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美味いまぜそばの店があるから行こうぜ。と、ちさととまひろに、ミョウジナマエからメッセージが届いた。
「どうする?」
「あー。断ると拗ねるからなぁ……」
「たまには、交流するか!」
「はーい」
ふたりは、ゆるゆると出かける準備を進める。
そして、待ち合わせの場所へ行くと、すでにナマエがいた。
ウェーブがかった黒髪ショートに、紫色のインナーカラー。彼女の胡散臭さを際立たせるサングラス。シルバーの蝶のピアス。ゴツいチェーンネックレス。着古したスタジャン。ヴィンテージのデニムパンツ。走りやすいスニーカー。片手に、ひしゃげた缶ビールを持っている。
「よう、おふたりさん。元気?」
「元気~」
「元気です……」
「あたしも元気、元気! じゃ、行こか」
「はーい」と、ふたり。
ナマエは、ひしゃげた缶をポケットに捩じ込み、中華料理屋に入って行く。
「最近どう? オモテの仕事」と、席についたナマエは訊いた。
「あんまり向いてないかも」
「同じく……」
「そっか」
「ナマエは?」
「あたしは、サンタクロースやってる」
絶対嘘じゃん。
ちさととまひろは思う。
だが、ナマエは口八丁で世を渡るのが上手いので、心配はしていない。
「あたし、塩まぜそば」
「んー。醤油まぜそば」
「……醤油ラーメン」
「まぜそばにしろって」
ナマエが、まひろに言う。
「じゃあ、醤油まぜそばで」
「すいませーん!」
ナマエが、三人分の注文を済ませた。
「ナマエはさ、保険? とか、税金? とか、どうしてんの?」
「保険料は年イチで一括で払ってるし、税金関係は全部税理士にお任せ。ふたりも、書類送ればやってくれるって言われたと思うけど?」
「あー、ね」
「それが出来れば借金背負ってないよ……」
それを聞いたナマエは、ゲラゲラ笑い出す。
「あんたら、借金あんの? ヤバ~!」
「国が悪いんだよ、国が」
「まあ、国がクソなのは同意だけど。国なんて利用して上手く生きなよ」
「簡単に言うなよー」
話しているうちに、まぜそばが届いた。
「いただきます」と、三人は食べ始める。
「うめぇ」
「うまっ」
「うん」
太麺は、油とにんにくが絡んでいて美味しい。厚切りのチャーシューが、ほろほろと溶けるようになくなっていく。
「やっぱ、まぜそばなんだよなぁ」
ナマエが、得意げに言った。
「今度さぁ、三人で仕事したいねぇ」
「三人ってビミョーじゃない?」
ナマエに、ちさとが反論する。
「ツーマンセルってあるじゃん。あれなら分かるんだけど」
「スリーマンセルもあるだろ」
「マジ?」
「マジだよ。おバカさん」
「ナマエは、算数出来ないじゃん」
「適材適所。出来ないことは、人使うから。すいませーん!」
ミョウジナマエは、ハイボールを注文した。
「昼間からめちゃくちゃ飲むな、コイツ」
「……酒クズだ」
「美味しいからいいんだよ」
そこで、ナマエは、ふと思い出す。
「ふたりさ、夜間警備の仕事とかどう? 紹介しようか?」
「で、いくら?」
「紹介料」
「やだなぁ、人を銭ゲバみたいに。タダでいいって。友達でしょ?」
「まあ、そういう説もあるけど……」
「友達と言えないこともない…………」
「じゃ、詳細は後で送るね。よろしく!」
なんやかんやで、ふたりはナマエのペースに乗せられてしまった。
「次は、スイパラ行こうぜぇ」
そう言い残して、嵐のような女は去って行く。
ちさととまひろは、軽く手を振ってから別れた。
◆◆◆
夜間警備のバイトの当日。
ナマエは、やっぱり先に来ていたし、缶ビールを片手に持っていた。
「ナマエ、仕事なのにビール?」と、ちさとが言う。
「仕事前に飲んだもん」
空き缶をスタジャンのポケットに突っ込むナマエ。
「じゃ、三手に別れて見回りしよー」
「おー」
三人は、懐中電灯を持って仕事を始めた。それぞれ、決められたルートを行く。
そして、一時間後。
「わはは!」
