ポケモン
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相棒ポケモンのフリージオを連れて、フリッジタウンの墓地に来た。
私の仕事は、魂を慰めるために歌うこと。
今日も、歌声を響かせよう。そう思っていたら、先客がいた。
ムウマージを連れたその人は、なんだか存在が曖昧に見える。
「あなたは、ゴースト?」
「ミク…………」
幽かな、そして可憐な声で、彼女は言った。
「ミクさん。私は、ナマエ。ちょっと特殊な歌手です」
「歌うの……?」
「はい。毎日、ここでレクイエムを歌っています」
「素敵…………」
「ありがとうございます。では、歌いますね」
私は、すうと息を吸って、歌い始める。
棺には、あなたが愛したものを詰めて。
降り積もる雪にも陽があたる。
季節は巡り、景色は変わるけれど、大切な想いは永遠に。
いつか、あなたに会える日まで、さようなら。
また会いましょう。
雪解けが、春を連れて来る頃に。
歌い終えると、拍手が聴こえた。振り向くと、ミクさんが微笑を浮かべている。
「ありがとうございます……いつもは、ひとりなので、少し緊張しちゃいました……」
「歌って……もう一度…………」
「はい」
同じ歌を、再び唄う。すると、ミクさんも歌い出した。ふたりで、ハーモニーを奏でる。
私は初めて、人とレクイエムを歌った。
「知ってる曲でしたか?」
「いいえ……覚えた…………」
「すごい! あんなに美しい旋律、即興で歌えるなんて!」
「ありがとう…………」
柔らかく微笑む彼女は、透明感があって、日光に消されてしまいそう。
「もっと歌って……」
「はい」
それからも、私が様々なレクイエムを歌い、ミクさんも共に歌ってくれた。
悲しみは、波のように繰り返す。
それでも、あなたが愛した世界で、私は生きていこう。
だから、どうか安らかに。
あなたが穏やかに眠れるように、私は歌おう。
あなたの側へ行く時は、たくさんのお土産を持って行こう。
さあ、今日はお別れ。
明日は、また会える。
「ミクさん、今日は、ありがとうございました。私————」
隣に目をやると、ミクさんはいなくなっている。音も立てずに。消えてしまったみたい。
彼女も、ムウマージも、消えた。
「私、また明日も来ますから」と、誰にともなく言う。
「帰ろうか」
フリージオに言って、私は、愛する人の元へ急いだ。
音がする。呼吸の音。衣擦れの音。雪を踏み締める音。
そのどれも、ミクさんは鳴らさずにいなくなった。不思議な人。
だけど、また会える気がする。あの場所で。
私は、明日もレクイエムを歌おう。大切なものを届けよう。弔いの花束のような歌を。
私の仕事は、魂を慰めるために歌うこと。
今日も、歌声を響かせよう。そう思っていたら、先客がいた。
ムウマージを連れたその人は、なんだか存在が曖昧に見える。
「あなたは、ゴースト?」
「ミク…………」
幽かな、そして可憐な声で、彼女は言った。
「ミクさん。私は、ナマエ。ちょっと特殊な歌手です」
「歌うの……?」
「はい。毎日、ここでレクイエムを歌っています」
「素敵…………」
「ありがとうございます。では、歌いますね」
私は、すうと息を吸って、歌い始める。
棺には、あなたが愛したものを詰めて。
降り積もる雪にも陽があたる。
季節は巡り、景色は変わるけれど、大切な想いは永遠に。
いつか、あなたに会える日まで、さようなら。
また会いましょう。
雪解けが、春を連れて来る頃に。
歌い終えると、拍手が聴こえた。振り向くと、ミクさんが微笑を浮かべている。
「ありがとうございます……いつもは、ひとりなので、少し緊張しちゃいました……」
「歌って……もう一度…………」
「はい」
同じ歌を、再び唄う。すると、ミクさんも歌い出した。ふたりで、ハーモニーを奏でる。
私は初めて、人とレクイエムを歌った。
「知ってる曲でしたか?」
「いいえ……覚えた…………」
「すごい! あんなに美しい旋律、即興で歌えるなんて!」
「ありがとう…………」
柔らかく微笑む彼女は、透明感があって、日光に消されてしまいそう。
「もっと歌って……」
「はい」
それからも、私が様々なレクイエムを歌い、ミクさんも共に歌ってくれた。
悲しみは、波のように繰り返す。
それでも、あなたが愛した世界で、私は生きていこう。
だから、どうか安らかに。
あなたが穏やかに眠れるように、私は歌おう。
あなたの側へ行く時は、たくさんのお土産を持って行こう。
さあ、今日はお別れ。
明日は、また会える。
「ミクさん、今日は、ありがとうございました。私————」
隣に目をやると、ミクさんはいなくなっている。音も立てずに。消えてしまったみたい。
彼女も、ムウマージも、消えた。
「私、また明日も来ますから」と、誰にともなく言う。
「帰ろうか」
フリージオに言って、私は、愛する人の元へ急いだ。
音がする。呼吸の音。衣擦れの音。雪を踏み締める音。
そのどれも、ミクさんは鳴らさずにいなくなった。不思議な人。
だけど、また会える気がする。あの場所で。
私は、明日もレクイエムを歌おう。大切なものを届けよう。弔いの花束のような歌を。