刀
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山伏国広が山へ行きたそうなので、審神者は庭先を山へ繋げた。
「夕方には帰って来いよ」
「主殿は行かぬのか?」
「俺?」
「拙僧がしっかりとお守りする故、供に行かぬか?」
「はぁ……まあ、たまにはいいかもな……」
そうナマエが返事をした時。
「貴様! 抜け駆けするな!」
へし切長谷部が山伏に吠えた。
「お前、いつの間に……」
「抜け駆けとは?」
山伏は、きょとんとしている。
「貴様、主と逢い引きするつもりだろう!」
「話を飛躍させるな」
「逢い引き? 拙僧は主殿と修行をするのであるが」
「おい、俺は修行もしないぞ」
ナマエは、腕を組んで溜め息をついた。
「山伏、少し待て。長谷部、ついて来い」
「あい分かった」
「はい」
長谷部を連れて、自室へ来たナマエは、白布を外す。
「長谷部」
「はい」
ナマエは、長谷部の頬に両手を添えて目を合わせた。
夜色の瞳が、へし切長谷部を見つめている。
「主……?」
「今度、お前とも出かけてやるから、落ち着け。いいな?」
「は、はい!」
長谷部は、カァッと顔を赤くした。
「逢い引きじゃないからな?」
「……はい」
「俺が留守の間、ここを頼むぞ」
「かしこまりました」
その後。ナマエと山伏は、山へ向かった。
ナマエは、大きな荷物を背負っている。
「うむ。絶景であるな!」
「まぁな」
登頂してから、ナマエたちは休憩することにした。
「ところで、主殿。その荷物は?」
「ああ、これは……」
ナマエは、山伏に持たせていた御座を敷いてから、背中から琴を取り出す。
「ほう」
「少し歌うが、気にするな」
海行けど 流れる屍
山行けど 草生す屍
兵どもが夢の跡
夢の後には別の夢
人よ 努々忘れるなかれ
人よ 死することを忘れるなかれ
一夜限りの夢の如き儚さよ
山中に、切なく響くナマエの歌声。
琴を弾き終え、「ふう」と一息ついた。
「主殿の歌は、美しいな」
「そうか? 手慰みみたいなものだが」
「カカカ! 謙遜されるな! 素晴らしい諸行無常の歌であった!」
「……ありがとうな」
珍しく微笑むナマエだが、面隠しの布があるため、山伏には見えない。
それから、山伏が修行をしている間、ナマエは琴の練習をしたり、茶を飲んだりした。
晩夏の山に蜩の声が響いてきた頃、ナマエたちは下山し、本丸へと帰る。
「主殿。今日は、拙僧と供をしていただき、誠に有り難かった! また、よろしく頼む」
「気が向いたらな」
ナマエは、ひらひらと片手を振り、自室へ行った。
「おかえり」
「なんでいる?」
部屋には何故か、にっかり青江がいる。
「君がいなくて寂しくてね」
「嘘つけ」
ナマエは、白布を外してから、文机に向かった。
書類を片付けなくてはならない。
にっかりは、主のことを、じっと見ている。
「山から、何か連れ帰ってはいないようだね」
「そこまで無用心じゃない」
「うん。よかった」
にっかり青江の笑みは、美しく、そう思ってしまう自分が嫌になった。
「夕方には帰って来いよ」
「主殿は行かぬのか?」
「俺?」
「拙僧がしっかりとお守りする故、供に行かぬか?」
「はぁ……まあ、たまにはいいかもな……」
そうナマエが返事をした時。
「貴様! 抜け駆けするな!」
へし切長谷部が山伏に吠えた。
「お前、いつの間に……」
「抜け駆けとは?」
山伏は、きょとんとしている。
「貴様、主と逢い引きするつもりだろう!」
「話を飛躍させるな」
「逢い引き? 拙僧は主殿と修行をするのであるが」
「おい、俺は修行もしないぞ」
ナマエは、腕を組んで溜め息をついた。
「山伏、少し待て。長谷部、ついて来い」
「あい分かった」
「はい」
長谷部を連れて、自室へ来たナマエは、白布を外す。
「長谷部」
「はい」
ナマエは、長谷部の頬に両手を添えて目を合わせた。
夜色の瞳が、へし切長谷部を見つめている。
「主……?」
「今度、お前とも出かけてやるから、落ち着け。いいな?」
「は、はい!」
長谷部は、カァッと顔を赤くした。
「逢い引きじゃないからな?」
「……はい」
「俺が留守の間、ここを頼むぞ」
「かしこまりました」
その後。ナマエと山伏は、山へ向かった。
ナマエは、大きな荷物を背負っている。
「うむ。絶景であるな!」
「まぁな」
登頂してから、ナマエたちは休憩することにした。
「ところで、主殿。その荷物は?」
「ああ、これは……」
ナマエは、山伏に持たせていた御座を敷いてから、背中から琴を取り出す。
「ほう」
「少し歌うが、気にするな」
海行けど 流れる屍
山行けど 草生す屍
兵どもが夢の跡
夢の後には別の夢
人よ 努々忘れるなかれ
人よ 死することを忘れるなかれ
一夜限りの夢の如き儚さよ
山中に、切なく響くナマエの歌声。
琴を弾き終え、「ふう」と一息ついた。
「主殿の歌は、美しいな」
「そうか? 手慰みみたいなものだが」
「カカカ! 謙遜されるな! 素晴らしい諸行無常の歌であった!」
「……ありがとうな」
珍しく微笑むナマエだが、面隠しの布があるため、山伏には見えない。
それから、山伏が修行をしている間、ナマエは琴の練習をしたり、茶を飲んだりした。
晩夏の山に蜩の声が響いてきた頃、ナマエたちは下山し、本丸へと帰る。
「主殿。今日は、拙僧と供をしていただき、誠に有り難かった! また、よろしく頼む」
「気が向いたらな」
ナマエは、ひらひらと片手を振り、自室へ行った。
「おかえり」
「なんでいる?」
部屋には何故か、にっかり青江がいる。
「君がいなくて寂しくてね」
「嘘つけ」
ナマエは、白布を外してから、文机に向かった。
書類を片付けなくてはならない。
にっかりは、主のことを、じっと見ている。
「山から、何か連れ帰ってはいないようだね」
「そこまで無用心じゃない」
「うん。よかった」
にっかり青江の笑みは、美しく、そう思ってしまう自分が嫌になった。
