A級9位!秋津隊
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
強くなりたかった。
秋津豊久は、幸せを守るために、誰よりも強くなりたい。
刀を持てば、全てを守れると思った。でも、そうではなかった。
世の中には、様々な武器があり、戦術があり、戦略がある。自分ひとりで出来ることには、限りがあった。
秋津家の家訓は、「出せぬ力に価値なし」である。勝負時に力を出せない剣術は無価値という意味だ。己の力を理解し、戦況を把握し、勝利を掴まなくてはならない。
乗り越えるべき壁がある。守りたい人がいる。だから、あとは行動あるのみ。
秋津は、何度でも太刀川慶に挑むし、加古望に想いを告げる。
昨日より、半歩でも前へ。その想いがあれば、どこまでもがんばれる。
決して折れない一振りの刀。それが、秋津豊久の魂。
しかし、今まさにその心がへし折れそうになっていた。
「どうかしたの? 秋津くん」
「いえ、なんでもありません」
「そう」
加古が出してきた手作りのチャーハンを前に、秋津には緊張が走る。勘で分かったのだ。今回は“ハズレ”だと。
「召し上がれ」
「いただきます!」
気合いを入れて、一すくいしたチャーハンを食べる。名状し難い味がした。意識が遠退きそうになるが、必死に耐えて、レンゲを動かす。一口、一口が蓄積し、多大なダメージを食らう。
「ご馳走さまでした!」
気合いと根性で完食した。
「ふふ。ありがとう、秋津くん」
「好きな人の手料理ですから。ありがたいです!」
「じゃあ、また今度もよろしくね」
「はい!」
その後、お茶を飲み干してから、「失礼します」と言い、秋津隊の隊室へ帰る。
「…………」
「あ、豊さん。おかえり~」
「四季……胃薬…………」
それだけ言って、秋津は床に前のめりに倒れた。
「隊長がやられたー!?」
「加古さんのチャーハンでしょう」
「豊さん、いつも全部食べますからねぇ」
「隊長、安らかに……」
澪川が、急いで胃薬を持って来て、秋津に飲ませてやる。
「かたじけない……」
「ヤベー! ヤバ過ぎて武士みてーになってる!」
「無念…………」
そう言い残し、秋津は意識を失った。
「ベッドに運びましょう」
「りょ」
冷泉と澪川が、秋津を運ぶ。
「隊長、ダウンしてますけど、どうします? 上映会」
少し心配しながら、春日井が言う。上映選択権は、秋津にある。
「豊さんの荷物漁れば、なんかあるっしょ」
澪川は、無遠慮に豊久の鞄を開けて、中からブルーレイを取り出した。
「えーと、スリル・ミーっていうブロードウェイミュージカルだな」
「ジャンルは?」
「サスペンスっぽい」
「4人で見ましょうか」
「隊長代理の四季くんの命令でーす。全員ソファーへGO!」
「了解」と3人分の返事。
一方その頃、秋津は、食べても食べても減らないチャーハンの悪夢を見ていた。
秋津豊久は、幸せを守るために、誰よりも強くなりたい。
刀を持てば、全てを守れると思った。でも、そうではなかった。
世の中には、様々な武器があり、戦術があり、戦略がある。自分ひとりで出来ることには、限りがあった。
秋津家の家訓は、「出せぬ力に価値なし」である。勝負時に力を出せない剣術は無価値という意味だ。己の力を理解し、戦況を把握し、勝利を掴まなくてはならない。
乗り越えるべき壁がある。守りたい人がいる。だから、あとは行動あるのみ。
秋津は、何度でも太刀川慶に挑むし、加古望に想いを告げる。
昨日より、半歩でも前へ。その想いがあれば、どこまでもがんばれる。
決して折れない一振りの刀。それが、秋津豊久の魂。
しかし、今まさにその心がへし折れそうになっていた。
「どうかしたの? 秋津くん」
「いえ、なんでもありません」
「そう」
加古が出してきた手作りのチャーハンを前に、秋津には緊張が走る。勘で分かったのだ。今回は“ハズレ”だと。
「召し上がれ」
「いただきます!」
気合いを入れて、一すくいしたチャーハンを食べる。名状し難い味がした。意識が遠退きそうになるが、必死に耐えて、レンゲを動かす。一口、一口が蓄積し、多大なダメージを食らう。
「ご馳走さまでした!」
気合いと根性で完食した。
「ふふ。ありがとう、秋津くん」
「好きな人の手料理ですから。ありがたいです!」
「じゃあ、また今度もよろしくね」
「はい!」
その後、お茶を飲み干してから、「失礼します」と言い、秋津隊の隊室へ帰る。
「…………」
「あ、豊さん。おかえり~」
「四季……胃薬…………」
それだけ言って、秋津は床に前のめりに倒れた。
「隊長がやられたー!?」
「加古さんのチャーハンでしょう」
「豊さん、いつも全部食べますからねぇ」
「隊長、安らかに……」
澪川が、急いで胃薬を持って来て、秋津に飲ませてやる。
「かたじけない……」
「ヤベー! ヤバ過ぎて武士みてーになってる!」
「無念…………」
そう言い残し、秋津は意識を失った。
「ベッドに運びましょう」
「りょ」
冷泉と澪川が、秋津を運ぶ。
「隊長、ダウンしてますけど、どうします? 上映会」
少し心配しながら、春日井が言う。上映選択権は、秋津にある。
「豊さんの荷物漁れば、なんかあるっしょ」
澪川は、無遠慮に豊久の鞄を開けて、中からブルーレイを取り出した。
「えーと、スリル・ミーっていうブロードウェイミュージカルだな」
「ジャンルは?」
「サスペンスっぽい」
「4人で見ましょうか」
「隊長代理の四季くんの命令でーす。全員ソファーへGO!」
「了解」と3人分の返事。
一方その頃、秋津は、食べても食べても減らないチャーハンの悪夢を見ていた。