その他
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ひとりの女が、告解室にいた。
「罪を告白なさい」
「はい、神父様」
女の声は、どこか冷たく、無機質である。
「私は、罪を犯しました。恐ろしいことに、自殺をしたのです」
「した?」
「そして、私の死体を見付けたのは、悪魔でした」
「ま、待ってください。悪魔?」
女は、神父の静止を無視して、言葉を続けた。
「私は、悪魔に体を取られたのです。私は、ナマエ。透明な存在です」
言いたいことだけを言い、女は去って行く。
1987年。ある雷雨の日のことだった。
◆◆◆
「こんにちは、アモルト神父」
「あなたは?」
「うーん。それは良くない質問だわ。とりあえず、ナマエとでも名乗りましょうか」
女、ナマエは、明朗に話す。
「ナマエ、何か困り事でも?」
「そうね。困っているのよ。悪魔を退治して回るのでしょう?」
「何故、そんなことを知っている?」
「私が、悪魔だからかしらね」
ナマエは、口端を吊り上げて笑った。
アモルト神父は、すぐさま十字架を女に向ける。
「それをしまいなさい、神父。私は、穏健な悪魔なのだから」
「何が目的だ?」
「あなたの悪魔退治の完遂。それが、私の目的。上級悪魔に使われるのには、うんざりなのよ」
「悪魔の力など借りない」
「あと199体もいる悪魔を退治するのは、骨が折れるわよ。いずれ、私の力が役立つ時が来る。まあ、今日のところは帰るとするわ」
ナマエと名乗った悪魔は、教会から出て行った。
少しして、残された神父の元に、別の神父が来る。
「アモルト神父」
「トマース神父、悪魔が来たぞ」
「まさか、そんな……」
「ナマエと名乗る悪魔だ。おそらく、人間の死体を着ている」
「おお、主よ…………」
トマースは、十字を切った。
ナマエを払ったとしても、肉体は死んでいるから、戻らない。
故人を悼み、ふたりの神父は祈った。
◆◆◆
これは、ナマエが自殺する前のこと。
彼女は、精神病棟の一室にいた。ベッドに座り、鉄格子が嵌められた窓の外を見ている。
「こんにちは、ナマエ」
「あ、ああ…………」
「いい加減、慣れなさいよ」
「また、幻覚だわ…………」
「幻でも夢でもないわよ。私、あなたが死なないように見張ってるの」
ナマエは、黒い靄が発する声に怯えた。
「私たち、友達でしょう? あなたが子供の頃から」
「違う! あなたは、イマジナリーフレンドよ!」
「違う。私は、あなたの親友。天涯孤独なあなたの味方」
「…………」
ナマエは、唇を噛み締める。
「何よ、あなたにも私は救えないじゃない…………」
「ナマエ。あなたは、救われないわ。きっと、あなたは、私がいない時に死んでしまう」
「じゃあ、ほっといてよ!」
「出来ないわ。少しでもあなたの生命を守りたいのよ」
悪魔は、悲しそうに言った。
その後。やはり、ナマエは自殺してしまった。
悪魔は、彼女の親友は、ナマエが天に昇れるようにしたい。
だから、彼女の死体を使って、善を成そうとしている。
そのためなら、神父と手を組んだって構わなかった。
「罪を告白なさい」
「はい、神父様」
女の声は、どこか冷たく、無機質である。
「私は、罪を犯しました。恐ろしいことに、自殺をしたのです」
「した?」
「そして、私の死体を見付けたのは、悪魔でした」
「ま、待ってください。悪魔?」
女は、神父の静止を無視して、言葉を続けた。
「私は、悪魔に体を取られたのです。私は、ナマエ。透明な存在です」
言いたいことだけを言い、女は去って行く。
1987年。ある雷雨の日のことだった。
◆◆◆
「こんにちは、アモルト神父」
「あなたは?」
「うーん。それは良くない質問だわ。とりあえず、ナマエとでも名乗りましょうか」
女、ナマエは、明朗に話す。
「ナマエ、何か困り事でも?」
「そうね。困っているのよ。悪魔を退治して回るのでしょう?」
「何故、そんなことを知っている?」
「私が、悪魔だからかしらね」
ナマエは、口端を吊り上げて笑った。
アモルト神父は、すぐさま十字架を女に向ける。
「それをしまいなさい、神父。私は、穏健な悪魔なのだから」
「何が目的だ?」
「あなたの悪魔退治の完遂。それが、私の目的。上級悪魔に使われるのには、うんざりなのよ」
「悪魔の力など借りない」
「あと199体もいる悪魔を退治するのは、骨が折れるわよ。いずれ、私の力が役立つ時が来る。まあ、今日のところは帰るとするわ」
ナマエと名乗った悪魔は、教会から出て行った。
少しして、残された神父の元に、別の神父が来る。
「アモルト神父」
「トマース神父、悪魔が来たぞ」
「まさか、そんな……」
「ナマエと名乗る悪魔だ。おそらく、人間の死体を着ている」
「おお、主よ…………」
トマースは、十字を切った。
ナマエを払ったとしても、肉体は死んでいるから、戻らない。
故人を悼み、ふたりの神父は祈った。
◆◆◆
これは、ナマエが自殺する前のこと。
彼女は、精神病棟の一室にいた。ベッドに座り、鉄格子が嵌められた窓の外を見ている。
「こんにちは、ナマエ」
「あ、ああ…………」
「いい加減、慣れなさいよ」
「また、幻覚だわ…………」
「幻でも夢でもないわよ。私、あなたが死なないように見張ってるの」
ナマエは、黒い靄が発する声に怯えた。
「私たち、友達でしょう? あなたが子供の頃から」
「違う! あなたは、イマジナリーフレンドよ!」
「違う。私は、あなたの親友。天涯孤独なあなたの味方」
「…………」
ナマエは、唇を噛み締める。
「何よ、あなたにも私は救えないじゃない…………」
「ナマエ。あなたは、救われないわ。きっと、あなたは、私がいない時に死んでしまう」
「じゃあ、ほっといてよ!」
「出来ないわ。少しでもあなたの生命を守りたいのよ」
悪魔は、悲しそうに言った。
その後。やはり、ナマエは自殺してしまった。
悪魔は、彼女の親友は、ナマエが天に昇れるようにしたい。
だから、彼女の死体を使って、善を成そうとしている。
そのためなら、神父と手を組んだって構わなかった。