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悪いことなんかしてないのに~!
あたしは、ゾンビに追い回されている。
ちょっと海賊船に乗ってただけじゃないのよ~!
「あたしは、こんなとこでは死なない!」
そう吠えて、植え込みに隠れた。
ゾンビたちが過ぎ去ってから、植え込みを出ると。
変な動物たちがいる庭に着いた。
「これもゾンビ?」
「なんだ? お前?」
「ひぃッ!?」
「海賊か?」
可愛い女の子が、尋ねる。
「あたしは、ミョウジ・ナマエ! 海賊は、さっきやめた! あたし、あたしは、ただの菓子職人だ!」
じろじろと、大きな瞳で、舐め回すようにこちらを見てきた。
「私は、ペローナ。ゴーストプリンセスのペローナだ。ホロホロホロ」
あたしを見下ろし、彼女は笑う。
「お前、可愛いリボンをしてるな。寄越せ」
「これは、生まれた時、両親にもらったもんだ。あたしの魂は、やれない」
胸元の白いリボンは、あたしの宝物だ。
「じゃあ、何を寄越せる?」
ペローナは、相変わらず笑ってる。
「あたしの技術と、体験談と、コレクション」
「コレクション?」
「……これだよ」
鞄に詰めて来た、綺麗な包装紙やリボンやシールなどのラッピング用品を見せた。
「お前の技術ってのは?」
「ラ、ラッピングとお菓子作り……」
「ホロホロホロ! 決めたぞ。ナマエ、私専属の菓子職人として雇ってやる」
「え!?」
「文句があるのか?」
「ないです!」
あたしは、ぶんぶんと首を振る。
「とりあえず、ベーグルサンドを作りな」
「それ、お菓子じゃない!」
「出来ねェのか?」
「出来ます!」
キッチンに案内された。
あたしは、材料を混ぜてこねる。生地を成形し、発酵させ、茹でてから、オーブンで焼いた。
そして、用意していた、卵やトマトやレタスを挟めば、完成。
そういえば。ベーグルサンドを運びながら、あたしは考える。飲み物は何がいいんだろう?
「ペローナ、出来たよ」
彼女の部屋のドアをノックした。
「入れ」
「はい、ベーグルサンド。飲み物はどうする?」
「ホットココアがいい」
「了解」
こんな感じで、あたしはスリラーバークの一員になったワケ。
それからは、ペローナ専用のお菓子屋を始めた。
朝。マフィンやクッキーを焼き、丁寧に可愛くラッピングする。そして、紅茶やココアも用意し、ワゴンでペローナの部屋に運んだ。
「おはよう。ミョウジ菓子店が来たよ!」
「ナマエ。元気だな、お前」
「あたしは、朝に強いんだ」
ペローナは、モーニングティーを飲み、オレンジマフィンを手にする。
「腕は確かだな」
「そうでしょ? あたしは、天才なんだから」
「調子乗んな」
「あははは」
「ホロホロホロ。ま、そのうち可愛いゾンビにしてやるよ」
「はははは。絶対に嫌!」
ペローナ。あたしは、あなたのなんなんだろうね?
どうでもいいか。あたしは、お菓子を作れるなら、それで充分だし。あとは、どうしようかな。
「スリラーバークの名物お菓子作らない?」
「観光地じゃねェよ。ホロホロホロ」
◆◆◆
悪いことなんかしてないのに~!
あたしは、空に飛ばされている。
ペローナが、変な男に吹っ飛ばされてたから、思わずしがみついちゃっただけじゃないのよ~!
