刀
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ミョウジナマエは、手入れ部屋で刀剣男士の傷を治していた。
出陣させたへし切長谷部が、重傷を負って帰って来たのである。
「無茶をさせたな」
傷を負ったまま進軍させたのは、ナマエだ。その判断のおかげで、時間遡行軍を殲滅出来たので、結果的にはよかったが。
「いえ、どうということはありません」
今、この時は主を独り占め出来た。それだけで、長谷部は充足する。
「……でも、痛むだろう。痛覚があるんだからな」
「平気です。主のお役に立てるなら」
「馬鹿だな、お前は」
言葉とは裏腹に、ナマエは長谷部の頭を撫でた。
「主…………」
長谷部は、照れたように微笑む。
「さて。処置は済んだ。後は、時間が経てば治るだろう」
「ありがとうございます」
「……お前に話がある」
「なんでしょう?」
ナマエは、顔を覆う白布をとった。
そして、長谷部の目を真っ直ぐに見つめる。
「主?」
「お前に、総務を任せたい」
「俺に…………?」
長谷部は、僅かに目を見開いた。
「刀の一振り一振りを、ちゃんと見なきゃならない仕事だ。出来るか?」
「はい……!」
「仮にも心がある奴が相手なんだ。あまり横柄に接するなよ」
「はい」
ふぅ、とナマエは息を吐く。
「主。どうして俺なんですか? そのような大役を……」
「それは……」
ナマエは、長谷部を正面から抱き締め、囁いた。
「お前が、一番馬鹿だからだよ」
その声色は優しく、長谷部の心を包み込むようで。長谷部は、恐る恐るナマエを抱き締め返した。
「俺は、有能な奴が好きだ。分かったな? 長谷部」
「はい。ありがとうございます」
「よし」
ナマエは、少し体を離し、片手で長谷部の頬に触れる。
「期待してるぞ、長谷部」
「この長谷部に、お任せください」
その手に、そっと手を重ねても、主は何も言わなかった。
ナマエとの時間が、静かに過ぎていく。
その日の晩から、ナマエが首を刎ねられる夢を見ることはなくなった。
ナマエは、自分と長谷部にかけられた呪いを少しだけ解くことに成功したのである。
役目を与え、一番を与え、特別を与えた。
翌日の朝。審神者は、皆の前でへし切長谷部に与えた任のことを告げた。
特に反対する刀はいない。
それから、長谷部の他の刀剣に対する態度は軟化した。
ナマエは、長谷部とふたりきりになると、頭を撫でるようになった。
8月。ミョウジナマエは、審神者であることの責任を果たす覚悟を新たにした。
そうでもしないと、世界に使われる俺に使われるお前たちが哀れだと、ナマエは思う。
人は嫌いだ。心は醜い。運命は残酷だ。
それでもなお、世界は美しい。
ナマエは厭世的ではあるが、美しいものが好きである。
出陣させたへし切長谷部が、重傷を負って帰って来たのである。
「無茶をさせたな」
傷を負ったまま進軍させたのは、ナマエだ。その判断のおかげで、時間遡行軍を殲滅出来たので、結果的にはよかったが。
「いえ、どうということはありません」
今、この時は主を独り占め出来た。それだけで、長谷部は充足する。
「……でも、痛むだろう。痛覚があるんだからな」
「平気です。主のお役に立てるなら」
「馬鹿だな、お前は」
言葉とは裏腹に、ナマエは長谷部の頭を撫でた。
「主…………」
長谷部は、照れたように微笑む。
「さて。処置は済んだ。後は、時間が経てば治るだろう」
「ありがとうございます」
「……お前に話がある」
「なんでしょう?」
ナマエは、顔を覆う白布をとった。
そして、長谷部の目を真っ直ぐに見つめる。
「主?」
「お前に、総務を任せたい」
「俺に…………?」
長谷部は、僅かに目を見開いた。
「刀の一振り一振りを、ちゃんと見なきゃならない仕事だ。出来るか?」
「はい……!」
「仮にも心がある奴が相手なんだ。あまり横柄に接するなよ」
「はい」
ふぅ、とナマエは息を吐く。
「主。どうして俺なんですか? そのような大役を……」
「それは……」
ナマエは、長谷部を正面から抱き締め、囁いた。
「お前が、一番馬鹿だからだよ」
その声色は優しく、長谷部の心を包み込むようで。長谷部は、恐る恐るナマエを抱き締め返した。
「俺は、有能な奴が好きだ。分かったな? 長谷部」
「はい。ありがとうございます」
「よし」
ナマエは、少し体を離し、片手で長谷部の頬に触れる。
「期待してるぞ、長谷部」
「この長谷部に、お任せください」
その手に、そっと手を重ねても、主は何も言わなかった。
ナマエとの時間が、静かに過ぎていく。
その日の晩から、ナマエが首を刎ねられる夢を見ることはなくなった。
ナマエは、自分と長谷部にかけられた呪いを少しだけ解くことに成功したのである。
役目を与え、一番を与え、特別を与えた。
翌日の朝。審神者は、皆の前でへし切長谷部に与えた任のことを告げた。
特に反対する刀はいない。
それから、長谷部の他の刀剣に対する態度は軟化した。
ナマエは、長谷部とふたりきりになると、頭を撫でるようになった。
8月。ミョウジナマエは、審神者であることの責任を果たす覚悟を新たにした。
そうでもしないと、世界に使われる俺に使われるお前たちが哀れだと、ナマエは思う。
人は嫌いだ。心は醜い。運命は残酷だ。
それでもなお、世界は美しい。
ナマエは厭世的ではあるが、美しいものが好きである。
