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「退屈」だと文句を言うジュリオを座らせ、ナマエ・ミョウジは、彼の長く美しい髪を編み込んだ。
「ナマエ~。面白いこと言って」
「俺の剣が弾き飛ばされて落ちてきた時、相手の服を切り裂いた」
「奇跡だねぇ。あんまり面白くないけど。僕ちゃん、退屈なんだよぉ」
「はいはい」
ナマエは、夜闇のような髪を編み続ける。
「ナマエはいいよね。僕ちゃんっていう玩具があって」
「ジュリオは、玩具じゃないよ。大切な幼馴染みだ」
「ふーん。ねぇ、ナマエ」
「なに?」
「どうして髪を切っちゃったの?」
ナマエは、腰まである長いチェリーブロンドを、ある日バッサリ切ったのだ。
その理由を、誰も知らない。
「長い髪を切ってみたくて」
「僕ちゃんの髪でやればいいのに。いつも玩具にしてるんだから」
「ダメだよ。君の髪は、とても綺麗だからね。切るなんて、とんでもない」
「そ」
ジュリオは、不満そうだ。彼は、ナマエの髪が好きだったから。
「僕ちゃんは、ナマエの髪も綺麗だと思うけどな」
「ありがとう。昔から、ジュリオだけは褒めてくれてたっけな」
いやらしい髪色と馬鹿にされていたナマエ。今にして思えば、そんな悪口はクソ食らえだが。
「ジュリオ、月を見に行こう」
「月? 面白いの?」
「行ってみなきゃ分からないよ」
ふたりは、こっそり屋上へ向かった。
「半端な月。つまらないよ」
「まあまあ。あれは、十六夜月だよ」
「へー」
「躊躇う月だ。俺みたい」
「ナマエみたい?」
隣の彼を見ると、欠けた月に照らされた顔が、少し曇っている。
「ナマエ? どうしたの?」
「俺はね、ジュリオに隠してることがあるんだ」
「面白い話?」
「どうかな。繭期のせいかも。クランから出たら、君に話すよ」
「うん。約束」
「約束する」
退屈な日常は過ぎていく。
ドナテルロが起こした事件さえ、風化していく。
幼馴染みのふたりは、繭期を終え、故郷に帰ることになった。
同じ馬車の中で、ナマエとジュリオは話す。
「それで、ナマエの秘密は?」
「ジュリオのことが好きってこと」
「僕ちゃんが?」
「そうだよ。君の髪に触りたいのも、そういう気持ちからだったんだよ」
ナマエは、うつむきがちに言った。
「僕ちゃんは、ナマエのことを友達だと思ってる」
「うん」
「でも、それ以外の名前が付くこともあるのかもね。月みたいに」
「そうだといいな」
ナマエ・ミョウジとジュリオ・ミラーは、互いの目を見つめて、微笑む。
友情という月は、他にどんな姿を見せるのだろう?
「ナマエ~。面白いこと言って」
「俺の剣が弾き飛ばされて落ちてきた時、相手の服を切り裂いた」
「奇跡だねぇ。あんまり面白くないけど。僕ちゃん、退屈なんだよぉ」
「はいはい」
ナマエは、夜闇のような髪を編み続ける。
「ナマエはいいよね。僕ちゃんっていう玩具があって」
「ジュリオは、玩具じゃないよ。大切な幼馴染みだ」
「ふーん。ねぇ、ナマエ」
「なに?」
「どうして髪を切っちゃったの?」
ナマエは、腰まである長いチェリーブロンドを、ある日バッサリ切ったのだ。
その理由を、誰も知らない。
「長い髪を切ってみたくて」
「僕ちゃんの髪でやればいいのに。いつも玩具にしてるんだから」
「ダメだよ。君の髪は、とても綺麗だからね。切るなんて、とんでもない」
「そ」
ジュリオは、不満そうだ。彼は、ナマエの髪が好きだったから。
「僕ちゃんは、ナマエの髪も綺麗だと思うけどな」
「ありがとう。昔から、ジュリオだけは褒めてくれてたっけな」
いやらしい髪色と馬鹿にされていたナマエ。今にして思えば、そんな悪口はクソ食らえだが。
「ジュリオ、月を見に行こう」
「月? 面白いの?」
「行ってみなきゃ分からないよ」
ふたりは、こっそり屋上へ向かった。
「半端な月。つまらないよ」
「まあまあ。あれは、十六夜月だよ」
「へー」
「躊躇う月だ。俺みたい」
「ナマエみたい?」
隣の彼を見ると、欠けた月に照らされた顔が、少し曇っている。
「ナマエ? どうしたの?」
「俺はね、ジュリオに隠してることがあるんだ」
「面白い話?」
「どうかな。繭期のせいかも。クランから出たら、君に話すよ」
「うん。約束」
「約束する」
退屈な日常は過ぎていく。
ドナテルロが起こした事件さえ、風化していく。
幼馴染みのふたりは、繭期を終え、故郷に帰ることになった。
同じ馬車の中で、ナマエとジュリオは話す。
「それで、ナマエの秘密は?」
「ジュリオのことが好きってこと」
「僕ちゃんが?」
「そうだよ。君の髪に触りたいのも、そういう気持ちからだったんだよ」
ナマエは、うつむきがちに言った。
「僕ちゃんは、ナマエのことを友達だと思ってる」
「うん」
「でも、それ以外の名前が付くこともあるのかもね。月みたいに」
「そうだといいな」
ナマエ・ミョウジとジュリオ・ミラーは、互いの目を見つめて、微笑む。
友情という月は、他にどんな姿を見せるのだろう?