アイマス
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プロデューサーとは、過酷な業務である。時には、限界ギリギリのメシを食べることがあった。
デスクの上に袋ラーメンを乗せ、拳で中身を砕く。
「いただきます」
「プロデューサーさん、また袋ラーメンをバリバリ食べて!」
「結構美味しいんですよ」
「アカンで! せめて、男道らーめんへ行きましょう!」
「時間がないです」
カフェパレードの東雲荘一郎は、自分のプロデューサーをとても心配している。
彼のプロデューサーときたら、ゼリー飲料や栄養バーだけで食事をした気になっているのだから、仕様がない。
「今夜の予定は?」
「打ち合わせと、オンラインミーティングがあります」
「その後、カフェパレードへ来てください」
「でも…………」
「でもも何もあらへん!」
ビシッと言い切る東雲。
「……はい」
プロデューサーは、小さく返事をした。
その晩。言われた通り、カフェパレードへ向かう。
「いらっしゃい、プロデューサーさん」
「こんばんは、神谷さん」
席に通され、紅茶を出された。
「さあ、どうぞ」
「ありがとうございます」
プロデューサーには預かり知らぬことだが、胃に優しいブレンドティーである。
そして、アスランが作った華やかな料理が運ばれてきた。
白身魚のムニエル。アスパラガスのベーコン巻き。旬の野菜のサラダ。かぼちゃのスープ。
「いただきます」
それらを、白米で食べる。無類の美味しさだ。
この料理に比べたら、自分の普段の食事は餌である。
「うっ……ひっ…………」
「泣いてはる…………」
「だって、あまりにも美味しくて…………!」
「デザートにケーキも食べます?」
「食゛べま゛ず!」
東雲は、プロデューサーに哀れみの視線を向けた。
とびきり美味しいケーキを出そう。
デザートまで残さず食べたプロデューサーは、「ごちそうさまでした」と涙声で言った。
東雲は、普段、家では何を食べているのだろう? と更に心配になった。
「プロデューサーさん」
「はい」
「もっと自分を大切にしてくださいね」
「はい……面目ないです…………」
帰り際に、東雲と神谷とアスランに見送られ、プロデューサーは、月夜の道を歩く。
担当するアイドルたちに心配をかけてはいけない。そう反省しながら。
その翌朝。
「寝坊した!」
バナナ一本とヨーグルトを食べて、プロデューサーは出勤した。
やっぱり、ついつい餌のような食事をしてしまう。
プロデューサーが、ちゃんとした食事をするようになるまで、東雲荘一郎の苦悩は続く。
◆◆◆
夜半。手の甲に塩を乗せ、それをつまみにしながら酒を飲む者がいた。
カフェパレードのプロデューサーである。
「マズい…………」
いや、酒は美味いのだが。
「東雲さんに怒られる~」
夜ご飯を食べなくてはならない。
冷蔵庫を開けると、卵とラップに包んだ白米があった。
「卵かけご飯でいいかな」
白米を電子レンジで温め、生卵を乗せ、醤油をかける。
「いただきます」
特別美味しくはないが、満足出来る味だ。
茶碗一杯のご飯は、すぐに食べ終わる。
「ごちそうさま」
これは、何点だろうか?
食生活管理アプリを入れるべきかもしれない。
翌日の朝。
コンビニで、ゼリー飲料と栄養バーを買い、朝食を済ませる。
また怒られてしまうなぁ。
そうは思うが、家に食材がないし、朝はどうもバタバタして時間がない。
出勤して、プロデュース業に勤しむ。
仕事はつつがなく進み、昼休憩になった。
どうしよう?
そうだ、たまこやでお弁当を買えばいいんだ!
