結婚式。それは、新たな関係性を紡ぐ儀式である。
　プロデューサーの男と、アイドルの男は、今日、結婚する。ふたりの関係性が、増えるのだ。志を同じくする仲間であり、よき友であり、仲睦まじい恋人であり、夫夫になる。それらの関係性を重ねてきたふたりは、お互いを“運命”だと信じ、共に歩んでいくのだ。
　あなたが喜ぶための蜜を、僕は運び続けます。あなたを苦しめる毒は、僕が飲み干します。あなたと一緒に、ずっと生きてゆきます。
　東雲荘一郎を愛する男は、心の中で誓う。
　今日だけは、永遠があると信じたい。あなたと僕の愛は、永遠だと。
　思考を巡らせていると、式の時間がきた。黒いタキシードを着た男は立ち上がり、少し緊張しながら、歩き出す。
　式場へ向かい、東雲を待つ。愛しい彼を待つ。
　そして、しばらくしてから、扉は開かれた。そこから、男と同じく、黒いタキシードを着た東雲荘一郎が歩いてくる。
　その姿に、男は見蕩れた。美しくて、格好よくて、世界で一番素敵だと思う。
　ああ、好きだなぁ。愛しいなぁ。きっと、僕は、この世で一番幸福な人間なんだろうな。
　男の脳裏に、今までの思い出が流れる。最初は、そう、ただ、美味しいものが食べたくて。あのカフェに入ったのだった。そこで、かけ替えのない人たちに出会ったのである。
　カフェパレードのメンバー。神谷幸広・アスランとサタン・卯月巻緒・水嶋咲。それから、東雲荘一郎。まるで、奇跡のような、必然のような、運命の出会い。
　初めは、カフェの客と、パティシエとして。その後は、プロデューサーと、アイドルとして。過ごしてきた日々は、煌めく宝石のよう。いつだって、大切に両手で握り締めている。
　そんなふたりは、真っ白なチャペルの中で、口付けを交わし、愛を誓う。
　結婚式に招待した人々が、ふたりを祝福する。ふたりに、幸いあれ、と。
　晴れの日は、穏やかに過ぎてゆき、ふたりは同じ家へと帰る。

「僕は、荘一郎さんのことを、生涯愛します」
「私も、あなたのことを愛していますよ、ずっとです」

　ふたり並んでソファーに座り、顔を合わせて、お互いに愛を囁く。何度声に出しても、新鮮に嬉しい。
　始まりは、カフェパレード。
　自由な世界で、一緒にいることを選んで。
　ふたりの間に、仮面などなくて。
　それは、終わりのないお伽噺のように。
　紡いでゆく日常は、音楽みたいに奏でられ、まるで全ては、プレゼント。
　美味しい幸せは、続く。
　宝石箱にしまった想いは、永遠に。
　楽しい楽しい、お茶会を開こう。
　あなたと、ふたり。この先もずっと、共にいよう。
　愛してる。