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紅麗亞と俺は、幼馴染みである。
それ以上でも以下でもない。
俺は、紅麗亞のことが好きだけど。アイツの気持ちは知らない。
セックスはしたけど、恋人じゃないんだろう。
現在、俺は、紅麗亞に呼び出されて、アイツのとこに向かってる。
いつも通り、派手にキメて、煙草を吸いながら。
「紅麗亞」
「ナマエ」
到着すると、紅麗亞はシーシャをやっていた。
「ナマエもやる?」
「やる」
吸っていた煙草を携帯灰皿に入れて、紅麗亞の隣に座る。
俺がシーシャをやってるのを見ながら、彼女は話した。
「お金、返してくれない人がいるんだよね」
「そうか。取り立てりゃいいんだな?」
「うん。よろしく。お礼は……」
「金はいらねぇ。前と同じで」
「分かった」
俺は、借金の取り立てに行くことにする。
紅麗亞の頼みは、なんでも叶えてやりたい。
ボロアパートへ行き、部屋の住人が帰って来たところをつけて、閉められそうになるドアに靴先を差し込んだ。
「おう。邪魔するぜ」
「あ? え?」
ドアを力ずくで開き、中に押し入る。
「アンタ、金返してねぇんだってな? ダメだろ? いい大人がさぁ」
「あ、あの、それは…………」
「あの、じゃねぇんだよ! 借りたもんは返せや!」
「ごめ、ごめんなさい…………」
女が財布を出してきた。それを受け取り、中身を数える。
「全然足りてねぇじゃねぇか!」
壁を殴りつけた。
「ひっ……あの、明日、明日には……」
「外出ろや」
「……はい」
俺は、女の首根っこを掴み、人通りの多い道まで行く。
「金、集めろ」
「え? ど、どうやって?」
「土下座だよ、土下座! 通行人から、恵んでもらえよ!」
「はい…………」
女は土下座し、「お金貸してください!」と道行く人々に言った。
何時間もそうして、ようやく金が集まる。
「これ…………」
「おー。やれば出来んじゃん。じゃあな~」
「…………」
何か言いたそうにしてるが、知ったこっちゃない。
俺は、さっさと紅麗亞の元へ戻ることにした。
「よう。取り立ててきたぜ」
「お疲れ。ナマエは、やっぱり頼りになるね」
「へへ」
紅麗亞に金を渡して、俺は、その場にしゃがむ。
「いい子、いい子」
紅麗亞が、俺の頭を撫でた。
約束の報酬に、俺は、目を細めて満足する。
「また、なんかあったら俺に言えよ?」
「うん。そうする」
お前のためなら、俺は、なんでもしてやろう。
紅麗亞の差し出した手に、手を重ねて、俺は誓った。
◆◆◆
紅麗亞に言われて、車でブツを運んでいると、車道にガキが飛び出してきた。
「危ねぇぞ!」
「…………」
ガキの様子がおかしい。座り込んで動かない。ヤク中か? 病気か?
俺は、車から降りて近付いた。
「おい、どうした?」
「う、うあああああああッ!」
叫びとともに、服の下から取り出されたのは、バタフライナイフ。
それを避けて、ガキの手からはたき落とした。
「あ、あぁ…………」
「なんだぁ? お前、俺の敵か?」
「見逃してください! 上に命令されただけなんです!」
「分かった、分かった」
「ありが————」
腹を抉るように拳を入れる。
「う、おぇ…………!」
「これで、貸し借りなしなー。じゃ、俺行くから」
吐瀉したガキが車道からどくのを見て、俺は車を走らせた。
予定通りに、ブツをコインロッカーに入れる。
中身は知らない。どうでもいい。
「帰ろ」
車で紅麗亞の元に戻り、ご褒美をもらう。
「ナマエ、ありがとう」
「ああ」
頭を優しく撫でられて、笑顔になった。
「紅麗亞」
「なに?」
「女のガキがひとり、邪魔しに来たんだ」
「それで?」
「腹を一発殴って逃がした」
「…………そう。ナマエは、優しいね」
むに。紅麗亞が、俺の頬を摘まむ。
「次は、連れて来てね」
「了解」
「この後、ヒマ?」
「ヒマ」
今、ヒマになった。
金を取り立てに行く仕事は、パスだ。そんなもん。
「ニャンたちが、ナマエに会いたいと思ってね」
「にゃんこたちが」
「うん」
「いいでしょ?」
「もちろん」
紅麗亞の自宅へ向かい、俺は、猫たちに群がられる。俺の体に登ってくる奴もいた。
「やっぱり、ナマエのことが好きみたい」
「はは。そうか、そうか。撫でたろ」
座り込んで、猫たちを撫でる。
紅麗亞は、俺のこと好きか?
