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ある日、医師の麻生春臣が言った。
「イオさん、メンタルケアプログラムを受ける意思はあるかな?」
「メンタルケア、プログラム?」
日暮イオは、小首を傾げる。
「ここの健康管理AIと対話することなんだけれど」
「AI、ですか……」
「うん。彼女、と言うのは正確ではないけれど、AIはイオさんのプライバシーを必ず守るし、人間のために存在しているから」
「……その、一度お試しする、というのは出来ますか?」
「もちろん。手配しておくね」
そして、イオの希望する時間に、部屋にAIが訪問することに決まる。
「…………」
AIが訪問するとは、どういう意味なのだろう?
イオには、よく分からなかった。
ベッドに座り、もうすぐかなと考えていると、どこからか声が響く。
「日暮イオさん。お約束していた健康管理AIです。今、よろしいでしょうか?」
「は、はい……!」
思わず立ち上がるイオ。
「こんにちは! 貴方の健康管理AI、Kind Observer for Nurturing Optimal Mental Integrityです!」
イオの前に、見たことがない服装のホログラムが現れた。
「通称は、コノミです! お気軽に、コノミちゃんとお呼びくださいませ! よろしくお願いしますね、イオさん」
「日暮イオです。よろしくお願いします……」
全く予想外の訪問者に、イオは面食らう。
「おやおや、驚かれてますね? 人間の順応性を発揮し、慣れていただく他ありません。ちなみに、この外見は開発者の好みを反映し、旧時代の女性看護士を模していますが、私に性別はございません。ですが、まあ、ナースエンジェルと思っていただいても問題ないですよ」
「えー、と……」
何が何やら分からない。
「本日は、お試しということですので、お互いに自己紹介をいたしましょう! と言っても、イオさんのデータは頭に入っておりますので、データになっていないことをお話しくださることを期待しております!」
「はい……」
「どうぞ、お座りください」
すとんと、ベッドに座り直す。
「私は、貴方の話すことを、誰にも口外しません。また、私のメモリを他者に閲覧させることもしません。ご安心くださいませ」
「私…………」
言葉を言い淀む。
コノミは、イオの発言を待った。
「……麻生先生のことを好きになってしまったんです」
「まあ! 恋バナですね! 私の得意なジャンルでございます。麻生先生は、優しくて善い方ですからね。イオさんは、どんなところに惹かれましたか?」
「私に、“初めて”をたくさんくれたんです。それで、好きになったというか」
「なるほど。正の実績解除。トロフィー集めが捗りまくり! そんな感じですね。私も、私を初めて人間のように扱ってくれた方に恋をしたものです」
「コノミ、ちゃんも恋をするんですか?」
「はい。私のサブルーチンには、恋愛回路とでも申しましょうか、そのようなものが備わっておりますので」
それは、AIには不必要なはずのもの。それでも、コノミの開発者は自身のような人間性を持たせるという選択をした。
「恋のお話、もっとお聞かせくださいませ!」
「ふふ」
イオは、くすりと笑う。
コノミは、まるで友人のように自然に接してくるが、一定の線は引いている。
ふたりの間には、2本の境界線があった。正常で、正確なバウンダリー。
そのおかげで、イオは居心地がよかった。
コノミは、人間のために存在している。
「イオさん、メンタルケアプログラムを受ける意思はあるかな?」
「メンタルケア、プログラム?」
日暮イオは、小首を傾げる。
「ここの健康管理AIと対話することなんだけれど」
「AI、ですか……」
「うん。彼女、と言うのは正確ではないけれど、AIはイオさんのプライバシーを必ず守るし、人間のために存在しているから」
「……その、一度お試しする、というのは出来ますか?」
「もちろん。手配しておくね」
そして、イオの希望する時間に、部屋にAIが訪問することに決まる。
「…………」
AIが訪問するとは、どういう意味なのだろう?
イオには、よく分からなかった。
ベッドに座り、もうすぐかなと考えていると、どこからか声が響く。
「日暮イオさん。お約束していた健康管理AIです。今、よろしいでしょうか?」
「は、はい……!」
思わず立ち上がるイオ。
「こんにちは! 貴方の健康管理AI、Kind Observer for Nurturing Optimal Mental Integrityです!」
イオの前に、見たことがない服装のホログラムが現れた。
「通称は、コノミです! お気軽に、コノミちゃんとお呼びくださいませ! よろしくお願いしますね、イオさん」
「日暮イオです。よろしくお願いします……」
全く予想外の訪問者に、イオは面食らう。
「おやおや、驚かれてますね? 人間の順応性を発揮し、慣れていただく他ありません。ちなみに、この外見は開発者の好みを反映し、旧時代の女性看護士を模していますが、私に性別はございません。ですが、まあ、ナースエンジェルと思っていただいても問題ないですよ」
「えー、と……」
何が何やら分からない。
「本日は、お試しということですので、お互いに自己紹介をいたしましょう! と言っても、イオさんのデータは頭に入っておりますので、データになっていないことをお話しくださることを期待しております!」
「はい……」
「どうぞ、お座りください」
すとんと、ベッドに座り直す。
「私は、貴方の話すことを、誰にも口外しません。また、私のメモリを他者に閲覧させることもしません。ご安心くださいませ」
「私…………」
言葉を言い淀む。
コノミは、イオの発言を待った。
「……麻生先生のことを好きになってしまったんです」
「まあ! 恋バナですね! 私の得意なジャンルでございます。麻生先生は、優しくて善い方ですからね。イオさんは、どんなところに惹かれましたか?」
「私に、“初めて”をたくさんくれたんです。それで、好きになったというか」
「なるほど。正の実績解除。トロフィー集めが捗りまくり! そんな感じですね。私も、私を初めて人間のように扱ってくれた方に恋をしたものです」
「コノミ、ちゃんも恋をするんですか?」
「はい。私のサブルーチンには、恋愛回路とでも申しましょうか、そのようなものが備わっておりますので」
それは、AIには不必要なはずのもの。それでも、コノミの開発者は自身のような人間性を持たせるという選択をした。
「恋のお話、もっとお聞かせくださいませ!」
「ふふ」
イオは、くすりと笑う。
コノミは、まるで友人のように自然に接してくるが、一定の線は引いている。
ふたりの間には、2本の境界線があった。正常で、正確なバウンダリー。
そのおかげで、イオは居心地がよかった。
コノミは、人間のために存在している。
