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隣人の素性を、あなたはどこまで知っているだろうか?
顔。性別。年齢。職業。
このくらいは、知っている、あるいは知っているつもりかもしれない。
だが、過去は?
よほど親しくなければ知らないのではないだろうか?
これは、そんな謎多き男たちの物語。
◆◆◆
長い前髪で両目が隠れたチャイナ服の怪しい露店商がいる。
彼の名前は、ナマエ・ミョウジ。
地球のとある場所で生まれて、ワケあってイズマ・コロニーで暮らしている。
ナマエの露店には、装飾品や少し凝った日用品が並んでいた。
「いらっしゃいませ~」
時折来る客に、間延びした挨拶をするナマエ。
「おや、ミョウジさん」
「あ、こんにちは~。シャリアさん」
「貴方は、露店商だったのですね」
「はい。目利きには自信がありますよ」
「なるほど」
目が見えていないのに、目利きとは?
ナマエの隣人、シャリア・ブルが並べられた商品を見る。
「これは……綺麗な赤色ですね……」
「それは、ガラス細工の小物入れです~。腕時計や指輪を置くのにどうぞ」
「買わせてください」
「ありがとうございます~」
ナマエは、代金を受け取り、小物入れを丁寧に包んだ。
しばらくして。
「ミョウジ?」
「こんにちは~。シャアさん」
ナマエの隣人であり、シャリアの同居人がやって来た。
「君は、露店商だったのか」
「んふふ。はい」
「なかなか凝ったものが多いな」
「ぼくが仕入れてきた逸品ばかりですよ~」
シャア・アズナブルは、ひとつの品物を手に取って見ている。
「綺麗な緑色だ」
「そちらは、職人がひとつひとつ手作りをしたグラスでございます~」
「ふむ。これをいただこう」
「ありがとうございます~」
代金を受け取り、グラスを包んで渡した。
「では、また」
「はい。また、よろしくお願いします~」
客を見送った後、ナマエはクスクスと笑う。
隣人であるシャリアとシャアが、お互いの色の物を買って行ったのが面白かったから。
仲が良ろしいんですね~。
ナマエは、そんなことを思った。
彼は、ふたりの関係性については詳しく知らない。同居しているということしか。
それは、ナマエ・ミョウジが何者なのかを、ふたりが知らないのと同じであった。
店じまいをし、ナマエは帰宅する。
隣の家から、美味しそうな晩ごはんの香りがしてきた。
ナマエは、手を洗ってからエプロンを着けて、自分ひとり分の料理を作り始める。
今晩は、回鍋肉にすることにした。
静かに、夜は過ぎていく。
◆◆◆
それは、珍品か。チープか。
どちらだとしても、そのこと自体に意味はなく、ナマエ・ミョウジは美しい品物だけを露店に並べている。
今日も、ナマエは怪しげに商売をしていた。
たまに来る客には、気さくに話しかけて、必ずひとつは何かを売り付ける。
「お買い上げ、ありがとうございます~」
ナマエは、口元をほころばせて拱手した。
時は流れて、いつぞやのように、隣人のシャアが訪れる。
「こんばんは~」
「遅くまでご苦労だな、ミョウジ」
「ありがとうございます。でも、ぼくは好きなことをしているだけですから、苦ではありませんよ」
「そうか」
シャアは、陳列された品々を眺めた。
「…………」
そして、綺麗な小瓶に目を止める。
「これは?」
小瓶をそっと持ち上げ、シャアは尋ねた。中の液体が揺れる。
「そちらは、希少なお酒です。んふふ」
「どうかしたのか?」
笑いを抑え切れないナマエを、シャアが見つめた。
「いえ、すいません。あなたの瞳と同じ色をしているものですから」
「そんなことか」
「そんなことですよ」
「これを買おう」
「ありがとうございます~」
ナマエは、代金を受け取り、小瓶を包む。
「大切な人と飲むといいですよ」
「それは……」
「シャリアさん、とかね」
ニッと口端を吊り上げるナマエ。
「それでは、そうしよう」
薄く笑みを浮かべ、シャアはそう答えた。
帰路につくシャアを見送ってから、ナマエは店じまいをする。
翌日。
ナマエ・ミョウジがいつものように露店を開いていると、シャリアがやって来た。
「ミョウジさん」
「こんにちは~」
「あの…………」
「どうかしました?」
「あの酒は、一体……?」
「んふふ。お楽しみいただけたようで、よかったです~」
シャリアには、分かってしまう。昨晩、シャアと共に飲んだ酒の正体が。
「……いかがわしい店ですね」
「よく言われます~」
「褒めていません」
「んふふ」
少し怒ってみせても、ナマエは、笑みを崩さないままでいる。
「すいません。でも、綺麗でしょう? あの小瓶」
「それは、まあそうですね……」
「シャアさんの瞳の色ですもんね」
「……はい」
シャリアは、ナマエの審美眼は確かなものだと思った。ただ、彼の気質なのか、少し悪戯が過ぎるが。
「ミョウジさん」
「はい」
「今度、家で食事でもどうですか?」
「んふふ。ぼく、お邪魔してもいいんですか?」
「ええ」
シャリアは、ナマエ・ミョウジという隣人をもっと深く知りたいと思った。
「では、遠慮なく~」
「はい。では、また今度」
シャリアを見送り、ナマエは仕事を続ける。
同じ生存可能圏で暮らしていても、ナマエには、ふたりのことは分からない。
それでも、彼なりに親しみを覚えていた。
顔。性別。年齢。職業。
このくらいは、知っている、あるいは知っているつもりかもしれない。
だが、過去は?