「マジ?」
「ええ…………?」
三人とも、不審者を警棒で殴り、捕まえて合流した。
「オッサンらなんなの?」と、ナマエが訊く。
「お、俺たちは、怪盗団だ!」
「なにカッコよく言ってんだよ」
「不審者って、捕まえたらどうするの?」と、ちさとが尋ねた。
「警備会社に連絡。あたしがやるね」
「了解~」
ナマエがスマホで連絡している間に、拘束した男たちを見張りながら、ちさととまひろは話す。
「今日に限ってコレか」
「ね。普段、野良猫しか出ないって言ってたのに」
「持ってるね」
「誰が?」
「まひろさん」
「まさか……」
誰が“持ってる”のかはともかく、トラブルに対処した三人には、手当てが出た。
「報告終わったよー。警察に突き出すってさ」
「はーい」
窃盗グループを引き渡した後は、平和で。何事もなく警備は終わった。
「ふたりとも、お疲れさん」
「お疲れ」
「お疲れ様」
「そだ。ふたりの家行っていい? 見てみたーい」
「まあ、いいけど」
仕事終わりに、ちさととまひろの家に向かう。
彼女たちの部屋を見たナマエの第一声は、「うわ。なんか可愛い~」であった。
「この子なに?」
「カルビイカ」
「カルビイカちゃんかぁ。あたし、ナマエ。よろしく!」
まひろのぬいぐるみ、カルビイカに挨拶をするナマエ。
「ぬい活してるんだ」
「へぇ。写真ある?」
「うん」
「見せて見せて」
三人で、カルビイカのぬい撮りを見た。
「いいじゃん!」
「ありがとう……」
まひろは、少し照れくさそうにしている。
「そういえば、ナマエって趣味あるの?」
「飲酒とお菓子食べることかなぁ」
「ナマエっぽいわ」
三人で笑った。
それから、みんなで徹夜明けのコンビニケーキを食べ、くだらないことを話す。
「そろそろ帰って寝ようかな。また、なんかあったら、よろしくね、ちさととまひろ」
「はいはい」
「仕方ないなぁ」
「今度は、一緒に人殺そうね。じゃ、バーイ!」
ミョウジナマエは、元気に帰って行った。
ちさととまひろは、その背中を見送り、自分たちも眠ることにする。
それなりに平和な、彼女たちの日々の一幕だった。
「どうする?」
「あー。断ると拗ねるからなぁ……」
「たまには、交流するか!」
「はーい」
ふたりは、ゆるゆると出かける準備を進める。
そして、待ち合わせの場所へ行くと、すでにナマエがいた。
ウェーブがかった黒髪ショートに、紫色のインナーカラー。彼女の胡散臭さを際立たせるサングラス。シルバーの蝶のピアス。ゴツいチェーンネックレス。着古したスタジャン。ヴィンテージのデニムパンツ。走りやすいスニーカー。片手に、ひしゃげた缶ビールを持っている。
「よう、おふたりさん。元気?」
「元気~」
「元気です……」
「あたしも元気、元気! じゃ、行こか」
「はーい」と、ふたり。
ナマエは、ひしゃげた缶をポケットに捩じ込み、中華料理屋に入って行く。
「最近どう? オモテの仕事」と、席についたナマエは訊いた。
「あんまり向いてないかも」
「同じく……」
「そっか」
「ナマエは?」
「あたしは、サンタクロースやってる」
絶対嘘じゃん。
ちさととまひろは思う。
だが、ナマエは口八丁で世を渡るのが上手いので、心配はしていない。
「あたし、塩まぜそば」
「んー。醤油まぜそば」
「……醤油ラーメン」
「まぜそばにしろって」
ナマエが、まひろに言う。
「じゃあ、醤油まぜそばで」
「すいませーん!」
ナマエが、三人分の注文を済ませた。
「ナマエはさ、保険? とか、税金? とか、どうしてんの?」
「保険料は年イチで一括で払ってるし、税金関係は全部税理士にお任せ。ふたりも、書類送ればやってくれるって言われたと思うけど?」
「あー、ね」
「それが出来れば借金背負ってないよ……」
それを聞いたナマエは、ゲラゲラ笑い出す。
「あんたら、借金あんの? ヤバ~!」
「国が悪いんだよ、国が」
「まあ、国がクソなのは同意だけど。国なんて利用して上手く生きなよ」
「簡単に言うなよー」