何故か、その言葉か口に出せない。
「やっぱり、同じ動物だからかな?」
「俺が?」
「ナマエは、番犬でしょ?」
「番犬…………」
それって、頼れるってことだよな?
「なあ、紅麗亞。俺は、お前を————」
「ストップ」
「む」
唇に、人差し指を押し当てられた。
「ダメだよ、その先は」
「…………」
すっと、指が離れる。
紅麗亞がそう言うなら、仕方ない。
「返事は?」
「わん」
「よく出来ました」
墨の入った指が、俺の髪を梳く。気持ちよくて、目を閉じた。
愛してるから、ずっと側に置いといてくれ。
◆◆◆
「ナマエさん!」と呼ばれて、振り返る。
「よう、シャネル。と、ちひろ」
「お久し振りです」
一礼するシャネルたち。
「おひさ~。ふたりとも、ちゃんと働いてるみてぇじゃん。紅麗亞から聞いてるぜ」
「えへへ」
「おかげさまで」
そういや、この前、奈良に職質されたんだっけか。
「よし。お前らに、なんかオゴってやるよ」
「いいんですか?!」
「おう。ひとり、千円までな」
「千円も!?」
俺たちは、近くのコンビニに入った。
シャネルとちひろは、「何にしよう?」と、はしゃいでいる。
「3番ひとつ」
「はい」
ふたりに選ばせてる間に、俺は煙草を買い足した。
「決まったか? お前ら」
「はい!」と、シャネルが元気に返事をする。
酒と菓子パンと玩具がメインのお菓子を手にしていた。
「あ、これは、妹にあげるんです」
「いい姉貴だねぇ」
「ありがとうございます!」
ちひろは、酒とつまみを選んだらしい。
「んじゃ、レジ行きな」
会計を済ませて、三人でコンビニを出る。
「じゃあな、シャネル、ちひろ」
「ナマエさん、ありがとうございました!」
「ありがとうございます!」
俺は、ふたりに手を振りながら、煙草をくわえて歩き出した。
それから、ない脳ミソで考える。
奈良は、邪魔だ。消してやりたい。
でも、紅麗亞には、「余計なことしないでね」って言われた。
紅麗亞の言うことは、絶対だから、俺は従う。
「はぁ…………」
マンションの自室に帰り、溜め息をついた。
もっと紅麗亞の役に立ちたいのに。俺の頭じゃ、何も思い付かない。
シャワーを浴びて、着替えた後、スマホに仕事の連絡が届いていた。
「うざ」
借金の取り立ての仕事だ。紅麗亞の頼みなら喜んでするけど、普通に仕事。メンドクサイ。
部屋着から、派手な柄シャツに着替える。もう夜だが、サングラスをかけた。見た目でナメられないことが、この仕事では大事だからだ。
送られてきた住所に行き、インターホンを押す。
『はい』
ガキの声。
「お父さんいるかなぁ?」
『いません』
「じゃあ、中で待たせてもらっていい?」
『でも…………』
「入れてくれたら、飴あげるからさ」
『……はい』
子供が釣られてくれて、よかった。
「俺、ナマエ。お前は?」
「知らない人に教えちゃダメなんで」
「偉いねー。飴、二個あげる」
「ありがとうございます」
フルーツキャンディを渡す。
ガキの親父は、深夜に帰ってきた。
「な、なんだ、お前は?」
「なんだは、こっちの台詞だよなぁ! 金返せねぇお前は、なんなんだよ!」
ガキは、部屋の隅に行き、耳を塞いでいる。
結局、俺が拳を振り上げるまで、親父は金はないと言い張ってた。
「足りねぇな。明日、また来るぞ」
「……はい」
ガキの側まで行く。
「騒がしくして悪かったな。ほら、飴全部やるよ」
ひと袋分の飴をガキにくれてやった。
「じゃあ、またな」
俺は、事務所に向かう。煙草に火を着けて、吸いながら。
メンドクセェな、ほんと。
それ以上でも以下でもない。
俺は、紅麗亞のことが好きだけど。アイツの気持ちは知らない。
セックスはしたけど、恋人じゃないんだろう。
現在、俺は、紅麗亞に呼び出されて、アイツのとこに向かってる。
いつも通り、派手にキメて、煙草を吸いながら。
「紅麗亞」
「ナマエ」
