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ミョウジナマエは、医師の麻生春臣から融解治療の説明を受けた際に嘔吐した。
「ナマエさん……!?」
「はぁ……はぁ…………」
そして、過呼吸になり、体温が急激に下がっていく。
麻生は、彼女に適切な処置を施した。
「申し訳ない。君は……」
「あーし、未通女には見えなかった?」
「そういう訳では……」
ナマエは、田舎育ちの、いわゆるギャルである。
金髪で、派手な見た目をしており、いかにも遊んでいそうな。とはいえ、麻生がそう思った訳ではない。
「あーしは、アセクシャルなんだよ」
「そうか。ナマエさんには、性的な融解治療は出来ないね」
「そ。別にいいんじゃん? 痂氷が増えるなら、政府的には助かるっしょ」
「……どうしたい? 帰宅する?」
ナマエは、かぶりを振った。
「あーし、もう働けないし。でも、カレシにお金あげたいから」
彼女は美容師をしていたが、ある日、両手が上手く動かなくなったのである。
「君がそこまで尽くす理由は?」
「そんなん、好きだからに決まってるじゃん」
結果として。ミョウジナマエは、痂氷ドナーになった。
ナマエは、投薬治療だけを受けて過ごしている。
「あーあ。なんか面白いことねーかな」
そんなことを呟きながら、ひとり、植物園を歩いていた。
「あの……」
か細い声。
「ん?」
「こんにちは……」
「よっす。あんたもドナーか」
「はい。日暮イオです」
「あーし、ミョウジナマエ。ナマエって呼んで」
「はい。よろしくお願いします」
ぺこ、とイオは一礼する。
「イオっちはさぁ、アレやってんの? 答えたくなかったらいいけど」
「あれ?」
「性的な治療」
「……は、はい」
「そ。ま、してない方が珍しいか」
ナマエは、両手を後頭部で組み、ゆっくりとまばたきをした。
「担当医って、あそ先?」
「はい」
「ふーん。そっか」
イオは、何故そんな質問をするのだろうと考える。
「あそ先って、めちゃくちゃ女泣かせてそうじゃない?」
「えっ!? そ、そうですか?」
「うん。あ、敬語じゃなくていーよ」
「うん、分かった。ナマエさんは、その……」
「あーし、アセクだから」
イオが遠慮した質問に、ナマエは、さらっと答えた。
「アセク?」
「性的な欲求がねーの。それに、あーしの場合は、自分が性的なことをすんのに嫌悪感がある」
「そうなんだ……」
「おかげで、元カレどもには散々なこと言われたわ。セックス出来ないなら、付き合う価値ないとかさ」
「……酷いね」
「マジありえない」
それから。ナマエとイオは、しばらく他愛ない話をする。故郷のこととか、東京に来て驚いたこととか。
「あ、そろそろ診察なんだわ。またね、イオっち」
「うん、またね」
ナマエは、手を振ってから去って行く。
その後。
「ナマエさん、患部を見せてもらっていいかな?」
「はいよ」
麻生に、胸元の痂氷を見せるナマエ。
「広がってるね……」
「最近、フラバ多いんだよね。無理矢理な性的接触のこと思い出す」
フラッシュバックする。
デートDV。非合意な性的行為。
パンロマンティック・アセクシャルのナマエが受けてきた加害の数々。
「薬を増やそうか」
「よろ~」
ミョウジナマエの態度は軽いものだったが、彼女の精神的な傷は深い。
そのことを自覚しているからこそ、ナマエは自分を重く見せることが嫌だった。
だが、侮りは許さない。
ナマエは、軽い女だとも思われたくなかった。
診察が終わり。私室へ戻って、ベッドに横たわる。
「あたしは、大丈夫だよ。だから、元気でいてね」
恋人への愛を呟き、ミョウジナマエは眠りについた。
「ナマエさん……!?」
「はぁ……はぁ…………」
そして、過呼吸になり、体温が急激に下がっていく。
麻生は、彼女に適切な処置を施した。
「申し訳ない。君は……」
「あーし、未通女には見えなかった?」
「そういう訳では……」
ナマエは、田舎育ちの、いわゆるギャルである。
金髪で、派手な見た目をしており、いかにも遊んでいそうな。とはいえ、麻生がそう思った訳ではない。
「あーしは、アセクシャルなんだよ」
「そうか。ナマエさんには、性的な融解治療は出来ないね」
「そ。別にいいんじゃん? 痂氷が増えるなら、政府的には助かるっしょ」
「……どうしたい? 帰宅する?」
ナマエは、かぶりを振った。
「あーし、もう働けないし。でも、カレシにお金あげたいから」
彼女は美容師をしていたが、ある日、両手が上手く動かなくなったのである。
「君がそこまで尽くす理由は?」
「そんなん、好きだからに決まってるじゃん」
結果として。ミョウジナマエは、痂氷ドナーになった。
ナマエは、投薬治療だけを受けて過ごしている。
「あーあ。なんか面白いことねーかな」
そんなことを呟きながら、ひとり、植物園を歩いていた。
「あの……」
か細い声。
「ん?」
「こんにちは……」
「よっす。あんたもドナーか」
「はい。日暮イオです」
「あーし、ミョウジナマエ。ナマエって呼んで」
「はい。よろしくお願いします」
ぺこ、とイオは一礼する。
「イオっちはさぁ、アレやってんの? 答えたくなかったらいいけど」
「あれ?」
「性的な治療」
「……は、はい」
「そ。ま、してない方が珍しいか」
ナマエは、両手を後頭部で組み、ゆっくりとまばたきをした。
「担当医って、あそ先?」
「はい」
「ふーん。そっか」
イオは、何故そんな質問をするのだろうと考える。
「あそ先って、めちゃくちゃ女泣かせてそうじゃない?」
「えっ!? そ、そうですか?」
「うん。あ、敬語じゃなくていーよ」
「うん、分かった。ナマエさんは、その……」
「あーし、アセクだから」
イオが遠慮した質問に、ナマエは、さらっと答えた。
「アセク?」
「性的な欲求がねーの。それに、あーしの場合は、自分が性的なことをすんのに嫌悪感がある」
「そうなんだ……」
「おかげで、元カレどもには散々なこと言われたわ。セックス出来ないなら、付き合う価値ないとかさ」
「……酷いね」
「マジありえない」
それから。ナマエとイオは、しばらく他愛ない話をする。故郷のこととか、東京に来て驚いたこととか。
「あ、そろそろ診察なんだわ。またね、イオっち」
「うん、またね」
ナマエは、手を振ってから去って行く。
その後。
「ナマエさん、患部を見せてもらっていいかな?」
「はいよ」
麻生に、胸元の痂氷を見せるナマエ。
「広がってるね……」
「最近、フラバ多いんだよね。無理矢理な性的接触のこと思い出す」
フラッシュバックする。
デートDV。非合意な性的行為。
パンロマンティック・アセクシャルのナマエが受けてきた加害の数々。
「薬を増やそうか」
「よろ~」
ミョウジナマエの態度は軽いものだったが、彼女の精神的な傷は深い。
そのことを自覚しているからこそ、ナマエは自分を重く見せることが嫌だった。
だが、侮りは許さない。
ナマエは、軽い女だとも思われたくなかった。
診察が終わり。私室へ戻って、ベッドに横たわる。
「あたしは、大丈夫だよ。だから、元気でいてね」
恋人への愛を呟き、ミョウジナマエは眠りについた。