「あたしは、こんなとこでは死なない!」
そう吠えてから、長い時間が経った。
そして、薄暗くて湿った島に着く。
「ここどこ~?!」
「うるせェぞ、ナマエ……」
「ペローナ! 生きてた~!」
「ここは……薄暗くてジメジメした雰囲気……!」
彼女は、なんだか嬉しそうだ。あたしは、好かないな、正直。スリラーバークも、ここも、陰気なのは、ちょっとな。
「ペローナ、これ、遭難じゃないの?」
「城! 城があるぞ、ナマエ!」
「もしかして……」
「行くぞ」
「化物いたら、どうすんのよ?!」
あたしは、戦えない。
「スリラーバークにいた奴が化物なんか怖がるんじゃねェよ」
「分かった。分かったよ。行きますよ」
いざとなったら、頼れるゴーストプリンセス様に守ってもらおう。
ふたりで、城内を目指した。
中は、もぬけの殻だけど、廃城にしては綺麗。
「ここ、キッチンかな? 寄って行こうよ」
「そうだな」
うーんと。
へぇ、色々揃ってるじゃない。
「あ、非常食のビスケットがある。これ、ミルクに浸すと美味しいんだよね。ペローナ、お茶にしようよ」
「お前、結構図太いよな」
中庭も発見したので、椅子とテーブルを持って行き、お茶の用意をした。
「お待たせ。なんかのフレーバーティーとビスケットとミルクと、さっき焼いたクッキーだよ」
「いただいてやるよ」
「いただきます」
どこにいても、お菓子は美味しい。
あたしたちは、優雅なティータイムを過ごした。
気分が良くなったのか、ペローナは呪いの歌を口ずさんでる。
「この古城、人がいそうなもんだけど……」
「誰かいたら、お前が食材盗んだって突き出すからな」
「はっはっはっ。ペローナ、あなたも共犯でしょ」
「ホロホロホロホロホロ。抜かせ、ナマエ」
ま、文句言われたら、ネガティブホロウでやっちゃえばいいでしょ。
「ふわぁ。あたし、眠くなって来たな。ベッド探して寝るわ。ペローナ、後片付けよろしく」
「プリンセスに何させようとしてんだ!?」
ペローナを無視し、あたしはベッドの並んだ部屋に辿り着いた。
「はぁ。おやすみなさい」
そうして、しばらく寝た後。
目を覚ますと、ペローナがあたしを覗き込んでいた。
「ペローナ? どうしたの?」
訊きながら、体を起こす。
「ホロウになって島中回ったんだが、誰もいやしねェ」
「寂しかった?」
「そんなワケねェだろ!」
「ははは」
全く可愛いね。我が、ゴーストプリンセス様は。
◆◆◆
今日も今日とて、島には、あたしとペローナしかいない。
「お前の顔、見飽きたぞ」
「ワガママ言わないでよ」
ふたりきりだから、どうしようもないでしょ。
「飽きた! モリア様、助けて!」
「はいはい。そうだ。一緒にお菓子作る?」
「……作る」
だいぶ参ってるな、こりゃ。
「じゃあ、デッカいケーキにしよう!」
あたしたちは、キッチンへ向かう。
「さて。それじゃあ、あたしがスポンジを作るから、ペローナは飾り付け担当ね」
「いいだろう」
混ぜたり、泡立てたり、焼いたりして、大きさの違うスポンジを3つ作った。
結構大変なんだよね。
そして、三段に重ねる。
「さ、ペローナ。あとは、よろしく」
「ホロホロホロホロホロ。任せろ」
ペローナは、ケーキを生クリームと溶かしたチョコレートで白黒に塗っていく。
そして、あたしが昨日焼いたホロウ型のクッキーを張り付けた。
一番上の段には、十字架を立てる。
「出来たぞ!」
「うんうん。ペローナっぽいわ!」
ふたりで、テーブルの上にケーキを乗せ、紅茶も用意した。
「いただきます」をして、ケーキを切り分ける。
「美味しい~!」
「ホロホロホロ。私のおかげだな」
「はいはい、そうね」
全部は食べ切れないから、あとで冷蔵庫に入れないと。
「やっぱり、この城の持ち主がそのうち帰って来ると思うんだよね」
「ナマエ」
「ん?」
「どんな奴だろうと、私が守ってやるよ」
「ありがとう、ペローナ」
あたしは、ニッと笑った。
お茶会の後片付けを済ませ、ふたりで城内を散歩する。
「今日もいい天気だな」
窓の外を見て、ペローナが言った。
「そーね」
薄暗くて、ジメジメしてるねぇ。
あたしは、晴天の下が恋しいけど。まあ、そんなにダメージはない。
乗ってた海賊船が壊滅した時は、どうなるかと思ったけど、生きてりゃなんとかなるもんだね。
命あっての物種だ。
「ナマエ、どうかしたのか?」
「ううん。ペローナと会えてよかったなって思っただけ」
「……光栄に思えよ! ホロホロホロホロホロホロ!」
あたしは、これからも、彼女と一緒にいるんだろう。
数日後。ペローナが、海岸で倒れてる人を見付けた。
「こいつ、麦わらの一味の!」
「怪我してる……」
ペローナは、ちょっと葛藤したみたいだけど、城に運んで手当てをすることにしたらしい。
あたしも、それを手伝う。
確か、ロロノア・ゾロだったよね? この人。
彼が目覚めた時、あたしたちは、ふたりでベッドの側で話していた。
「お、目が覚めたか」
「体、大丈夫?」
「お前らは、スリラーバークの……」
「ペローナだ」
「あたしは、ナマエ」
ゾロは、びっくりするほど元気になってる。
城の主が帰ってきた時、あたしたちはめちゃくちゃ驚くことになるんだけど、もう少し後のお話。
あたしは、ゾンビに追い回されている。
ちょっと海賊船に乗ってただけじゃないのよ~!