到着すると、紅麗亞はシーシャをやっていた。
「ナマエもやる?」
「やる」
吸っていた煙草を携帯灰皿に入れて、紅麗亞の隣に座る。
俺がシーシャをやってるのを見ながら、彼女は話した。
「お金、返してくれない人がいるんだよね」
「そうか。取り立てりゃいいんだな?」
「うん。よろしく。お礼は……」
「金はいらねぇ。前と同じで」
「分かった」
俺は、借金の取り立てに行くことにする。
紅麗亞の頼みは、なんでも叶えてやりたい。
ボロアパートへ行き、部屋の住人が帰って来たところをつけて、閉められそうになるドアに靴先を差し込んだ。
「おう。邪魔するぜ」
「あ? え?」
ドアを力ずくで開き、中に押し入る。
「アンタ、金返してねぇんだってな? ダメだろ? いい大人がさぁ」
「あ、あの、それは…………」
「あの、じゃねぇんだよ! 借りたもんは返せや!」
「ごめ、ごめんなさい…………」
女が財布を出してきた。それを受け取り、中身を数える。
「全然足りてねぇじゃねぇか!」
壁を殴りつけた。
「ひっ……あの、明日、明日には……」
「外出ろや」
「……はい」
俺は、女の首根っこを掴み、人通りの多い道まで行く。
「金、集めろ」
「え? ど、どうやって?」
「土下座だよ、土下座! 通行人から、恵んでもらえよ!」
「はい…………」
女は土下座し、「お金貸してください!」と道行く人々に言った。
何時間もそうして、ようやく金が集まる。
「これ…………」
「おー。やれば出来んじゃん。じゃあな~」
「…………」
何か言いたそうにしてるが、知ったこっちゃない。
俺は、さっさと紅麗亞の元へ戻ることにした。
「よう。取り立ててきたぜ」
「お疲れ。ナマエは、やっぱり頼りになるね」
「へへ」
紅麗亞に金を渡して、俺は、その場にしゃがむ。
「いい子、いい子」
紅麗亞が、俺の頭を撫でた。
約束の報酬に、俺は、目を細めて満足する。
「また、なんかあったら俺に言えよ?」
「うん。そうする」
お前のためなら、俺は、なんでもしてやろう。
紅麗亞の差し出した手に、手を重ねて、俺は誓った。
◆◆◆
紅麗亞に言われて、車でブツを運んでいると、車道にガキが飛び出してきた。
「危ねぇぞ!」
「…………」
ガキの様子がおかしい。座り込んで動かない。ヤク中か? 病気か?
俺は、車から降りて近付いた。
「おい、どうした?」
「う、うあああああああッ!」
叫びとともに、服の下から取り出されたのは、バタフライナイフ。
それを避けて、ガキの手からはたき落とした。
「あ、あぁ…………」
「なんだぁ? お前、俺の敵か?」
「見逃してください! 上に命令されただけなんです!」
「分かった、分かった」
「ありが————」
腹を抉るように拳を入れる。
「う、おぇ…………!」
「これで、貸し借りなしなー。じゃ、俺行くから」
吐瀉したガキが車道からどくのを見て、俺は車を走らせた。
予定通りに、ブツをコインロッカーに入れる。
中身は知らない。どうでもいい。
「帰ろ」
車で紅麗亞の元に戻り、ご褒美をもらう。
「ナマエ、ありがとう」
「ああ」
頭を優しく撫でられて、笑顔になった。
「紅麗亞」
「なに?」
「女のガキがひとり、邪魔しに来たんだ」
「それで?」
「腹を一発殴って逃がした」
「…………そう。ナマエは、優しいね」
むに。紅麗亞が、俺の頬を摘まむ。
「次は、連れて来てね」
「了解」
「この後、ヒマ?」
「ヒマ」
今、ヒマになった。
金を取り立てに行く仕事は、パスだ。そんなもん。
「ニャンたちが、ナマエに会いたいと思ってね」
「にゃんこたちが」
「うん」
「いいでしょ?」
「もちろん」
紅麗亞の自宅へ向かい、俺は、猫たちに群がられる。俺の体に登ってくる奴もいた。
「やっぱり、ナマエのことが好きみたい」
「はは。そうか、そうか。撫でたろ」
座り込んで、猫たちを撫でる。
紅麗亞は、俺のこと好きか?