名案である。
焼き鮭弁当を買い、デスクに広げた。
「いただきます」
美味しい。餌じゃない、食事だ。
これなら、心配をかけないで済むだろう。
あと、今のうちに夜ご飯のことを決めてしまおうか。
自炊は、ほとんど出来ないので、コンビニで買おう。
久々に、あれを食べるか。
昼休憩が終わり、打ち合わせの時間。
「以上が、今回のお仕事の概要です。何か質問はありますか?」
「プロデューサーさん、エディブルフラワーを使えば、もっと効果的な宣伝になりませんか?」
「なるほど。コスメと同色のエディブルフラワーを唇にくわえて、カット切り替えでリップを映すといいかもしれませんね。先方に相談してみます!」
「よろしくお願いします」
東雲の出した案は、採用された。
撮影日までに、イメージボードが送られてくるそうだ。
「では、今日は、各々レッスンが入っています。移動よろしくお願いしますね」
「はい」
カフェパレードのメンバーは、それぞれのレッスン場へ向かう。
プロデューサーは、スケジュールの確認、関係各所への連絡、ケータリングの手配などをテキパキとこなした。
そして、退勤の時間がくる。
コンビニに寄り、明太子クリームうどんを買って帰った。
「これこれ! このジャンクさがいい!」
いただきますをして、一口食べる。
「美味しい!」
どうやら、「健康」の二文字のことは忘れてしまったらしい。
今日もまた、あとで、脳内の東雲荘一郎に怒られるだろう。
◆◆◆
魚肉ソーセージで白米を食べていると、テレビに担当ユニットであるカフェパレードが映った。
「良…………」
きらきらと輝く彼らの姿を見て、思わず感嘆の声が漏れる。
「はっ!?」
またヤバいメシを食べていることに気付いた。
冷蔵庫を開けると、卵があったので、とりあえずかける。プロデューサーは、卵の栄養を過信していた。
翌朝。コンビニで買ったデカいソーセージとベーコンが乗ったバカみたいなペペロンチーノを食べる。
人は、過ちを繰り返す。
そして、昼食こそは、と、弁当を買った。
「プロデューサーさん」
「はい!」
デスクで唐揚げ弁当を食べていると、東雲荘一郎に話しかけられる。
「最近、たまこやのお弁当を食べていますね。よかったです」
「はい…………」
「では、また後で」
「はい」
どうしよう。昼ごはん以外は、だいぶ偏食であった。
体に悪いものは、何故あんなに美味しいのか。
プロデューサーは、考える。
塩バターなんて、めちゃくちゃ美味しいからなぁ。
でも、今夜はスーパーに行って、食材を買おうと決意する。
そして。退勤してから、野菜や肉を購入して、店を出た。
すると、ケバブを売っているワゴン車が停まっているのに気付いてしまう。
ケバブは、野菜も入ってるからいいのでは?
プロデューサーは、甘口ソースのケバブをひとつ買った。
結局、食材を買ったのはいいが、自炊をする気力がなく、ケバブだけ食べて寝てしまい、朝になってから後悔する。
今日は、ちゃんとしよう。
朝食は、千切りキャベツと目玉焼きとハムを乗せたトーストとコーンスープにした。
食後。コーヒーを飲みながら、なかなかよかったのではないかと思う。
出勤してから、カフェパレードのために熱心に仕事をした。
今日は、やけにタスクが多い。
昼休憩にも、サンドイッチ片手に仕事をした。
賭博をしながらサンドイッチを食べていた伯爵よりマシ! などと言い訳をする。
一段落ついた頃には、15時を過ぎていた。
冷蔵庫に飲み物を取りに行くと、中にケーキが乗った皿がある。付箋メモがついており、「試食用ですが、よかったら、どうぞ」という東雲が書いた字だ。
デスクに戻り、食べてみると、抹茶味の香り高い味わいだった。
「…………」
夜は、落ち着いて食事をしよう。
プロデューサーは、東雲のことを想い、そう考えた。
帰り道。栄養バランスの良い食事の本を買う。
◆◆◆
賞味期限の切れた非常食のビスケットを食べている。
「…………」
朝ごはんをこれで終えていいのだろうか?