話しているうちに、まぜそばが届いた。
「いただきます」と、三人は食べ始める。
「うめぇ」
「うまっ」
「うん」
太麺は、油とにんにくが絡んでいて美味しい。厚切りのチャーシューが、ほろほろと溶けるようになくなっていく。
「やっぱ、まぜそばなんだよなぁ」
ナマエが、得意げに言った。
「今度さぁ、三人で仕事したいねぇ」
「三人ってビミョーじゃない?」
ナマエに、ちさとが反論する。
「ツーマンセルってあるじゃん。あれなら分かるんだけど」
「スリーマンセルもあるだろ」
「マジ?」
「マジだよ。おバカさん」
「ナマエは、算数出来ないじゃん」
「適材適所。出来ないことは、人使うから。すいませーん!」
ミョウジナマエは、ハイボールを注文した。
「昼間からめちゃくちゃ飲むな、コイツ」
「……酒クズだ」
「美味しいからいいんだよ」
そこで、ナマエは、ふと思い出す。
「ふたりさ、夜間警備の仕事とかどう? 紹介しようか?」
「で、いくら?」
「紹介料」
「やだなぁ、人を銭ゲバみたいに。タダでいいって。友達でしょ?」
「まあ、そういう説もあるけど……」
「友達と言えないこともない…………」
「じゃ、詳細は後で送るね。よろしく!」
なんやかんやで、ふたりはナマエのペースに乗せられてしまった。
「次は、スイパラ行こうぜぇ」
そう言い残して、嵐のような女は去って行く。
ちさととまひろは、軽く手を振ってから別れた。
◆◆◆
夜間警備のバイトの当日。
ナマエは、やっぱり先に来ていたし、缶ビールを片手に持っていた。
「ナマエ、仕事なのにビール?」と、ちさとが言う。
「仕事前に飲んだもん」
空き缶をスタジャンのポケットに突っ込むナマエ。
「じゃ、三手に別れて見回りしよー」
「おー」
三人は、懐中電灯を持って仕事を始めた。それぞれ、決められたルートを行く。
そして、一時間後。
「わはは!」
「マジ?」
「ええ…………?」
三人とも、不審者を警棒で殴り、捕まえて合流した。
「オッサンらなんなの?」と、ナマエが訊く。
「お、俺たちは、怪盗団だ!」
「なにカッコよく言ってんだよ」
「不審者って、捕まえたらどうするの?」と、ちさとが尋ねた。
「警備会社に連絡。あたしがやるね」
「了解~」
ナマエがスマホで連絡している間に、拘束した男たちを見張りながら、ちさととまひろは話す。
「今日に限ってコレか」
「ね。普段、野良猫しか出ないって言ってたのに」
「持ってるね」
「誰が?」
「まひろさん」
「まさか……」
誰が“持ってる”のかはともかく、トラブルに対処した三人には、手当てが出た。
「報告終わったよー。警察に突き出すってさ」
「はーい」
窃盗グループを引き渡した後は、平和で。何事もなく警備は終わった。
「ふたりとも、お疲れさん」
「お疲れ」
「お疲れ様」
「そだ。ふたりの家行っていい? 見てみたーい」
「まあ、いいけど」
仕事終わりに、ちさととまひろの家に向かう。
彼女たちの部屋を見たナマエの第一声は、「うわ。なんか可愛い~」であった。
「この子なに?」
「カルビイカ」
「カルビイカちゃんかぁ。あたし、ナマエ。よろしく!」
まひろのぬいぐるみ、カルビイカに挨拶をするナマエ。
「ぬい活してるんだ」
「へぇ。写真ある?」
「うん」
「見せて見せて」
三人で、カルビイカのぬい撮りを見た。
「いいじゃん!」
「ありがとう……」
まひろは、少し照れくさそうにしている。
「そういえば、ナマエって趣味あるの?」
「飲酒とお菓子食べることかなぁ」
「ナマエっぽいわ」
三人で笑った。
それから、みんなで徹夜明けのコンビニケーキを食べ、くだらないことを話す。
「そろそろ帰って寝ようかな。また、なんかあったら、よろしくね、ちさととまひろ」
「はいはい」
「仕方ないなぁ」
「今度は、一緒に人殺そうね。じゃ、バーイ!」
ミョウジナマエは、元気に帰って行った。
ちさととまひろは、その背中を見送り、自分たちも眠ることにする。
それなりに平和な、彼女たちの日々の一幕だった。