何故か、その言葉か口に出せない。
「やっぱり、同じ動物だからかな?」
「俺が?」
「ナマエは、番犬でしょ?」
「番犬…………」
それって、頼れるってことだよな?
「なあ、紅麗亞。俺は、お前を————」
「ストップ」
「む」
唇に、人差し指を押し当てられた。
「ダメだよ、その先は」
「…………」
すっと、指が離れる。
紅麗亞がそう言うなら、仕方ない。
「返事は?」
「わん」
「よく出来ました」
墨の入った指が、俺の髪を梳く。気持ちよくて、目を閉じた。
愛してるから、ずっと側に置いといてくれ。
◆◆◆
「ナマエさん!」と呼ばれて、振り返る。
「よう、シャネル。と、ちひろ」
「お久し振りです」
一礼するシャネルたち。
「おひさ~。ふたりとも、ちゃんと働いてるみてぇじゃん。紅麗亞から聞いてるぜ」
「えへへ」
「おかげさまで」
そういや、この前、奈良に職質されたんだっけか。
「よし。お前らに、なんかオゴってやるよ」
「いいんですか?!」
「おう。ひとり、千円までな」
「千円も!?」
俺たちは、近くのコンビニに入った。
シャネルとちひろは、「何にしよう?」と、はしゃいでいる。
「3番ひとつ」
「はい」
ふたりに選ばせてる間に、俺は煙草を買い足した。
「決まったか? お前ら」
「はい!」と、シャネルが元気に返事をする。
酒と菓子パンと玩具がメインのお菓子を手にしていた。
「あ、これは、妹にあげるんです」
「いい姉貴だねぇ」
「ありがとうございます!」
ちひろは、酒とつまみを選んだらしい。
「んじゃ、レジ行きな」
会計を済ませて、三人でコンビニを出る。
「じゃあな、シャネル、ちひろ」
「ナマエさん、ありがとうございました!」
「ありがとうございます!」
俺は、ふたりに手を振りながら、煙草をくわえて歩き出した。
それから、ない脳ミソで考える。
奈良は、邪魔だ。消してやりたい。
でも、紅麗亞には、「余計なことしないでね」って言われた。
紅麗亞の言うことは、絶対だから、俺は従う。
「はぁ…………」
マンションの自室に帰り、溜め息をついた。
もっと紅麗亞の役に立ちたいのに。俺の頭じゃ、何も思い付かない。
シャワーを浴びて、着替えた後、スマホに仕事の連絡が届いていた。
「うざ」
借金の取り立ての仕事だ。紅麗亞の頼みなら喜んでするけど、普通に仕事。メンドクサイ。
部屋着から、派手な柄シャツに着替える。もう夜だが、サングラスをかけた。見た目でナメられないことが、この仕事では大事だからだ。
送られてきた住所に行き、インターホンを押す。
『はい』
ガキの声。
「お父さんいるかなぁ?」
『いません』
「じゃあ、中で待たせてもらっていい?」
『でも…………』
「入れてくれたら、飴あげるからさ」
『……はい』
子供が釣られてくれて、よかった。
「俺、ナマエ。お前は?」
「知らない人に教えちゃダメなんで」
「偉いねー。飴、二個あげる」
「ありがとうございます」
フルーツキャンディを渡す。
ガキの親父は、深夜に帰ってきた。
「な、なんだ、お前は?」
「なんだは、こっちの台詞だよなぁ! 金返せねぇお前は、なんなんだよ!」
ガキは、部屋の隅に行き、耳を塞いでいる。
結局、俺が拳を振り上げるまで、親父は金はないと言い張ってた。
「足りねぇな。明日、また来るぞ」
「……はい」
ガキの側まで行く。
「騒がしくして悪かったな。ほら、飴全部やるよ」
ひと袋分の飴をガキにくれてやった。
「じゃあ、またな」
俺は、事務所に向かう。煙草に火を着けて、吸いながら。
メンドクセェな、ほんと。