ポケモン
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生まれたのは、イッシュ地方のセッカシティ。相棒ポケモンは、ネジ山で出会ったフリージオ。
現在の住居は、パルデア地方のフリッジタウンにある。
職業は、覆面歌手。毎日、レクイエムを歌うのが、私の仕事。
性別不詳の私。簡単には教えない。
恋人は、チリちゃん。私の特別な人。
チリちゃんは、休日には私に会いに来てくれる。
「なんや? チリちゃんのことじっと見て」
隣に座っている彼女のことを見つめていたら、質問されてしまった。
「チリちゃんのお顔好き」
「顔だけ?」
「まさか。全部好き」
「可愛いなぁ、自分」
チリちゃんが、私の頭を撫でる。暖かい気持ちになって、目を閉じた。
「キスしてもええ?」
「うん……」
唇に、チリちゃんがキスする。柔らかい。
目を開けると、綺麗な顔が間近にある。優しく笑みを浮かべて。
「チリちゃん、大好き」
「ウチも、ナマエのこと大好きやで」
「うん。ありがとう」
チリちゃんが、私を優しく抱き締めてくれる。私は、彼女の背中に手を回した。
あなたに、甘え尽くしてしまう。私の凍り付いた心を溶かしてくれたあなただから。
「…………」
ああ。私は、話すのが下手だ。
「チリちゃん。私の歌を聴いて」
「もちろん、ええで」
一呼吸。私は歌い始める。
さよなら。口に出せば、本当にお別れのような気がして。口を閉ざした私。
でも、あなたはいってしまった。遥か遠くへ。
何故、出会ったのでしょう? 別れるためだったのでしょうか?
いいえ。あなたと出会わず千年の時を過ごすより、一瞬の邂逅を望むよ。
さよなら。口に出せば、本当にお別れのような気がして。それでも言うの私。
さよなら。また会えるはずだから。私が透明になったら、もう一度あなたの隣に行くの。
「相変わらず、綺麗な声やなぁ」
「ありがとう、チリちゃん」
「ナマエに弔われたら、幸せやろな」
「やだ。私より生きてくれなきゃ」
「そうやな。寂しい思いはさせへんって誓ったやんな」
チリちゃんは、私の手を取り、口付けた。騎士様みたいにカッコいい。
私は、一度死んだことがある。
あなたがいなければ、そのまま朽ち果てていたでしょう。
喪失を味わった私は、心の奥底から冷えていた。でも、あなたが私の手を取ってくれたから、また心臓が脈打つようになったの。
だから、ありがとう。いつか“さよなら”が来るその時まで、どうか私の傍にいてね。
チリちゃんは、私の灯火なんだよ。
この想いは、重たいかな?
「チリちゃん、私って重たい?」
「羽みたいに軽いで、自分」
「ふふ。よかった」
あなたがいなくちゃ、私はきっと歩いて行けない。
◆◆◆
ナッペ山で、私は、半ば雪に埋もれていた。雪の上に倒れて、眠ろうとしている。
永遠の眠りを望み、私はそうした。
もう疲れちゃったの。歩きたくないの。
天涯孤独の身の上の私。この世に、いてもいなくても同じ。
「…………!」
遠くで、誰かの声が聴こえた。
そして。目覚めると、私は病室にいた。
「ここは…………」
「おはようさん。自分、雪山で倒れとったんやで」
「私…………」
「死のうとしたんやろ?」
「はい」
「何があったか知らんけど、死んだらアカンで。チリちゃんでよかったら、話聞いたるからな」
「チリちゃん?」
「そや。ウチの名前や。自分は?」
「私は、ナマエ」
優しい人。思わず、素直に名乗ってしまった。
「ナマエ、よろしゅうな」
「よろしくお願いします」
それでも、私は「助けてくれて、ありがとう」とは言えないでいる。
「私、世界で独りきりなんです。それで、歩けなくなってしまって……」
「ほんなら、チリちゃんが友達になったるわ」
「友達?」
「せやで」
「……ありがとう、チリちゃん」
「それにな、自分、ポケモントレーナーやろ?」
なんでも、私のフリージオに導かれて、彼女は私を見付けたらしい。
「相棒ポケモンと、チリちゃんと一緒に生きて行こうや」
「うん……」
ごめんなさい。あなたがいるのに。そう、あなたが、チリちゃんを呼んでくれたんだね。
「チリちゃん、退院したら、墓場に連れて行ってほしいの」
「ええけど、なんでなん?」
「私、歌手なの。魂を鎮めるための歌を唄うのが仕事」
死者に、安らぎを。穏やかな眠りを。それが、私の願い。
「私、もう一度歩いてみる。だから、私を見ていてね、チリちゃん」
その日から、私は彼女と友達になり、一緒に過ごすようになった。
故郷の話や、相棒ポケモンの話や、ポケモンバトルの話や、仕事の話。たくさん話し合った。
「四天王だなんて、チリちゃんは凄い人だね」
「歌手も凄いやろ。気付いてへんの?」
「凄い、のかな? 私を見出だしてくれた人は、もういないから。なんだか、宙を漂ってるみたいで」
「じゃあ、チリちゃんが地面に繋いどいたるわ」
「ふふ。ありがとう」
チリちゃんは、強くて、美しくて、カッコいい。
私が、彼女を好きになるのに、時間はかからなかった。毎日が、夢のよう。あなたと会える日は、いつだって楽しくて。キラキラしている。
現在の住居は、パルデア地方のフリッジタウンにある。
職業は、覆面歌手。毎日、レクイエムを歌うのが、私の仕事。
性別不詳の私。簡単には教えない。
恋人は、チリちゃん。私の特別な人。
チリちゃんは、休日には私に会いに来てくれる。
「なんや? チリちゃんのことじっと見て」
隣に座っている彼女のことを見つめていたら、質問されてしまった。
「チリちゃんのお顔好き」
「顔だけ?」
「まさか。全部好き」
「可愛いなぁ、自分」
チリちゃんが、私の頭を撫でる。暖かい気持ちになって、目を閉じた。
「キスしてもええ?」
「うん……」
唇に、チリちゃんがキスする。柔らかい。
目を開けると、綺麗な顔が間近にある。優しく笑みを浮かべて。
「チリちゃん、大好き」
「ウチも、ナマエのこと大好きやで」
「うん。ありがとう」
チリちゃんが、私を優しく抱き締めてくれる。私は、彼女の背中に手を回した。
あなたに、甘え尽くしてしまう。私の凍り付いた心を溶かしてくれたあなただから。
「…………」
ああ。私は、話すのが下手だ。
「チリちゃん。私の歌を聴いて」
「もちろん、ええで」
一呼吸。私は歌い始める。
さよなら。口に出せば、本当にお別れのような気がして。口を閉ざした私。
でも、あなたはいってしまった。遥か遠くへ。
何故、出会ったのでしょう? 別れるためだったのでしょうか?
