その他
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私は、私ですから。ええ。だから、大丈夫です。
◆◆◆
ナマエ・ミョウジは、カフェの店員である。客のオーダー通りにコーヒーを淹れたり、フラペチーノを作ったり。日々、真面目に仕事をしている。
「ナマエ、週末のホームパーティーのことなんだけど。どう?」
同僚の女性に尋ねられた。
「ごめんなさい。今回は、パスで。また誘ってください」
「オーケー。よい週末を」
「ありがとうございます。パーティー、楽しんで」
物腰柔らかな男は、よくこういった誘いを受ける。ナマエは、人といることが嫌いという訳ではないが、たまにひとりの時間が欲しくなるタイプなのだ。
だから、今週末は、静かに読書でもして過ごそうかと考えている。
終業時刻。ナマエは着替えを済ませて、帰路につく。
ひとり暮らしを始めて、もう11年になる。アパートの一室は、すっかりナマエの根城だ。
帰宅後、シャワーを浴びて、自分のためにコーヒーを淹れる。角砂糖をひとつと、ミルクを少々。それが、いつもの一杯。
「ふぅ」
リビングのソファーに座り、一息つく。そして、つい、うとうとし、浅い眠りへと落ちてしまった。
「起きなさい」
何か聴こえる。
「起きなさい。起きなさい。起きなさい」
人の声?
「起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい」
ナマエは、目を見開いた。目の前には、美しい天使がいる。
「天使……様…………?」
私は、夢を見ているのだろう。
ナマエは、そう思った。瞬間、天使は、邪悪な笑顔を見せて消える。底冷えするような恐ろしさを感じた。
「今のは……?」
おぞましい、何か。天使などではない。
「おはよう、私」
「え…………?」
振り向くと、ナマエ・ミョウジが立っていた。
「わ、私……?」
「そうだよ! 私は、あなた!」
「これは、夢……?」
「サプラーイズ! これは現実!」
狂気的な笑みを浮かべ、もうひとりのナマエは告げる。
「あなたは、私……?」
「その通り! あなたは、私!」
「あ、はは…………私は、私…………」
「ねぇ、私。飛びっきりのプレゼントがあるんだ。受け取ってほしいな!」
「ええ、私。ぜひ」
ナマエは、狂気に呑まれてしまった。
薄暗がりへと、“私”が誘う。それについて行き、ナマエ・ミョウジの人生は一変してしまう。
◆◆◆
『ナマエ? 無断欠勤が続いてるけど、どうかしたの? あなたらしくもない。みんな、急病じゃないかって心配してるの。連絡をちょうだい』
留守番電話の音声が、虚しく響く。
「ねぇ、私。ずっと一緒にいてくれるよね? あなたは、私なんだから」
「ええ。私は、私とずっと一緒にいるよ」
「嬉しい! それじゃあ、今日は何をして遊ぼうか? 人を連れて来て、私」
「分かったよ、私。人を連れて来る」
ナマエは、人を誘き寄せるための釣り餌である。
ああ、可哀想に。ナマエ・ミョウジは、“私”の傀儡となり果てた。人形遊びの人形のように。
「このまま、ずーっと一緒に遊ぼうね、私」
ナマエの背中に、“私”は優しく声をかけた。
◆◆◆
ナマエ・ミョウジは、カフェの店員である。客のオーダー通りにコーヒーを淹れたり、フラペチーノを作ったり。日々、真面目に仕事をしている。
「ナマエ、週末のホームパーティーのことなんだけど。どう?」
同僚の女性に尋ねられた。
「ごめんなさい。今回は、パスで。また誘ってください」
「オーケー。よい週末を」
「ありがとうございます。パーティー、楽しんで」
物腰柔らかな男は、よくこういった誘いを受ける。ナマエは、人といることが嫌いという訳ではないが、たまにひとりの時間が欲しくなるタイプなのだ。
だから、今週末は、静かに読書でもして過ごそうかと考えている。
終業時刻。ナマエは着替えを済ませて、帰路につく。
ひとり暮らしを始めて、もう11年になる。アパートの一室は、すっかりナマエの根城だ。
帰宅後、シャワーを浴びて、自分のためにコーヒーを淹れる。角砂糖をひとつと、ミルクを少々。それが、いつもの一杯。
「ふぅ」
リビングのソファーに座り、一息つく。そして、つい、うとうとし、浅い眠りへと落ちてしまった。
「起きなさい」
何か聴こえる。
「起きなさい。起きなさい。起きなさい」
人の声?
「起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい。起きなさい」
ナマエは、目を見開いた。目の前には、美しい天使がいる。
「天使……様…………?」
私は、夢を見ているのだろう。
ナマエは、そう思った。瞬間、天使は、邪悪な笑顔を見せて消える。底冷えするような恐ろしさを感じた。
「今のは……?」
おぞましい、何か。天使などではない。
「おはよう、私」
「え…………?」
振り向くと、ナマエ・ミョウジが立っていた。
「わ、私……?」
「そうだよ! 私は、あなた!」
「これは、夢……?」
「サプラーイズ! これは現実!」
狂気的な笑みを浮かべ、もうひとりのナマエは告げる。
「あなたは、私……?」
「その通り! あなたは、私!」
「あ、はは…………私は、私…………」
「ねぇ、私。飛びっきりのプレゼントがあるんだ。受け取ってほしいな!」
「ええ、私。ぜひ」
ナマエは、狂気に呑まれてしまった。
薄暗がりへと、“私”が誘う。それについて行き、ナマエ・ミョウジの人生は一変してしまう。
◆◆◆
『ナマエ? 無断欠勤が続いてるけど、どうかしたの? あなたらしくもない。みんな、急病じゃないかって心配してるの。連絡をちょうだい』
留守番電話の音声が、虚しく響く。
「ねぇ、私。ずっと一緒にいてくれるよね? あなたは、私なんだから」
「ええ。私は、私とずっと一緒にいるよ」
「嬉しい! それじゃあ、今日は何をして遊ぼうか? 人を連れて来て、私」
「分かったよ、私。人を連れて来る」
ナマエは、人を誘き寄せるための釣り餌である。
ああ、可哀想に。ナマエ・ミョウジは、“私”の傀儡となり果てた。人形遊びの人形のように。
「このまま、ずーっと一緒に遊ぼうね、私」
ナマエの背中に、“私”は優しく声をかけた。