牛乳をパックから飲みながら考えた。
取り繕うように、目玉焼きとキャベツの塩コショウ炒めを作って食べる。
ごちそうさま。いってきます。
今日は、カフェパレードのリリースイベントに立ち合った。
ファンと直接会う機会を、みんな楽しみにしていたから。晴れてよかったと思う。
イベントの余韻に浸りながら、スーパーに寄り、帰宅したプロデューサー。
気付けば、豚の角煮を鍋いっぱいに作っていた。
「ヤバ……………」
でも、とても美味しそうだ。
白米が炊き上がった音がする。
お気に入りの丼を取り出し、米を盛り、角煮を好きなだけ乗せた。
「いただきます」
醤油と酒と砂糖で味付けをした豚肉が、口の中で溶けるように消えていく。
白米が進んで仕方ない。
やはり自炊とは、こういうことのためにあるのではないかと、プロデューサーは思った。
「ごちそうさま」
残りは、明日の朝食べることにする。
日本酒を一杯呑んでから、寝た。
夢の中で、東雲荘一郎に「野菜も食べてください」と怒られる。
「すいませんでした……!」
自らの寝言で目が覚めた。
身支度をし、キッチンに立つ。
まともな自炊は、三日坊主になってしまったが、ベジファーストくらいは出来る。
「いただきます」
大根やキャベツやにんじんの入ったサラダを一袋取り出し、皿に盛り付けてごまドレッシングをかけて食べた。
そして、昨夜の残りを使い、また角煮丼を作る。
電子レンジで再加熱しただけだが、美味しい。ついでに、浸けておいた味玉も食べる。
シメに、ヨーグルトを食べた。プロデューサーは、ヨーグルトの栄養を過信している。
その後。何故か急な仕事が続けて舞い込み、昼食の時間が15時になってしまった。
くたくたになり、デスクで、常備しているゼリー飲料を啜る。
「はぁ~…………」
弁当を買いに行く気力がない。
「プロデューサーさん、お疲れ様です」
「東雲さん、お疲れ様です」
「こちら、差し入れです」
「えっ!?」
渡された紙袋の中には、サンドイッチが整然と並ぶパックが入っていた。
「ありがとうございます……」
「いえ、今日は忙しかったようでしたので」
「ありがとうございます~!」
泣きながら、二度目のお礼を言う。
ハムやチーズやレタスが挟まったそれは、本当に美味しかった。
◆◆◆
加熱時間が6分50秒もある冷凍食品。永遠にも感じる待ち時間の後。プロデューサーは、お好み焼きを食べ始めた。
「熱っ!?」
マグマかと思うくらい熱い。本当に適切な加熱時間なのか疑う。
急いで、ペットボトルから水を飲んだ。
プロデューサーの食生活は、相変わらずボロボロである。食事管理アプリを入れたのだが、40点いけば良い方だ。冷凍食品の一品食いをしているせいで。
東雲荘一郎は、実はそのことを知っていた。偶然、スマホを見ているところを目撃したから。
プロデューサーさん、点数低過ぎるやろ。
カロリーが足りてないらしい。
ある日、昼休憩でふたりになった時に、東雲は尋ねた。
「プロデューサーさん、よかったら、一緒に住みませんか?」
「はい?!」
「ほら、そうしたら、プロデューサーさんの健康管理も出来ますし」
「いや、そんな、ご迷惑では…………?」
動揺しながら質問する。
「そんなことはありませんよ。Win-Winというものです」
「東雲さんのメリットは?」
「あなたにお節介が出来ます」
「いいんですか、それで?!」
「はい」
プロデューサーは、彼が嘘をついてないことくらい分かった。
「前向きに検討します…………」
「ぜひ」
言った通り、プロデューサーは検討した。頭の片隅で、ずっと。
東雲さんは、世話を焼いてくれる。それは、好きでやっていることらしいけれど。でも、負担にはなりたくない。
帰宅して、ひとりで食事をしている時も考えた。
ああ、そうか。自分は、誰かと一緒にご飯を食べたかったのか。
『こんばんは』
『お申し出、受けます』
『よろしくお願いします!』
プロデューサーは、東雲にメッセージを送った。
◆◆◆
「おはようございます」