「あたしは、こんなとこでは死なない!」
そう吠えて、植え込みに隠れた。
ゾンビたちが過ぎ去ってから、植え込みを出ると。
変な動物たちがいる庭に着いた。
「これもゾンビ?」
「なんだ? お前?」
「ひぃッ!?」
「海賊か?」
可愛い女の子が、尋ねる。
「あたしは、ミョウジ・ナマエ! 海賊は、さっきやめた! あたし、あたしは、ただの菓子職人だ!」
じろじろと、大きな瞳で、舐め回すようにこちらを見てきた。
「私は、ペローナ。ゴーストプリンセスのペローナだ。ホロホロホロ」
あたしを見下ろし、彼女は笑う。
「お前、可愛いリボンをしてるな。寄越せ」
「これは、生まれた時、両親にもらったもんだ。あたしの魂は、やれない」
胸元の白いリボンは、あたしの宝物だ。
「じゃあ、何を寄越せる?」
ペローナは、相変わらず笑ってる。
「あたしの技術と、体験談と、コレクション」
「コレクション?」
「……これだよ」
鞄に詰めて来た、綺麗な包装紙やリボンやシールなどのラッピング用品を見せた。
「お前の技術ってのは?」
「ラ、ラッピングとお菓子作り……」
「ホロホロホロ! 決めたぞ。ナマエ、私専属の菓子職人として雇ってやる」
「え!?」
「文句があるのか?」
「ないです!」
あたしは、ぶんぶんと首を振る。
「とりあえず、ベーグルサンドを作りな」
「それ、お菓子じゃない!」
「出来ねェのか?」
「出来ます!」
キッチンに案内された。
あたしは、材料を混ぜてこねる。生地を成形し、発酵させ、茹でてから、オーブンで焼いた。
そして、用意していた、卵やトマトやレタスを挟めば、完成。
そういえば。ベーグルサンドを運びながら、あたしは考える。飲み物は何がいいんだろう?
「ペローナ、出来たよ」
彼女の部屋のドアをノックした。
「入れ」
「はい、ベーグルサンド。飲み物はどうする?」
「ホットココアがいい」
「了解」
こんな感じで、あたしはスリラーバークの一員になったワケ。
それからは、ペローナ専用のお菓子屋を始めた。
朝。マフィンやクッキーを焼き、丁寧に可愛くラッピングする。そして、紅茶やココアも用意し、ワゴンでペローナの部屋に運んだ。
「おはよう。ミョウジ菓子店が来たよ!」
「ナマエ。元気だな、お前」
「あたしは、朝に強いんだ」
ペローナは、モーニングティーを飲み、オレンジマフィンを手にする。
「腕は確かだな」
「そうでしょ? あたしは、天才なんだから」
「調子乗んな」
「あははは」
「ホロホロホロ。ま、そのうち可愛いゾンビにしてやるよ」
「はははは。絶対に嫌!」
ペローナ。あたしは、あなたのなんなんだろうね?
どうでもいいか。あたしは、お菓子を作れるなら、それで充分だし。あとは、どうしようかな。
「スリラーバークの名物お菓子作らない?」
「観光地じゃねェよ。ホロホロホロ」
◆◆◆
悪いことなんかしてないのに~!
あたしは、空に飛ばされている。
ペローナが、変な男に吹っ飛ばされてたから、思わずしがみついちゃっただけじゃないのよ~!
