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研究室の庭を手入れしていると、異様な風体の者が見えた。
「えっ?」
ドクロを被っていて、前髪で両目は隠されており、右腕が骨。
私は、思わず息を呑んだ。
「あれ? 俺のことが見えてる感じ?」
「は、はい…………」
意外と気さくに話しかけてこられて、返事をする。
「ふーん。俺、凶街モルテ。お前は?」
「ヌリエと申します」
「ヌリエは、医者かなんか?」
私の白衣を見て、そう訊いたのだろう。
「いえ、私は、研究者です。認知科学を専門としております」
「ニンチカガク?」
「音楽が個人の認知世界に与える影響について研究をしていまして」
「なるほどな?」
モルテさんは、顎に手をやり、しばし考えるような仕草をした。
「その研究、協力してもいいぜ」
「本当ですか?!」
「おう」
「よろしくお願いします!」
被験者は、多い方がいい。モルテさんが加わってくれたら、5人になる。
「俺、死人だけどいい?」
「意思があるなら人間だと思います。問題ありません」
私は、彼と握手をした。
それから私は、モルテさんの歌唱データを取り、クランケに聴かせて、精神への作用を記録する。
「ヌリエは、どうして認知科学をやってるんだ?」
ある日の実験の休憩時間、モルテさんに質問された。
「人の認知は、生きているだけで歪んでいきます。私は、それを良い方向に動かせたらいいと考え、この研究をしています」
「へぇ。人助けってやつか」
「いえ、私のは自己救済ですよ」
「そうか、そうか。それもいいんじゃねえか」
モルテさんは、口角を引き上げて言う。
かつて独りきりだった私を救うために、私は、研究を続けている。
それにしても。あなたが死者だというのなら、“死”は終わりではないということなのだろうか?
それなら私の、“いつまでも世界を観測していたい”という願いも、あながち叶わないものではないのかもしれない。
換気のために開けていた窓から、寒風が入り込んだ。身震いした後、窓を締める。
「冬はいいなあ」と、呟くようにモルテさんが言った。
私にとって、冬は“死の季節”である。私は、寒いのが苦手(暑いのも苦手だが)だし、乾燥すると唇や手がガサガサになるから嫌だ。
それでも、冬の澄んだ空気と星空は好きでいる。
「モルテさん、今夜は晴れだそうですよ。屋上で星でも見ませんか?」
「ああ。それはいいな」
あの遥か遠くの光は、もう死んでいるのかもしれないけれど。死んだ後も灯りを遺せていることは、羨ましく思う。
私は、私の星を創ろう。
「えっ?」
ドクロを被っていて、前髪で両目は隠されており、右腕が骨。
私は、思わず息を呑んだ。
「あれ? 俺のことが見えてる感じ?」
「は、はい…………」
意外と気さくに話しかけてこられて、返事をする。
「ふーん。俺、凶街モルテ。お前は?」
「ヌリエと申します」
「ヌリエは、医者かなんか?」
私の白衣を見て、そう訊いたのだろう。
「いえ、私は、研究者です。認知科学を専門としております」
「ニンチカガク?」
「音楽が個人の認知世界に与える影響について研究をしていまして」
「なるほどな?」
モルテさんは、顎に手をやり、しばし考えるような仕草をした。
「その研究、協力してもいいぜ」
「本当ですか?!」
「おう」
「よろしくお願いします!」
被験者は、多い方がいい。モルテさんが加わってくれたら、5人になる。
「俺、死人だけどいい?」
「意思があるなら人間だと思います。問題ありません」
私は、彼と握手をした。
それから私は、モルテさんの歌唱データを取り、クランケに聴かせて、精神への作用を記録する。
「ヌリエは、どうして認知科学をやってるんだ?」
ある日の実験の休憩時間、モルテさんに質問された。
「人の認知は、生きているだけで歪んでいきます。私は、それを良い方向に動かせたらいいと考え、この研究をしています」
「へぇ。人助けってやつか」
「いえ、私のは自己救済ですよ」
「そうか、そうか。それもいいんじゃねえか」
モルテさんは、口角を引き上げて言う。
かつて独りきりだった私を救うために、私は、研究を続けている。
それにしても。あなたが死者だというのなら、“死”は終わりではないということなのだろうか?
それなら私の、“いつまでも世界を観測していたい”という願いも、あながち叶わないものではないのかもしれない。
換気のために開けていた窓から、寒風が入り込んだ。身震いした後、窓を締める。
「冬はいいなあ」と、呟くようにモルテさんが言った。
私にとって、冬は“死の季節”である。私は、寒いのが苦手(暑いのも苦手だが)だし、乾燥すると唇や手がガサガサになるから嫌だ。
それでも、冬の澄んだ空気と星空は好きでいる。
「モルテさん、今夜は晴れだそうですよ。屋上で星でも見ませんか?」
「ああ。それはいいな」
あの遥か遠くの光は、もう死んでいるのかもしれないけれど。死んだ後も灯りを遺せていることは、羨ましく思う。
私は、私の星を創ろう。