「おはようございます!」
「今日は、玉子とベーコンを乗せたトースト、アボカドのサラダ、かぼちゃの冷製スープです。飲み物は、コーヒーでよろしいですか?」
「はい。ありがとうございます」
ふたりで食べる朝食は、いつも美味しい。
プロデューサーは、後片付けを担当している。
自分が寄りかかるだけになることを恐れていたが、上手く家事を分担出来ている。
ふたりで家を出て、事務所へ向かった。
あなたといると、ずっと幸せな時間が続くようです。
それは、どちらもが思っていること。ふたりは、お互いにとっての魔法使いであった。
想いは、きっと永遠に。
デスクの上に袋ラーメンを乗せ、拳で中身を砕く。
「いただきます」
「プロデューサーさん、また袋ラーメンをバリバリ食べて!」
「結構美味しいんですよ」
「アカンで! せめて、男道らーめんへ行きましょう!」
「時間がないです」
カフェパレードの東雲荘一郎は、自分のプロデューサーをとても心配している。
彼のプロデューサーときたら、ゼリー飲料や栄養バーだけで食事をした気になっているのだから、仕様がない。
「今夜の予定は?」
「打ち合わせと、オンラインミーティングがあります」
「その後、カフェパレードへ来てください」
「でも…………」
「でもも何もあらへん!」
ビシッと言い切る東雲。
「……はい」
プロデューサーは、小さく返事をした。
その晩。言われた通り、カフェパレードへ向かう。
「いらっしゃい、プロデューサーさん」
「こんばんは、神谷さん」
席に通され、紅茶を出された。
「さあ、どうぞ」
「ありがとうございます」
プロデューサーには預かり知らぬことだが、胃に優しいブレンドティーである。
そして、アスランが作った華やかな料理が運ばれてきた。
白身魚のムニエル。アスパラガスのベーコン巻き。旬の野菜のサラダ。かぼちゃのスープ。
「いただきます」
それらを、白米で食べる。無類の美味しさだ。
この料理に比べたら、自分の普段の食事は餌である。
「うっ……ひっ…………」
「泣いてはる…………」
「だって、あまりにも美味しくて…………!」
「デザートにケーキも食べます?」
「食゛べま゛ず!」
東雲は、プロデューサーに哀れみの視線を向けた。
とびきり美味しいケーキを出そう。
デザートまで残さず食べたプロデューサーは、「ごちそうさまでした」と涙声で言った。
東雲は、普段、家では何を食べているのだろう? と更に心配になった。
「プロデューサーさん」
「はい」
「もっと自分を大切にしてくださいね」
「はい……面目ないです…………」
帰り際に、東雲と神谷とアスランに見送られ、プロデューサーは、月夜の道を歩く。
担当するアイドルたちに心配をかけてはいけない。そう反省しながら。
その翌朝。
「寝坊した!」
バナナ一本とヨーグルトを食べて、プロデューサーは出勤した。
やっぱり、ついつい餌のような食事をしてしまう。
プロデューサーが、ちゃんとした食事をするようになるまで、東雲荘一郎の苦悩は続く。
◆◆◆
夜半。手の甲に塩を乗せ、それをつまみにしながら酒を飲む者がいた。
カフェパレードのプロデューサーである。
「マズい…………」
いや、酒は美味いのだが。
「東雲さんに怒られる~」
夜ご飯を食べなくてはならない。
冷蔵庫を開けると、卵とラップに包んだ白米があった。
「卵かけご飯でいいかな」
白米を電子レンジで温め、生卵を乗せ、醤油をかける。
「いただきます」
特別美味しくはないが、満足出来る味だ。
茶碗一杯のご飯は、すぐに食べ終わる。
「ごちそうさま」
これは、何点だろうか?
食生活管理アプリを入れるべきかもしれない。
翌日の朝。
コンビニで、ゼリー飲料と栄養バーを買い、朝食を済ませる。
また怒られてしまうなぁ。
そうは思うが、家に食材がないし、朝はどうもバタバタして時間がない。
出勤して、プロデュース業に勤しむ。
仕事はつつがなく進み、昼休憩になった。
どうしよう?
そうだ、たまこやでお弁当を買えばいいんだ!
