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「あっ……」
 自室へ行くと、そこには、いつも通りに飄々とした彼がいる。

「ヘクトール、残ってくれたんだ」
「まだマスターは何かに巻き込まれるんじゃないかって、オジサン心配でね」
「そっか……ありがとう、ヘクトール」

 言いたいことが沢山ある。いくら感謝してもし足りない。ずっと守ってくれていたこと、大切にしてもらったこと、信頼してくれたこと、全てに感謝している。

「本当に……今まで、ありがとう。これからもよろしく」
「マスター……」

 涙を堪え切れなかった。袖で拭っても拭っても、次々に雫が落ちてくる。人理修復の任に就いてから、こんなに泣くのは初めてのことかもしれない。

「ごめ……なんか、色々思い出しちゃって。あと、安心した……っていうか……」

 万感の思いから出た涙だった。
 世界が続くのが嬉しい。守れなかったものが悲しい。何度も死にそうになったのが怖かった。あなたといずれ、別れることが寂しい。あなたが今、隣にいることが嬉しい。
 ヘクトールは海が溢れるように碧い眼から流れる涙を見て、胸が締め付けられた。

「…………ナマエ
「え……?」
 気付くと、ヘクトールの腕に抱き締められていた。

「俺はナマエがマスターで本当に良かったって思ってるよ……」
「ヘクトール……あ、あの……オレっ!……その、あなたのことが好きです!」
 つい勢いに任せて告白してしまったナマエは、顔から火が出ているような気がした。

「好きっていうのは、えっと、愛してるってこと……です……!」
「それは俺が先に言ったんだけどねぇ」
「え?!」

“マスターはオジサンにとってのトロイアだ。全力で愛し、守ってみせるぜ”

「あれ、今オレが言ったのと同じ意味?!」
「そうだよ」
 驚きのあまり涙が止まったことに、ナマエは気付かない。

「……騙されないぞ」
「可愛くないガキだなぁ」

 台詞に反して彼は、自身を睨むナマエの頭を優しく撫でた。そして、その手をナマエの後頭部に回すと、彼の唇にキスをした。何秒かしてから何が起きたか理解したナマエは、ヘクトールの腕から急いで逃れた。

「な、なにしてくれてんの?!」
「愛情表現」
「そういうの、ほんと……困る……すごく困る……」
「オジサンは、照れたり困ったりするマスター見るの楽しい」
 ヘラヘラと笑われた。

「これが大人の余裕……! 大人って汚い……!」
 半歩、後退る余裕のない未成年者。

「今に見てろ……ヘクトールが照れたり困ったりするようなことしてやるからな……!」
「へいへい、がんばれー」
 自分を甘く見たことを後悔させてやると誓うマスターであったが、ヘクトールは感情を表に出さないのが得意なので、骨を折ることになるのだった。





2017/01/28
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