いいえ。あなたと出会わず千年の時を過ごすより、一瞬の邂逅を望むよ。
さよなら。口に出せば、本当にお別れのような気がして。それでも言うの私。
さよなら。また会えるはずだから。私が透明になったら、もう一度あなたの隣に行くの。
「相変わらず、綺麗な声やなぁ」
「ありがとう、チリちゃん」
「ナマエに弔われたら、幸せやろな」
「やだ。私より生きてくれなきゃ」
「そうやな。寂しい思いはさせへんって誓ったやんな」
チリちゃんは、私の手を取り、口付けた。騎士様みたいにカッコいい。
私は、一度死んだことがある。
あなたがいなければ、そのまま朽ち果てていたでしょう。
喪失を味わった私は、心の奥底から冷えていた。でも、あなたが私の手を取ってくれたから、また心臓が脈打つようになったの。
だから、ありがとう。いつか“さよなら”が来るその時まで、どうか私の傍にいてね。
チリちゃんは、私の灯火なんだよ。
この想いは、重たいかな?
「チリちゃん、私って重たい?」
「羽みたいに軽いで、自分」
「ふふ。よかった」
あなたがいなくちゃ、私はきっと歩いて行けない。
◆◆◆
ナッペ山で、私は、半ば雪に埋もれていた。雪の上に倒れて、眠ろうとしている。
永遠の眠りを望み、私はそうした。
もう疲れちゃったの。歩きたくないの。
天涯孤独の身の上の私。この世に、いてもいなくても同じ。
「…………!」
遠くで、誰かの声が聴こえた。
そして。目覚めると、私は病室にいた。
「ここは…………」
「おはようさん。自分、雪山で倒れとったんやで」
「私…………」
「死のうとしたんやろ?」
「はい」
「何があったか知らんけど、死んだらアカンで。チリちゃんでよかったら、話聞いたるからな」
「チリちゃん?」
「そや。ウチの名前や。自分は?」
「私は、ナマエ」
優しい人。思わず、素直に名乗ってしまった。
「ナマエ、よろしゅうな」
「よろしくお願いします」
それでも、私は「助けてくれて、ありがとう」とは言えないでいる。
「私、世界で独りきりなんです。それで、歩けなくなってしまって……」
「ほんなら、チリちゃんが友達になったるわ」
「友達?」
「せやで」
「……ありがとう、チリちゃん」
「それにな、自分、ポケモントレーナーやろ?」
なんでも、私のフリージオに導かれて、彼女は私を見付けたらしい。
「相棒ポケモンと、チリちゃんと一緒に生きて行こうや」
「うん……」
ごめんなさい。あなたがいるのに。そう、あなたが、チリちゃんを呼んでくれたんだね。
「チリちゃん、退院したら、墓場に連れて行ってほしいの」
「ええけど、なんでなん?」
「私、歌手なの。魂を鎮めるための歌を唄うのが仕事」
死者に、安らぎを。穏やかな眠りを。それが、私の願い。
「私、もう一度歩いてみる。だから、私を見ていてね、チリちゃん」
その日から、私は彼女と友達になり、一緒に過ごすようになった。
故郷の話や、相棒ポケモンの話や、ポケモンバトルの話や、仕事の話。たくさん話し合った。
「四天王だなんて、チリちゃんは凄い人だね」
「歌手も凄いやろ。気付いてへんの?」
「凄い、のかな? 私を見出だしてくれた人は、もういないから。なんだか、宙を漂ってるみたいで」
「じゃあ、チリちゃんが地面に繋いどいたるわ」
「ふふ。ありがとう」
チリちゃんは、強くて、美しくて、カッコいい。
私が、彼女を好きになるのに、時間はかからなかった。毎日が、夢のよう。あなたと会える日は、いつだって楽しくて。キラキラしている。