名案である。
焼き鮭弁当を買い、デスクに広げた。
「いただきます」
美味しい。餌じゃない、食事だ。
これなら、心配をかけないで済むだろう。
あと、今のうちに夜ご飯のことを決めてしまおうか。
自炊は、ほとんど出来ないので、コンビニで買おう。
久々に、あれを食べるか。
昼休憩が終わり、打ち合わせの時間。
「以上が、今回のお仕事の概要です。何か質問はありますか?」
「プロデューサーさん、エディブルフラワーを使えば、もっと効果的な宣伝になりませんか?」
「なるほど。コスメと同色のエディブルフラワーを唇にくわえて、カット切り替えでリップを映すといいかもしれませんね。先方に相談してみます!」
「よろしくお願いします」
東雲の出した案は、採用された。
撮影日までに、イメージボードが送られてくるそうだ。
「では、今日は、各々レッスンが入っています。移動よろしくお願いしますね」
「はい」
カフェパレードのメンバーは、それぞれのレッスン場へ向かう。
プロデューサーは、スケジュールの確認、関係各所への連絡、ケータリングの手配などをテキパキとこなした。
そして、退勤の時間がくる。
コンビニに寄り、明太子クリームうどんを買って帰った。
「これこれ! このジャンクさがいい!」
いただきますをして、一口食べる。
「美味しい!」
どうやら、「健康」の二文字のことは忘れてしまったらしい。
今日もまた、あとで、脳内の東雲荘一郎に怒られるだろう。
◆◆◆
魚肉ソーセージで白米を食べていると、テレビに担当ユニットであるカフェパレードが映った。
「良…………」
きらきらと輝く彼らの姿を見て、思わず感嘆の声が漏れる。
「はっ!?」
またヤバいメシを食べていることに気付いた。
冷蔵庫を開けると、卵があったので、とりあえずかける。プロデューサーは、卵の栄養を過信していた。
翌朝。コンビニで買ったデカいソーセージとベーコンが乗ったバカみたいなペペロンチーノを食べる。
人は、過ちを繰り返す。
そして、昼食こそは、と、弁当を買った。
「プロデューサーさん」
「はい!」
デスクで唐揚げ弁当を食べていると、東雲荘一郎に話しかけられる。
「最近、たまこやのお弁当を食べていますね。よかったです」
「はい…………」
「では、また後で」
「はい」
どうしよう。昼ごはん以外は、だいぶ偏食であった。
体に悪いものは、何故あんなに美味しいのか。
プロデューサーは、考える。
塩バターなんて、めちゃくちゃ美味しいからなぁ。
でも、今夜はスーパーに行って、食材を買おうと決意する。
そして。退勤してから、野菜や肉を購入して、店を出た。
すると、ケバブを売っているワゴン車が停まっているのに気付いてしまう。
ケバブは、野菜も入ってるからいいのでは?
プロデューサーは、甘口ソースのケバブをひとつ買った。
結局、食材を買ったのはいいが、自炊をする気力がなく、ケバブだけ食べて寝てしまい、朝になってから後悔する。
今日は、ちゃんとしよう。
朝食は、千切りキャベツと目玉焼きとハムを乗せたトーストとコーンスープにした。
食後。コーヒーを飲みながら、なかなかよかったのではないかと思う。
出勤してから、カフェパレードのために熱心に仕事をした。
今日は、やけにタスクが多い。
昼休憩にも、サンドイッチ片手に仕事をした。
賭博をしながらサンドイッチを食べていた伯爵よりマシ! などと言い訳をする。
一段落ついた頃には、15時を過ぎていた。
冷蔵庫に飲み物を取りに行くと、中にケーキが乗った皿がある。付箋メモがついており、「試食用ですが、よかったら、どうぞ」という東雲が書いた字だ。
デスクに戻り、食べてみると、抹茶味の香り高い味わいだった。
「…………」
夜は、落ち着いて食事をしよう。
プロデューサーは、東雲のことを想い、そう考えた。
帰り道。栄養バランスの良い食事の本を買う。
◆◆◆
賞味期限の切れた非常食のビスケットを食べている。
「…………」
朝ごはんをこれで終えていいのだろうか?
