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キャンディクラブの店員、ケビンは困っている。
「僕は、そんなものいらない」
「いい砂糖なんだけどなぁ」
「砂糖じゃないだろ!」
「“飛びっきりの砂糖”さ!」
ナマエは、けらけら笑いながら言った。この男は、麻薬の売人である。
大麻やヘロインやコカイン。LSDにMDMAにマジックマッシュルーム。手広く扱っている。
ケビンは、ナマエの素性を詳しくは知らないが、ろくでなしであることだけは理解していた。
「いらないものはいらない」
「そうか。じゃ、俺は、キャンディひとつもらって帰るよ」
紙に包まれた飴をひとつ摘まんで、金を払い、胡乱な男は去って行く。
「はぁ…………」
ケビンは、溜め息をついた。もう二度と来ないでほしい。
ケビンがナマエと出会ったのは、一月前。ちょっとしたお小遣いで、スキッドとパンプに“お使い”を頼んでいた彼を見て、ケビンはそれを阻止した。ナマエは、“よくないもの”の運び屋を子供たちにやらせていたから。
そうしたら、何故かナマエは、ケビンにつきまとうようになった。
毎日のように店に来ては、ケビンをからかい、飴をひとつ買って帰る。訳が分からない。
その答えは、実は単純で。ナマエは、ケビンを気に入ったのだ。善性を持つ大人である男は、ナマエの周りにはいない存在だから。珍しくて、面白くて、ケビンにちょっかいをかけているのである。あわよくば、こちらに堕ちて来ないかな、などと考えて。そうなったら、ケビンへの興味をなくす癖に。
◆◆◆
ある日、ナマエがキャンディクラブを訪れると、ケビンが床に座り込み、脚から血を流していた。
「おい、どうしたんだよ? その怪我」
「人形に襲われた」
「人形? 救急箱は?」
「バックヤードにある」
「待ってろ」
ナマエは、救急箱を取り、ケビンの元へ戻る。
清潔な布で血を拭い、消毒液をかけた。そして、丁寧に傷口を絆創膏で塞ぐ。
「……ありがとう」
「どういたしまして」
「どういう風の吹き回しだ?」
「弱ってるお前をからかっても、つまらないからな」
「ああ、そう」
呆れ顔で、ケビンは言った。
お前に、「好きだ」と告げたら、どうする? 困る? 嫌悪する? からかってると思う?
俺は、お前の善性に惚れてしまったんだ。それから、ずっとお前に執着している。
ナマエは、密かに考えた。
俺は、聖人にはなれないし、今更、まともな大人になることすら出来ない。だけど、お前を好きな気持ちだけは、唯一清らかなんだよ。そんなものが、自分の中にあることが不思議で、なんだか嬉しくて、手放せずにいる。
「ケビン」
「なんだ?」
「お大事に」
「ああ、どうも」
「もう帰るよ。またな」
「……うん。また」
馬鹿だな。「また」なんて言って。迷惑だと思ってるだろうに。
でも、ケビンは善い奴だから。そんなことは言わないんだ。
ナマエは、それに甘えている。
「僕は、そんなものいらない」
「いい砂糖なんだけどなぁ」
「砂糖じゃないだろ!」
「“飛びっきりの砂糖”さ!」
ナマエは、けらけら笑いながら言った。この男は、麻薬の売人である。
大麻やヘロインやコカイン。LSDにMDMAにマジックマッシュルーム。手広く扱っている。
ケビンは、ナマエの素性を詳しくは知らないが、ろくでなしであることだけは理解していた。
「いらないものはいらない」
「そうか。じゃ、俺は、キャンディひとつもらって帰るよ」
紙に包まれた飴をひとつ摘まんで、金を払い、胡乱な男は去って行く。
「はぁ…………」
ケビンは、溜め息をついた。もう二度と来ないでほしい。
ケビンがナマエと出会ったのは、一月前。ちょっとしたお小遣いで、スキッドとパンプに“お使い”を頼んでいた彼を見て、ケビンはそれを阻止した。ナマエは、“よくないもの”の運び屋を子供たちにやらせていたから。
そうしたら、何故かナマエは、ケビンにつきまとうようになった。
毎日のように店に来ては、ケビンをからかい、飴をひとつ買って帰る。訳が分からない。
その答えは、実は単純で。ナマエは、ケビンを気に入ったのだ。善性を持つ大人である男は、ナマエの周りにはいない存在だから。珍しくて、面白くて、ケビンにちょっかいをかけているのである。あわよくば、こちらに堕ちて来ないかな、などと考えて。そうなったら、ケビンへの興味をなくす癖に。
◆◆◆
ある日、ナマエがキャンディクラブを訪れると、ケビンが床に座り込み、脚から血を流していた。
「おい、どうしたんだよ? その怪我」
「人形に襲われた」
「人形? 救急箱は?」
「バックヤードにある」
「待ってろ」
ナマエは、救急箱を取り、ケビンの元へ戻る。
清潔な布で血を拭い、消毒液をかけた。そして、丁寧に傷口を絆創膏で塞ぐ。
「……ありがとう」
「どういたしまして」
「どういう風の吹き回しだ?」
「弱ってるお前をからかっても、つまらないからな」
「ああ、そう」
呆れ顔で、ケビンは言った。
お前に、「好きだ」と告げたら、どうする? 困る? 嫌悪する? からかってると思う?
俺は、お前の善性に惚れてしまったんだ。それから、ずっとお前に執着している。
ナマエは、密かに考えた。
俺は、聖人にはなれないし、今更、まともな大人になることすら出来ない。だけど、お前を好きな気持ちだけは、唯一清らかなんだよ。そんなものが、自分の中にあることが不思議で、なんだか嬉しくて、手放せずにいる。
「ケビン」
「なんだ?」
「お大事に」
「ああ、どうも」
「もう帰るよ。またな」
「……うん。また」
馬鹿だな。「また」なんて言って。迷惑だと思ってるだろうに。
でも、ケビンは善い奴だから。そんなことは言わないんだ。
ナマエは、それに甘えている。