よほど親しくなければ知らないのではないだろうか?
これは、そんな謎多き男たちの物語。
◆◆◆
長い前髪で両目が隠れたチャイナ服の怪しい露店商がいる。
彼の名前は、ナマエ・ミョウジ。
地球のとある場所で生まれて、ワケあってイズマ・コロニーで暮らしている。
ナマエの露店には、装飾品や少し凝った日用品が並んでいた。
「いらっしゃいませ~」
時折来る客に、間延びした挨拶をするナマエ。
「おや、ミョウジさん」
「あ、こんにちは~。シャリアさん」
「貴方は、露店商だったのですね」
「はい。目利きには自信がありますよ」
「なるほど」
目が見えていないのに、目利きとは?
ナマエの隣人、シャリア・ブルが並べられた商品を見る。
「これは……綺麗な赤色ですね……」
「それは、ガラス細工の小物入れです~。腕時計や指輪を置くのにどうぞ」
「買わせてください」
「ありがとうございます~」
ナマエは、代金を受け取り、小物入れを丁寧に包んだ。
しばらくして。
「ミョウジ?」
「こんにちは~。シャアさん」
ナマエの隣人であり、シャリアの同居人がやって来た。
「君は、露店商だったのか」
「んふふ。はい」
「なかなか凝ったものが多いな」
「ぼくが仕入れてきた逸品ばかりですよ~」
シャア・アズナブルは、ひとつの品物を手に取って見ている。
「綺麗な緑色だ」
「そちらは、職人がひとつひとつ手作りをしたグラスでございます~」
「ふむ。これをいただこう」
「ありがとうございます~」
代金を受け取り、グラスを包んで渡した。
「では、また」
「はい。また、よろしくお願いします~」
客を見送った後、ナマエはクスクスと笑う。
隣人であるシャリアとシャアが、お互いの色の物を買って行ったのが面白かったから。
仲が良ろしいんですね~。
ナマエは、そんなことを思った。
彼は、ふたりの関係性については詳しく知らない。同居しているということしか。
それは、ナマエ・ミョウジが何者なのかを、ふたりが知らないのと同じであった。
店じまいをし、ナマエは帰宅する。
隣の家から、美味しそうな晩ごはんの香りがしてきた。
ナマエは、手を洗ってからエプロンを着けて、自分ひとり分の料理を作り始める。
今晩は、回鍋肉にすることにした。
静かに、夜は過ぎていく。
◆◆◆
それは、珍品か。チープか。
どちらだとしても、そのこと自体に意味はなく、ナマエ・ミョウジは美しい品物だけを露店に並べている。
今日も、ナマエは怪しげに商売をしていた。
たまに来る客には、気さくに話しかけて、必ずひとつは何かを売り付ける。
「お買い上げ、ありがとうございます~」
ナマエは、口元をほころばせて拱手した。
時は流れて、いつぞやのように、隣人のシャアが訪れる。
「こんばんは~」
「遅くまでご苦労だな、ミョウジ」
「ありがとうございます。でも、ぼくは好きなことをしているだけですから、苦ではありませんよ」
「そうか」
シャアは、陳列された品々を眺めた。
「…………」
そして、綺麗な小瓶に目を止める。
「これは?」
小瓶をそっと持ち上げ、シャアは尋ねた。中の液体が揺れる。
「そちらは、希少なお酒です。んふふ」
「どうかしたのか?」
笑いを抑え切れないナマエを、シャアが見つめた。
「いえ、すいません。あなたの瞳と同じ色をしているものですから」
「そんなことか」
「そんなことですよ」
「これを買おう」
「ありがとうございます~」
ナマエは、代金を受け取り、小瓶を包む。
「大切な人と飲むといいですよ」
「それは……」
「シャリアさん、とかね」
ニッと口端を吊り上げるナマエ。
「それでは、そうしよう」
薄く笑みを浮かべ、シャアはそう答えた。
帰路につくシャアを見送ってから、ナマエは店じまいをする。
翌日。
ナマエ・ミョウジがいつものように露店を開いていると、シャリアがやって来た。
「ミョウジさん」
「こんにちは~」
「あの…………」
「どうかしました?」
「あの酒は、一体……?」
「んふふ。お楽しみいただけたようで、よかったです~」
シャリアには、分かってしまう。昨晩、シャアと共に飲んだ酒の正体が。
「……いかがわしい店ですね」
「よく言われます~」
「褒めていません」
「んふふ」
少し怒ってみせても、ナマエは、笑みを崩さないままでいる。
「すいません。でも、綺麗でしょう? あの小瓶」
「それは、まあそうですね……」
「シャアさんの瞳の色ですもんね」
「……はい」
シャリアは、ナマエの審美眼は確かなものだと思った。ただ、彼の気質なのか、少し悪戯が過ぎるが。
「ミョウジさん」
「はい」
「今度、家で食事でもどうですか?」
「んふふ。ぼく、お邪魔してもいいんですか?」
「ええ」
シャリアは、ナマエ・ミョウジという隣人をもっと深く知りたいと思った。
「では、遠慮なく~」
「はい。では、また今度」
シャリアを見送り、ナマエは仕事を続ける。
同じ生存可能圏で暮らしていても、ナマエには、ふたりのことは分からない。
それでも、彼なりに親しみを覚えていた。
