その他
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
泣きそうになりながら起きる朝がある。
盗みがバレて、大人に殴る蹴るをされて、痛みと空腹で意識を失うことも出来ない夜があった。そんな過去の夢にうなされる。
目覚めてから、ワタクシは、自分が昔とは違う生き方をしていることに気付いた。
屋根のある家。ベッド。食べ物。仕事の対価。
そして、恩人がいる。人間として、あまりに小さくて面白いから、ワタクシは、アナタをずっと見ています。
尊敬はしてない。軽んじているから。
忠誠心はない。くだらないから。
愛してはいない。愛で腹は膨れないから。
ワタクシは、最高のエンターテイメントを見ていたいだけ。
今日は、スパンダム様のお供をする仕事がある。
ふたりで、現場へと向かい、ワタクシが紹介されるという場面。
「こいつは、おれの————」
「妻です」
「違うわ!」
その通りだし、その役割は、ワタクシは嫌だ。ただ、アナタをからかいたいだけ。
「ったく。おれの部下のナマエだ」
「よろしくお願いします」
一礼する。
仕事は、つつがなく済んだ。ワタクシ、諜報向きの性格でして。
今日も、生き延びた。ワタクシは、いつもの笑みで眠りにつく。
明日も、目が覚めますように。
◆◆◆
スパンダム様が、大怪我をした。
「ナマエ……」
包帯でぐるぐると巻かれ、集中治療室のベッドに横たわる痛々しい姿のアナタが、ワタクシを呼んだ。
「はい」
「飯を食わせろ」
「ワタクシ、使用人ではありません」
「お前は、おれに恩があるだろうが、バカ!」
「はいはい、分かりましたよ」
仕方なく、スプーンでスープを掬って飲ませる。
「何故、おれがこんな目に……」
小物の癖に功名心を出すからですよ。喉元まできた言葉を呑み込む。
「命があるだけいいではありませんか」
「お前には分からねぇだろうな。おれの崇高な目標が」
「分かりませんねぇ。ワタクシ、焼き魚のあるところに恩人ありという立場ですので」
アナタに衣食住を保証していただければ、ワタクシはそれで構わない。
「くだらねぇ。お前の精神は、腹を空かせた孤児のままだ」
「ふふ。お互い、俗物でしょうに」
スパンダム様は、名誉が欲しい。ワタクシは、利益が欲しい。
「一緒にするな!」
「はいはい」
「熱いッ!?」
「おっと、失礼しました」
くるり、と指先でスプーンを回した。
「わざとでございます」
「そんな報告をする奴があるか?!」
「ご自分の身の振り方を、よくお考えくださいまし」
「ナマエ、お前は、おれの味方だよな?」
「ええ、もちろん」
ナマエは、あの日、アナタが拾った命。服従はしませんが、見捨てもしませんよ。
まあ、余程のことがない限り?
盗みがバレて、大人に殴る蹴るをされて、痛みと空腹で意識を失うことも出来ない夜があった。そんな過去の夢にうなされる。
目覚めてから、ワタクシは、自分が昔とは違う生き方をしていることに気付いた。
屋根のある家。ベッド。食べ物。仕事の対価。
そして、恩人がいる。人間として、あまりに小さくて面白いから、ワタクシは、アナタをずっと見ています。
尊敬はしてない。軽んじているから。
忠誠心はない。くだらないから。
愛してはいない。愛で腹は膨れないから。
ワタクシは、最高のエンターテイメントを見ていたいだけ。
今日は、スパンダム様のお供をする仕事がある。
ふたりで、現場へと向かい、ワタクシが紹介されるという場面。
「こいつは、おれの————」
「妻です」
「違うわ!」
その通りだし、その役割は、ワタクシは嫌だ。ただ、アナタをからかいたいだけ。
「ったく。おれの部下のナマエだ」
「よろしくお願いします」
一礼する。
仕事は、つつがなく済んだ。ワタクシ、諜報向きの性格でして。
今日も、生き延びた。ワタクシは、いつもの笑みで眠りにつく。
明日も、目が覚めますように。
◆◆◆
スパンダム様が、大怪我をした。
「ナマエ……」
包帯でぐるぐると巻かれ、集中治療室のベッドに横たわる痛々しい姿のアナタが、ワタクシを呼んだ。
「はい」
「飯を食わせろ」
「ワタクシ、使用人ではありません」
「お前は、おれに恩があるだろうが、バカ!」
「はいはい、分かりましたよ」
仕方なく、スプーンでスープを掬って飲ませる。
「何故、おれがこんな目に……」
小物の癖に功名心を出すからですよ。喉元まできた言葉を呑み込む。
「命があるだけいいではありませんか」
「お前には分からねぇだろうな。おれの崇高な目標が」
「分かりませんねぇ。ワタクシ、焼き魚のあるところに恩人ありという立場ですので」
アナタに衣食住を保証していただければ、ワタクシはそれで構わない。
「くだらねぇ。お前の精神は、腹を空かせた孤児のままだ」
「ふふ。お互い、俗物でしょうに」
スパンダム様は、名誉が欲しい。ワタクシは、利益が欲しい。
「一緒にするな!」
「はいはい」
「熱いッ!?」
「おっと、失礼しました」
くるり、と指先でスプーンを回した。
「わざとでございます」
「そんな報告をする奴があるか?!」
「ご自分の身の振り方を、よくお考えくださいまし」
「ナマエ、お前は、おれの味方だよな?」
「ええ、もちろん」
ナマエは、あの日、アナタが拾った命。服従はしませんが、見捨てもしませんよ。
まあ、余程のことがない限り?