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今でも、毎日のように思い出す。
約束したのに。嘘つき。
「大人になったら、一緒に酒飲むんじゃなかったのかよ…………」
ミョウジナマエがついた嘘は、木村克也の心に刺さった針である。
克也は、2浪して国防大学に入り、現在は3年生だ。
そんな折、鵺野鳴介が童守町に戻る。
教師になった稲葉郷子と共に、教壇に立った。
克也とぬ~べ~と郷子(美樹は途中退席した)が飲んでいる時、ミョウジの話題が出る。
「克也、ミョウジはどうしてる?」
「さぁ。あの人、俺が高校生の頃に何も言わずに引っ越したから」
「引っ越し? どこにだ?」
「それが、誰も知らないんだ」
鵺野は、それは変だと思った。
後日。フーチを使って居場所を探る。
「ここは……」
鵺野は、克也に連絡をした。
「ミョウジに憑いてた神の居場所が分かった」
夜。大学の寮を抜け出して来た克也と合流し、はたもん場跡へ向かう。
「ナマエさんが、ここに?」
「少なくとも、アイツの家の神がいる」
鵺野は、経を唱え、霊水晶をかざした。
『おや、人が来るとは珍しい』
男とも女ともつかない声。
それを発したのは、狩衣を着た二足歩行の大きな化け猫のような姿をしている。
「ミョウジはどうした?」
「あれが、ナマエさんの家の……」
『ナマエなら、喰ろうてやったぞ』
「なに!?」
「そんな…………」
神は、からから笑う。
『憑き物筋の宿命だな』
「ミョウジの代で、か……」
「ナマエさんが、死んだ……?」
残酷な真実に、克也は膝から崩れ落ちた。
「ミョウジを恨んでいたのか?」
『まさか。ナマエは、ミョウジの末裔。最後の愛し子。愛しくて愛しくて、腹の中でも愛でている』
神は、腹を撫でながら言う。
人の理を外れた所業。神の物差し。
「返してくれ……ナマエさんを返してくれよ…………!」
『返す? ナマエは、元々我のものだ。不敬だぞ、人間』
「……ナマエさんは、俺の大切な人なんだ。ぬ~べ~、なんとかならないのかよ?!」
「相手は、神だ。それに、憑き物筋が代償を払わなければならないのも事実……」
「そんなこと言うなよ! ナマエさんは、ぬ~べ~の後輩だろ!」
「俺だって、なんとかしたい。だが……」
鵺野は、拳を握り締めた。
「ミョウジナマエを返せ!」
克也は立ち上がり、神に向かって叫ぶ。
「牛野首字を返せ!」
『牛野首字? それは、ナマエの偽りの名であろう。愚かな』
「確かに偽名だって言ってたよ。でも、その名前で人をたくさん助けてたんだよ!」
「そうか。そうだな、克也」
鵺野は、鬼の手を出して、神に立ち向かう。
「ミョウジの神よ、牛野首字を返せ!」
『なに!?』
鬼の手は、神の腹をすり抜け、ミョウジナマエを“半分”取り出した。
「ナマエさん!」
克也が、ミョウジの体を受け止める。
「返してもらうぞ。ミョウジの半身を」
『おのれ……赦さんぞ、人間……我のものを奪うなど……!』
「牛野首字は、お前のものじゃない! 多くの者たちに刻まれた名前だ!」
「そうだ!」
「う……あ…………」
「ナマエさん!」
ミョウジナマエが目覚めた。
「俺は……君は、克也か……?」
「ああ、そうだよ。助けに来るのが遅くなっちまって、ごめん」
「ったく、泣いてんじゃねぇよ」
ミョウジは、指先で克也の涙を拭う。
『ナマエ』
「あー、これはこれは。すいません、もう少し待ってくれませんか? 俺が死ぬまで」
『……ふん。人の世など嫌いだと言っていたではないか』
「そりゃあ、昔の話ですよ」
『だから、汝れが人に入れ込むのは嫌だったのだ…………』
ミョウジの神は、姿を消した。
「克也、鵺野先輩、ご迷惑をおかけしました」
「バカ野郎! 何も言わずにいなくなるな!」と、克也はミョウジを抱き締める。
「悪かった。俺ァ、偉そうなこと言っときながら、自分のことは諦めてたんだ」
ミョウジは、克也を抱き締め返した。
数日後。ミョウジナマエは、またかつての家に住み始めた。
そして、その晩。
約束を果たすために、克也と酒を飲みに行った。
ふたりがほろ酔いになった頃。
「ナマエさん」
「んー?」
「好きだ…………」
「へ?」
ミョウジの唇に、克也の唇が重なる。
「……もう置いて行かないでくれ」
「分かったよ。俺も、克也のことが好きだよ」
克也を寮まで送る道のり。ふたりを、美しい月が照らした。
ミョウジナマエの影は、色が薄い。
「ナマエさん」
「ん?」
「俺が自衛官になったら、一緒に暮らそう」
「俺は、いいけど。転勤とかあるんじゃねぇの?」
「一緒に来てほしい」
「考えとく」
まあ、克也と一緒にどこかへ行くのも悪くないと思った。
行った先で、フィールドワークでもすればいい、と。
