を背後から感じた。
「社長?」
「あ、ああ。任せたぞ、プロデューサー」
「はい!」
自分の気も知らないで、元気に返事をする男。生気に満ちあふれていて、スポットライトのように眩しい若者。
そんな人間が、自分のような暗い過去を引き摺る男に恋をしている。悪い冗談のようだ。
いや、待て。気のせいかもしれない。だとしたら、相当恥ずかしいが、彼が“そう”ではない方が余程いい。
後日。休憩時間に、遠回しにプロデューサーのプライベートについて尋ねてみることにした。
「ちゃんと休めているか?」
「はい。大丈夫ですよ」
「そうか。なにか、リフレッシュ出来る趣味でも?」
「趣味……そうですねぇ、仕事が好きですから、趣味という趣味は…………」
しばし、考え込むプロデューサー。
「あ、料理するのは好きですね。頻繁にはしてませんが」
「ふむ」
そういえば、所属アイドルへの差し入れに、手作りのマフィンを持ってくることがあると聞いている。
「すいません、面白くなくて」
頬を指先で掻きながら、苦笑いをされた。
「いや、別に面白さを求めている訳ではない」
「そうですか? それなら、よかったです」
朗らかな笑顔を浮かべ、プロデューサーは安心したように言う。
「天井社長こそ、休めてますか? 無理はしないでくださいね」
「過労で倒れたお前に言われたくないな」
「ははっ。その節は、申し訳ありませんでした」
彼も、はづきも、働き過ぎるきらいがあった。過労死のニュースを見る度に、肝が冷える。
「その、人付き合いを犠牲にしてはいないか?」
なんとか、恋人はいるのかどうかを聞き出したい。
「してませんよ。独り身ですし、身軽なものです」
独り身だった。
「同窓会に出たり、実家に帰ったりも出来てますから、安心してください」
「それは、よかった」
よくない。先日の疑惑が拭えないままだ。
「天井社長」
「なんだ?」
「俺は、あなたのことが好きですよ」
真っ直ぐに見つめられている。
「は…………?」
「最初は、ただ憧れてるだけだった。でも、いつからか恋慕う気持ちも芽生えてきて。だから、よかったら、恋人にしてください」
一礼する男。ゆっくりと顔を上げて、再び、天井努を真っ直ぐに見た。
「は、はは…………」
「社長?」
「そんな表情は、初めて見た」
そんな顔をされたら、無下に出来ない。
「とんでもない男だな、お前は」
「褒めてます?」
「ああ。そうだな、お前に付き合うのも悪くはないかもな」
そう答えた途端に、彼に抱き締められていた。
「ありがとうございます。俺、努さんを幸せにしますから」
暗い過去ごと愛してくれそうな男は、スポットライトの魔法がなくても眩しい。
マジックアワーでもないのに。美しい光に目が慣れるまで、しばらくかかりそうだった。