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ひまわりを抱き締めるあなたが、あまりにも美しくて。
俺の頭の片隅で、ずっと再生され続けている。
あなたに、恋をしています。
◆◆◆
知人の呪い屋を訪ねると、いささか不機嫌そうに出迎えられた。
「僕に、なんの用だ? ナマエ」
「あら、ご機嫌ね、ファウスト」
「それは、きみだろう」
大きく溜め息をつくファウスト。
星見の魔女、ナマエ・ミョウジは、そんな様子にも動じず、話を続けた。
「お邪魔するわね」と言って、部屋に入って来さえする。
彼女を止めても無駄なので、ファウストは何もしない。
「こんなところにいていいの? 賢者の魔法使いになったのでしょう?」
「こんなところとは失礼だな」
ファウストは、目線を逸らして続けた。
「息抜きだよ。魔法舎にいると、賢者がやたらと話しかけてくるんだ」
「そうなの」
「猫がいましたよ、とか。これ作ったから食べませんか、とか。今日は空が綺麗ですよ、とか。うるさいんだ」
「ふむ」
ナマエは、顎に手をやり、考える。
賢者のことが好きなのかしら?
「ファウスト、あなたを呪うわ」
「は?」
「好きな人に、好きと言わないと石になるわよ」
「はぁ?!」
それは、ただの戯れ言だった。呪いというより、むしろ逆だ。
「星見の呪いは、恐ろしいものよ。あらゆる不幸が、あなたを襲うわ」
「きみなぁ…………」
「さあさあ、魔法舎にお戻りなさいな」
「押すな!」
仕方なく、ファウストは外へ出る。
空が綺麗だ。賢者の笑顔を思い出す。
魔法舎に戻ると、待ち構えていたかのように賢者がいた。
「ファウスト! お帰りなさい」
「……ただいま」
「はじめまして」
「わっ!?」
ファウストの影から現れた女に、賢者は驚く。
「私は、ナマエ。星見の魔女よ。よろしく」
「よろしくお願いします……俺は————」
「名乗るな、賢者」
「ファウスト?」
「この魔女に呪われる」
「あら、失礼ね」
どの口が、と喉元まで出かけた。
「さあ、ファウスト。例の言葉を言いなさい」
「言うものか」
「あらゆる災難が降りかかるわよ」
「…………」
ファウストは、黙りこくる。
「あの、ファウスト?」
「……きみは、僕のことが好きなのか?」
「え? は、はい! もちろん!」
頬を赤く染める賢者。ナマエは、成り行きを笑いながら見守っている。
「僕も、きみのことが好きだ」
「ありがとう、ございます……」
「うーん。まあ、いいでしょう。呪わないであげるわ」
「どうも」
ファウストは、苦々しい顔をした。
その後。ナマエ・ミョウジが残した“呪い”は、じわじわとファウストを苦しめる。
彼のことが好きなのだと、思い知った。
可愛い猫も美味しい料理も綺麗な青空も。全て、自分と共有したいのだ、賢者は。
それは、愛に違いなかった。
俺の頭の片隅で、ずっと再生され続けている。
あなたに、恋をしています。
◆◆◆
知人の呪い屋を訪ねると、いささか不機嫌そうに出迎えられた。
「僕に、なんの用だ? ナマエ」
「あら、ご機嫌ね、ファウスト」
「それは、きみだろう」
大きく溜め息をつくファウスト。
星見の魔女、ナマエ・ミョウジは、そんな様子にも動じず、話を続けた。
「お邪魔するわね」と言って、部屋に入って来さえする。
彼女を止めても無駄なので、ファウストは何もしない。
「こんなところにいていいの? 賢者の魔法使いになったのでしょう?」
「こんなところとは失礼だな」
ファウストは、目線を逸らして続けた。
「息抜きだよ。魔法舎にいると、賢者がやたらと話しかけてくるんだ」
「そうなの」
「猫がいましたよ、とか。これ作ったから食べませんか、とか。今日は空が綺麗ですよ、とか。うるさいんだ」
「ふむ」
ナマエは、顎に手をやり、考える。
賢者のことが好きなのかしら?
「ファウスト、あなたを呪うわ」
「は?」
「好きな人に、好きと言わないと石になるわよ」
「はぁ?!」
それは、ただの戯れ言だった。呪いというより、むしろ逆だ。
「星見の呪いは、恐ろしいものよ。あらゆる不幸が、あなたを襲うわ」
「きみなぁ…………」
「さあさあ、魔法舎にお戻りなさいな」
「押すな!」
仕方なく、ファウストは外へ出る。
空が綺麗だ。賢者の笑顔を思い出す。
魔法舎に戻ると、待ち構えていたかのように賢者がいた。
「ファウスト! お帰りなさい」
「……ただいま」
「はじめまして」
「わっ!?」
ファウストの影から現れた女に、賢者は驚く。
「私は、ナマエ。星見の魔女よ。よろしく」
「よろしくお願いします……俺は————」
「名乗るな、賢者」
「ファウスト?」
「この魔女に呪われる」
「あら、失礼ね」
どの口が、と喉元まで出かけた。
「さあ、ファウスト。例の言葉を言いなさい」
「言うものか」
「あらゆる災難が降りかかるわよ」
「…………」
ファウストは、黙りこくる。
「あの、ファウスト?」
「……きみは、僕のことが好きなのか?」
「え? は、はい! もちろん!」
頬を赤く染める賢者。ナマエは、成り行きを笑いながら見守っている。
「僕も、きみのことが好きだ」
「ありがとう、ございます……」
「うーん。まあ、いいでしょう。呪わないであげるわ」
「どうも」
ファウストは、苦々しい顔をした。
その後。ナマエ・ミョウジが残した“呪い”は、じわじわとファウストを苦しめる。
彼のことが好きなのだと、思い知った。
可愛い猫も美味しい料理も綺麗な青空も。全て、自分と共有したいのだ、賢者は。
それは、愛に違いなかった。