ミョウジナマエは、木村克也と手を繋いで歩き出した。
約束したのに。嘘つき。
「大人になったら、一緒に酒飲むんじゃなかったのかよ…………」
ミョウジナマエがついた嘘は、木村克也の心に刺さった針である。
克也は、2浪して国防大学に入り、現在は3年生だ。
そんな折、鵺野鳴介が童守町に戻る。
教師になった稲葉郷子と共に、教壇に立った。
克也とぬ~べ~と郷子(美樹は途中退席した)が飲んでいる時、ミョウジの話題が出る。
「克也、ミョウジはどうしてる?」
「さぁ。あの人、俺が高校生の頃に何も言わずに引っ越したから」
「引っ越し? どこにだ?」
「それが、誰も知らないんだ」
鵺野は、それは変だと思った。
後日。フーチを使って居場所を探る。
「ここは……」
鵺野は、克也に連絡をした。
「ミョウジに憑いてた神の居場所が分かった」
夜。大学の寮を抜け出して来た克也と合流し、はたもん場跡へ向かう。
「ナマエさんが、ここに?」
「少なくとも、アイツの家の神がいる」
鵺野は、経を唱え、霊水晶をかざした。
『おや、人が来るとは珍しい』
男とも女ともつかない声。
それを発したのは、狩衣を着た二足歩行の大きな化け猫のような姿をしている。
「ミョウジはどうした?」
「あれが、ナマエさんの家の……」
『ナマエなら、喰ろうてやったぞ』
「なに!?」
「そんな…………」
神は、からから笑う。
『憑き物筋の宿命だな』
「ミョウジの代で、か……」
「ナマエさんが、死んだ……?」
残酷な真実に、克也は膝から崩れ落ちた。
「ミョウジを恨んでいたのか?」
『まさか。ナマエは、ミョウジの末裔。最後の愛し子。愛しくて愛しくて、腹の中でも愛でている』
神は、腹を撫でながら言う。
人の理を外れた所業。神の物差し。
「返してくれ……ナマエさんを返してくれよ…………!」
『返す? ナマエは、元々我のものだ。不敬だぞ、人間』
「……ナマエさんは、俺の大切な人なんだ。ぬ~べ~、なんとかならないのかよ?!」
「相手は、神だ。それに、憑き物筋が代償を払わなければならないのも事実……」
「そんなこと言うなよ! ナマエさんは、ぬ~べ~の後輩だろ!」
「俺だって、なんとかしたい。だが……」
鵺野は、拳を握り締めた。
「ミョウジナマエを返せ!」
克也は立ち上がり、神に向かって叫ぶ。
「牛野首字を返せ!」
『牛野首字? それは、ナマエの偽りの名であろう。愚かな』
「確かに偽名だって言ってたよ。でも、その名前で人をたくさん助けてたんだよ!」
「そうか。そうだな、克也」
鵺野は、鬼の手を出して、神に立ち向かう。
「ミョウジの神よ、牛野首字を返せ!」
『なに!?』
鬼の手は、神の腹をすり抜け、ミョウジナマエを“半分”取り出した。
「ナマエさん!」
克也が、ミョウジの体を受け止める。
「返してもらうぞ。ミョウジの半身を」
『おのれ……赦さんぞ、人間……我のものを奪うなど……!』
「牛野首字は、お前のものじゃない! 多くの者たちに刻まれた名前だ!」
「そうだ!」
「う……あ…………」
「ナマエさん!」
ミョウジナマエが目覚めた。
「俺は……君は、克也か……?」
「ああ、そうだよ。助けに来るのが遅くなっちまって、ごめん」
「ったく、泣いてんじゃねぇよ」
ミョウジは、指先で克也の涙を拭う。
『ナマエ』
「あー、これはこれは。すいません、もう少し待ってくれませんか? 俺が死ぬまで」
『……ふん。人の世など嫌いだと言っていたではないか』
「そりゃあ、昔の話ですよ」
『だから、汝れが人に入れ込むのは嫌だったのだ…………』
ミョウジの神は、姿を消した。
「克也、鵺野先輩、ご迷惑をおかけしました」
「バカ野郎! 何も言わずにいなくなるな!」と、克也はミョウジを抱き締める。
「悪かった。俺ァ、偉そうなこと言っときながら、自分のことは諦めてたんだ」
ミョウジは、克也を抱き締め返した。
数日後。ミョウジナマエは、またかつての家に住み始めた。
そして、その晩。
約束を果たすために、克也と酒を飲みに行った。
ふたりがほろ酔いになった頃。
「ナマエさん」
「んー?」
「好きだ…………」
「へ?」
ミョウジの唇に、克也の唇が重なる。
「……もう置いて行かないでくれ」
「分かったよ。俺も、克也のことが好きだよ」
克也を寮まで送る道のり。ふたりを、美しい月が照らした。
ミョウジナマエの影は、色が薄い。
「ナマエさん」
「ん?」
「俺が自衛官になったら、一緒に暮らそう」
「俺は、いいけど。転勤とかあるんじゃねぇの?」
「一緒に来てほしい」
「考えとく」
まあ、克也と一緒にどこかへ行くのも悪くないと思った。
行った先で、フィールドワークでもすればいい、と。
ミョウジナマエは、木村克也と手を繋いで歩き出した。