牛乳をパックから飲みながら考えた。
取り繕うように、目玉焼きとキャベツの塩コショウ炒めを作って食べる。
ごちそうさま。いってきます。
今日は、カフェパレードのリリースイベントに立ち合った。
ファンと直接会う機会を、みんな楽しみにしていたから。晴れてよかったと思う。
イベントの余韻に浸りながら、スーパーに寄り、帰宅したプロデューサー。
気付けば、豚の角煮を鍋いっぱいに作っていた。
「ヤバ……………」
でも、とても美味しそうだ。
白米が炊き上がった音がする。
お気に入りの丼を取り出し、米を盛り、角煮を好きなだけ乗せた。
「いただきます」
醤油と酒と砂糖で味付けをした豚肉が、口の中で溶けるように消えていく。
白米が進んで仕方ない。
やはり自炊とは、こういうことのためにあるのではないかと、プロデューサーは思った。
「ごちそうさま」
残りは、明日の朝食べることにする。
日本酒を一杯呑んでから、寝た。
夢の中で、東雲荘一郎に「野菜も食べてください」と怒られる。
「すいませんでした……!」
自らの寝言で目が覚めた。
身支度をし、キッチンに立つ。
まともな自炊は、三日坊主になってしまったが、ベジファーストくらいは出来る。
「いただきます」
大根やキャベツやにんじんの入ったサラダを一袋取り出し、皿に盛り付けてごまドレッシングをかけて食べた。
そして、昨夜の残りを使い、また角煮丼を作る。
電子レンジで再加熱しただけだが、美味しい。ついでに、浸けておいた味玉も食べる。
シメに、ヨーグルトを食べた。プロデューサーは、ヨーグルトの栄養を過信している。
その後。何故か急な仕事が続けて舞い込み、昼食の時間が15時になってしまった。
くたくたになり、デスクで、常備しているゼリー飲料を啜る。
「はぁ~…………」
弁当を買いに行く気力がない。
「プロデューサーさん、お疲れ様です」
「東雲さん、お疲れ様です」
「こちら、差し入れです」
「えっ!?」
渡された紙袋の中には、サンドイッチが整然と並ぶパックが入っていた。
「ありがとうございます……」
「いえ、今日は忙しかったようでしたので」
「ありがとうございます~!」
泣きながら、二度目のお礼を言う。
ハムやチーズやレタスが挟まったそれは、本当に美味しかった。
◆◆◆
加熱時間が6分50秒もある冷凍食品。永遠にも感じる待ち時間の後。プロデューサーは、お好み焼きを食べ始めた。
「熱っ!?」
マグマかと思うくらい熱い。本当に適切な加熱時間なのか疑う。
急いで、ペットボトルから水を飲んだ。
プロデューサーの食生活は、相変わらずボロボロである。食事管理アプリを入れたのだが、40点いけば良い方だ。冷凍食品の一品食いをしているせいで。
東雲荘一郎は、実はそのことを知っていた。偶然、スマホを見ているところを目撃したから。
プロデューサーさん、点数低過ぎるやろ。
カロリーが足りてないらしい。
ある日、昼休憩でふたりになった時に、東雲は尋ねた。
「プロデューサーさん、よかったら、一緒に住みませんか?」
「はい?!」
「ほら、そうしたら、プロデューサーさんの健康管理も出来ますし」
「いや、そんな、ご迷惑では…………?」
動揺しながら質問する。
「そんなことはありませんよ。Win-Winというものです」
「東雲さんのメリットは?」
「あなたにお節介が出来ます」
「いいんですか、それで?!」
「はい」
プロデューサーは、彼が嘘をついてないことくらい分かった。
「前向きに検討します…………」
「ぜひ」
言った通り、プロデューサーは検討した。頭の片隅で、ずっと。
東雲さんは、世話を焼いてくれる。それは、好きでやっていることらしいけれど。でも、負担にはなりたくない。
帰宅して、ひとりで食事をしている時も考えた。
ああ、そうか。自分は、誰かと一緒にご飯を食べたかったのか。
『こんばんは』
『お申し出、受けます』
『よろしくお願いします!』
プロデューサーは、東雲にメッセージを送った。
◆◆◆
「おはようございます」
「おはようございます!」
「今日は、玉子とベーコンを乗せたトースト、アボカドのサラダ、かぼちゃの冷製スープです。飲み物は、コーヒーでよろしいですか?」
「はい。ありがとうございます」
ふたりで食べる朝食は、いつも美味しい。
プロデューサーは、後片付けを担当している。
自分が寄りかかるだけになることを恐れていたが、上手く家事を分担出来ている。
ふたりで家を出て、事務所へ向かった。
あなたといると、ずっと幸せな時間が続くようです。
それは、どちらもが思っていること。ふたりは、お互いにとっての魔法使いであった。
想いは、きっと永遠に。