進撃
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
誰か助けて。ナマエ・ミョウジは天を仰いだ。
現在、ナマエはリヴァイに2本の刃を向けられている。
「何?! 何なんだよ?! 俺なんか悪いことしたかよ?!」
「しただろ」
「したけど!」
火の無いところに煙を立てるのが、ナマエの仕事である。
「お前を殺したい奴なんざ掃いて捨てるほどいる」
「お、俺を殺したら飼い主が黙ってねぇぞ……」
「ほう……お前の飼い主か……何処のどいつだか知りてぇもんだな」
「ハッ! 知らない方が身のためだな」
目的がよくわからない。どうも、自分を単純に始末しに来たのではないようだが。
「兵士長さんよぉ、お前なにがしたいんだ? 俺を拷問にでもかける気か?」
「お前は死ぬくらいなら主を裏切るだろう。忠誠心なんて高尚なもんは持ち合わせてねぇだろうからな。拷問しがいのねぇ奴だ」
「いや、俺のことをよーくご存知のようで。まったく、泣けてくるねぇ。いつの間に、こんなにお前と仲良しになったのかはさっぱりだが。お前とは地下でお互いの存在を認識してただけだと思ってたんだがねぇ」
もちろん、ナマエは自分が一番大事だ。忠義や矜持など犬にでも食わせておけばいい。
だが、問題はそんなことではない。主を裏切れば、自分は“強盗"に殺されることになるだろう。ここは冷静になるべき局面である。そう判断し、ナマエは慎重に言葉を紡ぐ。
「俺なんか拷問したっていいことないぜ、本当。憲兵団以外の奴には結構上の方の人間に見えてるのかもしれないが、実際は下の下もいいとこだぜ。先輩方には、状況説明一切なしの汚れ仕事押し付けられるしよぉ。俺なんて無知なガキみたいなもんさ」
「俺は……別に、お前を…………」
「あ?」
何かを言い澱んでいるようだ。
「んだよ? とりあえず、首に当ててる刃降ろしてくれよ」
「それは出来ない。逃がすわけにはいかないからな」
「ったく、勘弁してくれ」
ナマエは溜め息を吐いた。
「ナマエ……俺は、お前が欲しい……」
「……お、おおお……なんだソレ。新手の拷問だな? その精神攻撃キッツいぜ……」
血の気が引いた。これほどゾッとしたことがあっただろうか。
「好きだ。俺のものになれ」
「ひッ……何言ってんだテメェ?! 正気か?!」
「ならねぇと、首を、落とす」
「いや、待て。落ち着け、冷静になれ」
「俺は冷静だ」
「冷静な奴は刃突き付けて男を手込めにしようとなんてしねぇよ?!」
ナマエは目を見開いて反論した。
「わかった。俺が女のひとりや、ふたり都合してやるよ。一発ヤれば冷静になんだろ。な? そうしろよ」
「どうせなら、お前がヤらせろ」
「……お前、俺に嫌な汗かかせて楽しいか?」
「楽しいな」
表情はニコリともしていない。
「そうか、速やかにやめろ」
この感じアレだ、あのイカれ女だ。部屋に毎日鼠の死骸を置いていった、あの女と同じ匂いがする。
ナマエは過去に自分が捨てた女のことを思い出した。その女も、終いには刃物を持ち出してきた。リヴァイのことを捨てた覚えはないが、何故こんなことになったのか。
「お前、本当に俺のこと好きなの? 言いたかないが、俺はクズと呼ばれることにすっかり慣れちまった人間だぜ? リヴァイ、お前、おかしいよ。調査兵団なんかに入ってるから精神壊れたんじゃないか?」
「奇遇だな。俺も常々おかしいと思っていた」
常々? まるで、自分のことをしょっちゅう考えていたかのような言い回しだ。ナマエは面食らった。
「いつから俺が好きなの?」
「もう、5年前くらいか」
「お前もっと過去に伏線張っとけよ!」
リヴァイからの好意を感じたことなど一度もなかった。告白は不意打ちでするものだとでも思っているのだろうか。バカなんじゃないかと思った。しかし、ナマエにはある意味効果覿面だったと言える。
「本当に俺が好きなの?」
「ああ……」
「え……っと……いや、そんなこと言われてもなぁ。じゃあ、付き合うかなんて軽々しいことはなぁ……」
「軽々しさの塊が何言ってんだ?」
刃が首筋に強く押し当てられた。
「……はい! すいません、俺は軽率な男です!」
「じゃあ、付き合うか」
「は、はい! 付き合います!」
