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白色が嫌いだ。赤色がいい。
ランドセルは赤色だったし、戦隊ものならレッドが好きだし、彼岸花はド派手だから好き。
船が好きだ。赤色がいい。
帆船でも、ガレー船でも、なんでも。
お前が好きだ。お前は何色?
やっぱ、金色なのかな。
◆◆◆
「キンジョー」
「んー?」
「俺が髪赤くした時のこと、覚えてる?」
「もちろん。みんな驚いてた」
「そうそう」
でもさ、お前は、「似合ってる」って言ってくれたじゃん。
たぶん、そん時から、キンジョーのことが好き。
「で?」
「髪の色変えないで済む仕事してーなって」
「あーなるほど」
キンジョーから、まず出てきたのは、美容師だったけど、それが向いてんのは、お前だろと思った。
「ああ。ミョウジには、船があったわ。船長は?」
「ダメじゃね? 派手髪の船長見たことねーもん」
「そっか」
予鈴が鳴り、俺たちは会話を終わりにして着席する。
授業の科目は、古文。興味ねぇ。
俺は、物思いに沈んだ。
近頃、仲間内で公然の秘密になってることがある。
キンジョーが、委員長ちゃんを好きだってこと。
いい子だと思う。優しくて、穏やかで。
ウサギとかハムスターとか子リスとか、なんかそんな感じ。
俺は、なんだろう?
なんでもいいか。お前が好きになってくれるなら。
でも、出来れば、泳げるやつがいい。
サメがいいかもなぁ。カッコいいし。
今の俺は、ずっと同じところをぐるぐると泳いでる。
迷い込んだそこは、俺には楽に生きられるところじゃない。
死滅回遊。海水魚が、元々の生息域でないところまで回遊してきて、そのまま死んでしまうこと。昔、図鑑か何かで読んだ。
人生って、一本の川みたいにはなってないらしい。
広過ぎる海の方が近いだろ。
その癖、手札は限られていて、容赦がない。
例え、俺の命を差し出したって、キンジョーは、俺を好きになんねーよな。だけど、それくらいしか切れるカードがない。切ったら最後、友達ですらいられなくなりそうだ。
路がない。恋路が続かない。袋小路。断たれた水路。開くことのない水密扉。
つらつらと考え事をしてたら、授業が終わった。
キンジョーを目で追うと、委員長ちゃんと話してる。
ふたりを裂く術はない。権利はない。路はない。
机に突っ伏して、寝てる振りをした。
あーあ。
潮溜まりに取り残された魚のように、俺は動けないままでいる。
ここじゃ、息が出来ないよ。
ランドセルは赤色だったし、戦隊ものならレッドが好きだし、彼岸花はド派手だから好き。
船が好きだ。赤色がいい。
帆船でも、ガレー船でも、なんでも。
お前が好きだ。お前は何色?
やっぱ、金色なのかな。
◆◆◆
「キンジョー」
「んー?」
「俺が髪赤くした時のこと、覚えてる?」
「もちろん。みんな驚いてた」
「そうそう」
でもさ、お前は、「似合ってる」って言ってくれたじゃん。
たぶん、そん時から、キンジョーのことが好き。
「で?」
「髪の色変えないで済む仕事してーなって」
「あーなるほど」
キンジョーから、まず出てきたのは、美容師だったけど、それが向いてんのは、お前だろと思った。
「ああ。ミョウジには、船があったわ。船長は?」
「ダメじゃね? 派手髪の船長見たことねーもん」
「そっか」
予鈴が鳴り、俺たちは会話を終わりにして着席する。
授業の科目は、古文。興味ねぇ。
俺は、物思いに沈んだ。
近頃、仲間内で公然の秘密になってることがある。
キンジョーが、委員長ちゃんを好きだってこと。
いい子だと思う。優しくて、穏やかで。
ウサギとかハムスターとか子リスとか、なんかそんな感じ。
俺は、なんだろう?
なんでもいいか。お前が好きになってくれるなら。
でも、出来れば、泳げるやつがいい。
サメがいいかもなぁ。カッコいいし。
今の俺は、ずっと同じところをぐるぐると泳いでる。
迷い込んだそこは、俺には楽に生きられるところじゃない。
死滅回遊。海水魚が、元々の生息域でないところまで回遊してきて、そのまま死んでしまうこと。昔、図鑑か何かで読んだ。
人生って、一本の川みたいにはなってないらしい。
広過ぎる海の方が近いだろ。
その癖、手札は限られていて、容赦がない。
例え、俺の命を差し出したって、キンジョーは、俺を好きになんねーよな。だけど、それくらいしか切れるカードがない。切ったら最後、友達ですらいられなくなりそうだ。
路がない。恋路が続かない。袋小路。断たれた水路。開くことのない水密扉。
つらつらと考え事をしてたら、授業が終わった。
キンジョーを目で追うと、委員長ちゃんと話してる。
ふたりを裂く術はない。権利はない。路はない。
机に突っ伏して、寝てる振りをした。
あーあ。
潮溜まりに取り残された魚のように、俺は動けないままでいる。
ここじゃ、息が出来ないよ。