「あたしは、こんなとこでは死なない!」
そう吠えてから、長い時間が経った。
そして、薄暗くて湿った島に着く。
「ここどこ~?!」
「うるせェぞ、ナマエ……」
「ペローナ! 生きてた~!」
「ここは……薄暗くてジメジメした雰囲気……!」
彼女は、なんだか嬉しそうだ。あたしは、好かないな、正直。スリラーバークも、ここも、陰気なのは、ちょっとな。
「ペローナ、これ、遭難じゃないの?」
「城! 城があるぞ、ナマエ!」
「もしかして……」
「行くぞ」
「化物いたら、どうすんのよ?!」
あたしは、戦えない。
「スリラーバークにいた奴が化物なんか怖がるんじゃねェよ」
「分かった。分かったよ。行きますよ」
いざとなったら、頼れるゴーストプリンセス様に守ってもらおう。
ふたりで、城内を目指した。
中は、もぬけの殻だけど、廃城にしては綺麗。
「ここ、キッチンかな? 寄って行こうよ」
「そうだな」
うーんと。
へぇ、色々揃ってるじゃない。
「あ、非常食のビスケットがある。これ、ミルクに浸すと美味しいんだよね。ペローナ、お茶にしようよ」
「お前、結構図太いよな」
中庭も発見したので、椅子とテーブルを持って行き、お茶の用意をした。
「お待たせ。なんかのフレーバーティーとビスケットとミルクと、さっき焼いたクッキーだよ」
「いただいてやるよ」
「いただきます」
どこにいても、お菓子は美味しい。
あたしたちは、優雅なティータイムを過ごした。
気分が良くなったのか、ペローナは呪いの歌を口ずさんでる。
「この古城、人がいそうなもんだけど……」
「誰かいたら、お前が食材盗んだって突き出すからな」
「はっはっはっ。ペローナ、あなたも共犯でしょ」
「ホロホロホロホロホロ。抜かせ、ナマエ」
ま、文句言われたら、ネガティブホロウでやっちゃえばいいでしょ。
「ふわぁ。あたし、眠くなって来たな。ベッド探して寝るわ。ペローナ、後片付けよろしく」
「プリンセスに何させようとしてんだ!?」
ペローナを無視し、あたしはベッドの並んだ部屋に辿り着いた。
「はぁ。おやすみなさい」
そうして、しばらく寝た後。
目を覚ますと、ペローナがあたしを覗き込んでいた。
「ペローナ? どうしたの?」
訊きながら、体を起こす。
「ホロウになって島中回ったんだが、誰もいやしねェ」
「寂しかった?」
「そんなワケねェだろ!」
「ははは」
全く可愛いね。我が、ゴーストプリンセス様は。
◆◆◆
今日も今日とて、島には、あたしとペローナしかいない。
「お前の顔、見飽きたぞ」
「ワガママ言わないでよ」
ふたりきりだから、どうしようもないでしょ。
「飽きた! モリア様、助けて!」
「はいはい。そうだ。一緒にお菓子作る?」
「……作る」
だいぶ参ってるな、こりゃ。
「じゃあ、デッカいケーキにしよう!」
あたしたちは、キッチンへ向かう。
「さて。それじゃあ、あたしがスポンジを作るから、ペローナは飾り付け担当ね」
「いいだろう」
混ぜたり、泡立てたり、焼いたりして、大きさの違うスポンジを3つ作った。
結構大変なんだよね。
そして、三段に重ねる。
「さ、ペローナ。あとは、よろしく」
「ホロホロホロホロホロ。任せろ」
ペローナは、ケーキを生クリームと溶かしたチョコレートで白黒に塗っていく。
そして、あたしが昨日焼いたホロウ型のクッキーを張り付けた。
一番上の段には、十字架を立てる。
「出来たぞ!」
「うんうん。ペローナっぽいわ!」
ふたりで、テーブルの上にケーキを乗せ、紅茶も用意した。
「いただきます」をして、ケーキを切り分ける。
「美味しい~!」
「ホロホロホロ。私のおかげだな」
「はいはい、そうね」
全部は食べ切れないから、あとで冷蔵庫に入れないと。
「やっぱり、この城の持ち主がそのうち帰って来ると思うんだよね」
「ナマエ」
「ん?」
「どんな奴だろうと、私が守ってやるよ」
「ありがとう、ペローナ」
あたしは、ニッと笑った。
お茶会の後片付けを済ませ、ふたりで城内を散歩する。
「今日もいい天気だな」
窓の外を見て、ペローナが言った。
「そーね」
薄暗くて、ジメジメしてるねぇ。
あたしは、晴天の下が恋しいけど。まあ、そんなにダメージはない。
乗ってた海賊船が壊滅した時は、どうなるかと思ったけど、生きてりゃなんとかなるもんだね。
命あっての物種だ。
「ナマエ、どうかしたのか?」
「ううん。ペローナと会えてよかったなって思っただけ」
「……光栄に思えよ! ホロホロホロホロホロホロ!」
あたしは、これからも、彼女と一緒にいるんだろう。
数日後。ペローナが、海岸で倒れてる人を見付けた。
「こいつ、麦わらの一味の!」
「怪我してる……」
ペローナは、ちょっと葛藤したみたいだけど、城に運んで手当てをすることにしたらしい。
あたしも、それを手伝う。
確か、ロロノア・ゾロだったよね? この人。
彼が目覚めた時、あたしたちは、ふたりでベッドの側で話していた。
「お、目が覚めたか」
「体、大丈夫?」
「お前らは、スリラーバークの……」
「ペローナだ」
「あたしは、ナマエ」
ゾロは、びっくりするほど元気になってる。
城の主が帰ってきた時、あたしたちはめちゃくちゃ驚くことになるんだけど、もう少し後のお話。