「よし」
何も良くないが、ふたりは恋人になった。
2015/06/16
現在、ナマエはリヴァイに2本の刃を向けられている。
「何?! 何なんだよ?! 俺なんか悪いことしたかよ?!」
「しただろ」
「したけど!」
火の無いところに煙を立てるのが、ナマエの仕事である。
「お前を殺したい奴なんざ掃いて捨てるほどいる」
「お、俺を殺したら飼い主が黙ってねぇぞ……」
「ほう……お前の飼い主か……何処のどいつだか知りてぇもんだな」
「ハッ! 知らない方が身のためだな」
目的がよくわからない。どうも、自分を単純に始末しに来たのではないようだが。
「兵士長さんよぉ、お前なにがしたいんだ? 俺を拷問にでもかける気か?」
「お前は死ぬくらいなら主を裏切るだろう。忠誠心なんて高尚なもんは持ち合わせてねぇだろうからな。拷問しがいのねぇ奴だ」
「いや、俺のことをよーくご存知のようで。まったく、泣けてくるねぇ。いつの間に、こんなにお前と仲良しになったのかはさっぱりだが。お前とは地下でお互いの存在を認識してただけだと思ってたんだがねぇ」
もちろん、ナマエは自分が一番大事だ。忠義や矜持など犬にでも食わせておけばいい。
だが、問題はそんなことではない。主を裏切れば、自分は“強盗"に殺されることになるだろう。ここは冷静になるべき局面である。そう判断し、ナマエは慎重に言葉を紡ぐ。
「俺なんか拷問したっていいことないぜ、本当。憲兵団以外の奴には結構上の方の人間に見えてるのかもしれないが、実際は下の下もいいとこだぜ。先輩方には、状況説明一切なしの汚れ仕事押し付けられるしよぉ。俺なんて無知なガキみたいなもんさ」
「俺は……別に、お前を…………」
「あ?」
何かを言い澱んでいるようだ。
「んだよ? とりあえず、首に当ててる刃降ろしてくれよ」
「それは出来ない。逃がすわけにはいかないからな」
「ったく、勘弁してくれ」
ナマエは溜め息を吐いた。
「ナマエ……俺は、お前が欲しい……」
「……お、おおお……なんだソレ。新手の拷問だな? その精神攻撃キッツいぜ……」
血の気が引いた。これほどゾッとしたことがあっただろうか。
「好きだ。俺のものになれ」
「ひッ……何言ってんだテメェ?! 正気か?!」
「ならねぇと、首を、落とす」
「いや、待て。落ち着け、冷静になれ」
「俺は冷静だ」
「冷静な奴は刃突き付けて男を手込めにしようとなんてしねぇよ?!」
ナマエは目を見開いて反論した。
「わかった。俺が女のひとりや、ふたり都合してやるよ。一発ヤれば冷静になんだろ。な? そうしろよ」
「どうせなら、お前がヤらせろ」
「……お前、俺に嫌な汗かかせて楽しいか?」
「楽しいな」
表情はニコリともしていない。
「そうか、速やかにやめろ」
この感じアレだ、あのイカれ女だ。部屋に毎日鼠の死骸を置いていった、あの女と同じ匂いがする。
ナマエは過去に自分が捨てた女のことを思い出した。その女も、終いには刃物を持ち出してきた。リヴァイのことを捨てた覚えはないが、何故こんなことになったのか。
「お前、本当に俺のこと好きなの? 言いたかないが、俺はクズと呼ばれることにすっかり慣れちまった人間だぜ? リヴァイ、お前、おかしいよ。調査兵団なんかに入ってるから精神壊れたんじゃないか?」
「奇遇だな。俺も常々おかしいと思っていた」
常々? まるで、自分のことをしょっちゅう考えていたかのような言い回しだ。ナマエは面食らった。
「いつから俺が好きなの?」
「もう、5年前くらいか」
「お前もっと過去に伏線張っとけよ!」
リヴァイからの好意を感じたことなど一度もなかった。告白は不意打ちでするものだとでも思っているのだろうか。バカなんじゃないかと思った。しかし、ナマエにはある意味効果覿面だったと言える。
「本当に俺が好きなの?」
「ああ……」
「え……っと……いや、そんなこと言われてもなぁ。じゃあ、付き合うかなんて軽々しいことはなぁ……」
「軽々しさの塊が何言ってんだ?」
刃が首筋に強く押し当てられた。
「……はい! すいません、俺は軽率な男です!」
「じゃあ、付き合うか」
「は、はい! 付き合います!」
「よし」
何も良くないが、ふたりは恋人になった。
2015/06/16